'09年2号 No.129

☆作業日あれこれ

   年が明けて最初の作業日は、8時過ぎから霙が雪に変わり、こりゃ午後は雨喜びならぬ雪喜び、新年会だと密かに期待しておりました。しかし、何人集まるかなーとも考えながらの参加です。愛子さんは前日、「(参加者が)一人でもお昼作らなあかんのやろかー!」とのたまわっていたようですが、9時近くになっても作業小屋には炭焼名人と軽トラ野郎だけで、参加者数の最低記録を作るのかな思っていると、そこは遊林会、時間になればこんな天気でもそれなりに皆様集合です。


  林冠トレイル観察会
真ん中の空間がギャップです

  本日の観察会は、年末の記録的な湿雪で痛めつけられた森の木々の様子の観察です。担当はフクチャン、林冠トレイルの上から雪の重さに耐えかねて折れた樹冠を真上から見せてくれます。枯死や落雷、強風による倒木など様々な原因で森に出来た隙間空間をギャップと言いますが、こうした場所ではそれまで樹冠で遮られていた陽の光が林床まで届くようになり、周りと違った植物が勢いを増してきます。ここで問題、この後、ギャップで勢いを増すのは、アカマツかタラノキかアラカシかという三択です。

 教科書的な答えは、アカマツは林床の土が栄養豊富で他の木に負けてしまうだろうし、アラカシよりは成長の速い陽樹であるタラノキがこうしたギャップのパイオニア植物になるだろうということでしょう。皆さんの選択もほとんどタラノキやウルシの仲間が勢いを増すというものでした。でも本当にそうだろうかとかと疑問を出したのはクマです。まずは下に降りて林床の観察をしてからです。放棄されて植生遷移の進んだ森では、林床に何十年も薄い光の中で耐えて生きているアオキ、ネズミモチ、カゴノキ、アラカシなどの太さ1p前後、高さ1.5m前後の木が群生し藪状態です。こうした所で樹冠にギャップが出来ても、林床に差し込むようになった陽の光の恩恵を受けるのは林床に眠っているタラノキの種子でなくて、苦節数十年のこうした陰樹ではないだろうかということです。いわばこれらの細い木々は、いつかある日のための保険みたいな物です。この森での観察では、作業で林床のこうした木を伐り払ってしまい高木の落葉樹しかない高林管理をしている交流広場 では、キノコ博士や炭焼名人がドラム缶で炭を焼いていたすぐ横の樹冠にギャップが出来た時、すぐに教科書通りに陽樹であるタラノキやヤマハゼ、カラスザンショウが埋土種子から発生しました。それは控えている陰樹がないからだと考えました。一方、陰樹が林床に茂る植生遷移エリアで大きなヤナギが台風で倒れた時には、タラノキなどの陽樹の発生を見ることはありませんでした。そしていずれの場合も小さな樹冠に出来たギャップは、数年で隣り合った木が枝を伸ばすことによって塞がれてしまいました。主幹が折れた程度の今回の雪害で出来たギャップは、数年、あるいはこの夏にも被害木の復旧や隣の木の成長で塞がれてしまい、生えたとしてもタラノキやヤマハゼなどが育つことはないでしょう。推論が正しいかどうかは、観察あるのみです。

   この日のメイン作業は、雪のために壊滅的な被害を受けた竹林の整理です。全体の参加者はいつもより少ない30人余りですが、作業を集中すれば充分な人数で、雪で折れてお辞儀をしているタケを順番に伐り、枝を払い、材として利用できる物と処分する物に振り分けます。マルは処理に何日かかるかと頭を抱えていましたが、軽トラ野郎殿の気迫に押されてか従事した者が驚くぐらいに作業がはかどりました。炭焼名人やマルは森のあちこちで折れて頭上に引っかかっている枝を高枝ばさみやロープを使用しての処理です。こちらも処理できる物はほとんど処理を終え、観察路の安全が確保されました。  お昼は、93歳のバァに炊いていただいたぜんざいがメイン、甘い物が苦手な向きには豚汁や焼き豆腐の煮付け、肉味噌にふろふき大根などであります。密かに新年会モードを期待していたのですが、午後にもやり残した仕事をやらねばとの目的達成感に燃えたベテラン勢に圧倒されて、こそこそと飲むのは突撃隊長とクマのみ。地元の銘酒を持ち出しても、大先生は「呼び水になるで止めとく。」、軽トラ野郎殿は「わしは正月に飲んでたでいらん。」ととりつく島もありません。


折れて曲がった竹

  青年部長殿も夜に行かなあかんとこがあるとかで、いつものトラ御用達テーブル・メンバーは全員、午後の作業モードです。 午後の作業にも引きずられるように従事した隊長殿は、「飲んでやるとえらいわー。亀や卓(共にヘムスロイド村御一行様メンバー)がおらんとあかん。」と申しておられました。雨が降っても台風が来ても雪が降っても、作業はやる遊林会の1日でありました。

