里山保全活動団体「遊林会」


活動フィールドField

遊林会は1998年より、滋賀県東近江市を流れる愛知川沿いの河辺林「河辺いきものの森」で活動しています。
市域の中央を流れる愛知川沿いに発達した河辺林の一部で、15ヘクタールの平地林です。
年間約40回/約400人の手で河辺いきものの森の保全活動を行っております。

河辺いきものの森のご案内

河辺いきものの森は、八日市市(現・東近江市)でもっとも大きな規模で残っていた河辺林でした。愛知川河川の氾濫原であったためか、標高が100メートル余りにもかかわらず、上流部の山地に育つ植物が混在して生育する、特徴的な自然となっていました。
また、近隣住民は「建部の森」と呼び、燃料や日常で使う資材などを採集する場として、暮らしのために利用してきた里山でした。 

ところが、河川の洪水が減り、家庭の燃料も薪や柴からガスや電気に変わると河辺林の役割は次第に忘れされていきました。
人が入らなくなった河辺林では木々が成長し、やがて暗い森になったため、そこにすんでいた生き物たちや植物は姿を消していきました。
また、建部の森周辺の河辺林は砂利採取や工場用地などのために開発され、河辺林の姿は次第に失われていきました。

建部の森は、複数の地主が細分化して所有する土地だったことで、開発から免れてきたものの、1990年代に入ると、地下にある良質な砂利を採取する動きが出てきました。
森の存続が危ぶまれたことをきっかけに、市民有志が立ち上がり、1998年、里山保全活動団体「遊林会」(2014年にNPO法人化)として森を守る活動に乗り出しました。

一方、八日市市(現・東近江市)も、里山の自然を保全し環境教育の拠点として活用する「河辺いきものの森整備基本計画」を策定して、地権者と借地契約を締結します。
生態系へ配慮しつつ、3年をかけて整備を進めました。
そして、拠点施設となるネイチャーセンター、高さ12メートルの林冠トレイル、水辺のビオトープなどを備えた「河辺いきものの森」が2002年に完成。
暮らしの身近な場所で四季折々の里山の自然が楽しめ、多くの方に愛される里山として蘇っています。

しかし、人の手を入れ続けなければ、すぐに木々が成長し、暗い森へと戻ってしまいます。
自然豊かな森を維持するためには、保全活動をつづけることが大切です。
河辺いきものの森を未来に残していけるように、現在も毎月、遊林会のボランティア活動によって森の保全を行っております。

また、年間約8,000人の来館者があり、子どもから大人までの多様な方々に環境学習の場として利用していただいております。
かつて人の利用がなくなった森だとは信じられないほど、現在は多くの方の笑顔あふれる森になっています。
「人と自然、人と人とをつなげる森」そんな生きた森が、河辺いきものの森なのです。