
そとイコ!川ガキ育成塾「アユのいる愛知川を知り、川を守ろう!」を開催しました
2023.09.18
今日、9月18日(祝・月)は、今年3回目の『そとイコ!川ガキ育成塾』を開催しました。また、このイベントは東近江市のエコツーリズム(http://higashiomi-ecotourism.blog.jp/ )の一環として取り組んでいます。
今回は「アユのいる愛知川を知り、川を守ろう!」というテーマで、滋賀県琵琶湖環境科学センターの水野敏明先生を講師にお迎えし、愛知川(東近江市阿弥陀堂町・葉枝見橋付近)でいきものつかみを行いました。親子6組14人の方がご参加くださいました。
▼この時期はアユの産卵期なので、アユを捕ることは禁止されていますが、今回の観察会のために水野先生に「特別採捕許可書」を取っていただいて開催させていただきました。
▼あいさつの後は、水野先生とアユの勉強会。「アユってどんな魚?」「食べ物はなに?」「どんな一生をすごしているの?」などについて教えていただきました。秋に川で生まれたアユは海におりるのですが、滋賀県のアユは海がないので琵琶湖におります。琵琶湖で育ったアユは遡上する時期が変わり、その時期によって「オオアユ」「チュウアユ」「コアユ」と同じアユでも呼び方が変わるお話などを水野先生からお聞きました。そして、どんどんアユの魅力に引き込まれていきましたね。
▼アユのことを少し分かったところで、アユのクイズにも挑戦!クイズ「①アユのたまごの大きさはどのくらい?」正解は、なんと1ミリ!とても小さいんだね。
▼クイズ②「たまごはどんなところにうむの?」正解は、水の中の石の上でした。
▼クイズ③「たまごをうむ石の大きさは決まっているけど、どんな大きさの石かな?」正解は、1㎝くらいの石でした。アユはたまごを産む時、尾びれで石を転がすそうです。海におりるアユは体長が20㎝くらいになるので、3㎝くらいの石を転がせるけど、琵琶湖のアユは体長が10㎝くらいなので、1㎝くらいの石しか転がせないので、1㎝くらいの石になるそうです。
皆さん、実際に足元の石で大きさを確認して、へぇ~そうなのかぁと納得されていました。
▼その後は、実際に川に入ってアユの産卵床のお話を聞きました。「アユは川底を歩くとフカフカするところに卵をうむよ。今、歩いているところはどんな感じ?ヌルヌルしている石には卵を産まないよ」と教えていただきました。
▼「川の石を少しすくいあげると、ヌルヌルの苔がついていない石が出てくるよ。アユはそういうところに卵を産むのです」と教えていただいたので、石をすくいあげて確認してみました。
▼勢いのある水が流れることで石が転がり、石の表面のヌルヌルした苔が取れていきますが、流れがゆるやかだと表面の苔が取れません。アユが卵を産む環境を作るためにできる自然再生方法を「河床耕耘(かしょうこううん)」といいます。この辺りも河床耕耘をすれば、アユが卵をうめる環境に変わるかもしれない!とのことで、みんなで川を耕してみました。
▼「難しくない?重たくない?」と聞くと、「力持ちだから、全然大丈夫!」とお父さんと力を合わせて耕してくださっていました。
▼子どもも大人もみんなで15分ほど頑張りました!
▼川の水の濁りが落ち着いてから、河床耕耘をした場所を確認してみました。
▼河床耕耘をしていない場所
▼河床耕耘をした場所。少しの時間でしたが川を耕すことで、ヌルヌルの苔が取れ、川底がフカフカしたことも感じていただけました。アユが卵を産んでくれたら嬉しいですね!
▼河床耕耘の後は、いきものつかみもしました。ここには、オウミヨシノボリがたくさんいます。まずは、箱メガネで確認。小さなオウミヨシノボリが石の下に隠れたり、じっとしている姿は可愛かったですね。また、網を使って捕まえてみました。
▼今日は、特別採捕許可がおりているので、投網を使ってアユを捕ることにも挑戦してみました。アユはどうやらまだ遡上していないようで、捕獲はできませんでしたが、2歳の小さな子からお父さんまで投網体験をしていただきました。なかなかできない体験なので、皆さんとても楽しそうでした!
▼そして、水野先生もびっくりされておられたのが「ウツセミカジカ」が見つかったことです!環境省のレッドリストでは「絶滅危惧種IB類」、滋賀県レッドデータブック2015版では分布上重要種になっています。水が冷たく綺麗なところに棲んでいて、なかなか見ることができない魚だよと教えてくださいました。石と砂にそっくりな色をしていました。こんな珍しい魚を見つけられてすごかったですね!
▼ウツセミカジカは10㎝くらいの大きなものが2匹、5㎝くらいの小さなものが1匹見つかりました。
▼水生昆虫「ヒゲナガトビケラ」を観察中。大小さまざまな石がついた家なんだよと教えてもらいました。
▼ルーペでじっくりお魚も見てみましたね。
▼投網ではオイカワを捕まえることができました。
▼ヘビトンボ、トンボのヤゴもいましたね。
皆さまの感想を1部ご紹介します。
・いっぱいヨシノボリがいて、つかめて良かったです(子ども)
・いきものつかみが楽しかった(子ども)
・いきものの観察ができたこと(子ども)
・アユの産卵のために、人の手を加えるということを初めて知りました(大人)
・愛知川が渓流域と同じ生態系であり、特別な川ということに驚きました(大人)
・親子共に楽しめました(大人)
・貴重な魚がいることや綺麗な水であることが分かった(大人)
今日はアユが泳いでいる姿が見ていただけなくて、とても残念でしたが、アユが棲める環境を知っていただけたこと、そして、絶滅危惧種IB類のウツセミカジカを実際に見て、皆さまの身近にある愛知川はとても綺麗で魅力のある川なんだと知っていただけたようで、大変嬉しく思っております。
最後になりましたが、水野先生の分かりやすく楽しい解説のお陰で川の面白さ、魅力を皆さまに知っていただけたと共に、楽しい一日をお過ごしいただくことができました。今日は講師を務めていただきまして、本当にありがとうございました!
そして、今回のエコツアーのためにご協力くださいました阿弥陀堂町自治会様、ボランティアとして関わってくださいました滋賀県琵琶湖環境部環境政策課の皆さまもありがとうございました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。
アユのいる愛知川が未来にもつづいていきますように。
「川を守る」大切さを学ばせていただけた一日でした。ご参加いただきまして、ありがとうございました。