 2月25日(水) 週日活動日 森の居酒屋は2月11日 午後7時頃〜
2月14日(第2土曜日) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210
 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@e-omi.ne.jp

   第4水曜の作業日は1月にしては暖かく、絶好の作業日和。新人2名を含む19人が集まりました。例年ならこの時期は竹材取りを行うのですが、今年は大雪被害が多大なためそうもいかず、今回もひたすら森の掃除です。駐車場側の竹林被害は年末からひどい状態のままなのですが、こちらは水曜のメンバーだけで手に負える量ではないので、機動力あるベテラン揃いの水曜メンバーは林内各所にある被害樹木の処理にあたることにしました。  実はこの作業、前の週の木ままクラブでも実施し、その時は軽トラダンプで10杯分の枝葉を処理!しかし林内にはまだまだ大量にあります。今回も林内各所をまわりながらひたすら折れた枝等の処分をしましたが、一口で枝と言っても腕くらいの太さから太もも以上の太さまで様々で、しかもアラカシなどは行儀の悪い枝の出方をしているため処理に手間のかかること…それでも黙々と作業をしました。折れた枝を見つけたりぶらさがっているとつい処理したくなりますが、歩道からかなり奥のところまで手を出しはじめるとキリがないので放置。歩道周辺を中心に処理にあたりました。  
 お昼はいつものように昼食班が大活躍で、炊き込みご飯に湯豆腐、おからコロッケなど計7品でおいしいお昼をいただきました。午後からも引き続き作業をし、腕より太い枝は80cmに切りそろえ、それより細い枝はファイヤーです。15時前には80cmの大量の処理木がセンターの前に積まれました。ここには山番こと松本さんが日々黙々と処理された木も積まれていますが、後日その合計本数をざっと数えてみると、控えめに言っても1,000本!1,000×0.8m=800mの量です!しかし森にはまだまだ処理すべき枝が落ちています。まあ、春までに終わればいいというつもりで気長にやりましょう。  

☆スタッフルーム情報

  今年度、東近江市こども未来夢基金を利用して、子ども向けのこの森の植物図鑑を作成することになり、この業務を遊林会が市より受託していました。一般的な図鑑のスタイルにとらわれず、この森に来る子どもたちが使いやすいようにとの想いでスタッフが執筆・撮影した木と草の図鑑です。制作期間は1年足らず、と決して長いものではなかったので12月、1月のラストスパートはすさまじいものだったのですよ。そんなふうにしっぽをつままれたストレス実験中のマウスみたいなスタッフでしたが、少しでもよい図鑑にしようという想いはみんな同じ。遅くまで、森のスタッフルームには灯りがともっていたのでした。振り返ると、自分のデジタル一眼レフカメラを買ったのが受託したころ。そのあとは、時間を見つけてはフィールドを歩き回り、図鑑をバイブルとばかりに植物を調べました。身近にありながら、知らないことを少しずつ知っていくことは子どものころのように面白いもので、一枚一枚原稿が仕上がっていくのがとっても嬉しいことでした。図鑑ができることはもちろん大きな成果ですが、何よりも図鑑の作成を通してスタッフの力が急激に伸びたことが、森にとっての大きな財産ではないでしょうか。
 図鑑のタイトルは『河辺いきものの森 植物モリモリ図鑑』!A5版、200ページ超、解説種数は約200種で、1月末にめでたく原稿を完成させました。製本は2月中ごろの予定です。お楽しみに!  

☆大人講座もあとわずか

   概ね50歳以上の方を対象に実施している大人講座も残りわずか。  2月7日(土)と21日(土)は連続講座「チャレンジ森の木工」、2月28日(土)は連続講座「里山の四季」最終回、3月7日(土)は染色「森のめぐみで布を染めよう」です。いずれも事前申し込み必要です。興味があればぜひ!  

☆ナラ枯れ研修会

   環境省自然環境局主催、全国10箇所で実施する「里なび研修会」の開催地・実施団体のひとつとして河辺いきものの森・遊林会が実施することになりました。  各地でいろいろなテーマで研修会を実施されていますが、この会場では今この地域で最も注意を払わねばならないナラ枯れについて、研究者を招いて最新の情報・対処法について研修します。昨年の夏も、東近江市内のあちこちでナラ枯れによる被害が拡大しました。嘆いているだけでは何も解決しません。皆でできることをやりましょう!午後からは伐採を含めた実演も予定しています。関心のある多くの方のご参加をお待ちしています。詳しくは後日ホームページにて。

☆2月の作業日のお昼は?

   立春とはいえまだまだ寒く、森の梅はかたいつぼみをほころばせようか悩んでいます。そんな2月の作業日は、粕汁で暖まっていただこうと思っています。久しぶりのエースの炊き込みごはんも予定していますので、お昼ごはんも楽しみにしていてくださいね。
 容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://yurinkai.org or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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