'08年12号 No.127

☆作業日あれこれ

  11月の定例作業日も前夜より雨、観察会の始まる頃は小雨でした。なおかつ肌寒い日で12月中旬の気候とか。吐く息も白く見え、迷ったのですが冬の服装で来て正解、皆様もキッチリと防寒対策をしての参加です。この天気のためか参加者はやや少なめの40人ほどです。 観察会は秋のタネ特集、担当はブンチャンです。図を描いたり、森のあらゆる種を集めたりと準備は万全、小雨を避けてのレクチャーが作業小屋の前で始まります。風によって運ばれる種(ケヤキ、モミジ、アザミ、タンポポなど)、動物に食べられることによって運ばれる種(ナンテン、フユイチゴ、ヤブラン、ムクノキ、カキなど)、動物にくっついて運ばれる種(ヌスビトハギ、ミソナオシなど)、落ちたところが生える場所である重力散布の種(ツバキ、各種のドングリなど)と、実物を見せて解説が始まりました。ケヤキの種は枝の先の小さい枯れ葉使ったヘリコプター戦略で、初めて知ったときは感心したものです。森には何本かの柿の木がありますが、由来は森での仕事の際に人がおやつに持ち込んで種をはき出したと考える以外に、タヌキが夜に集落の中のカキを丸ごと食べて森で排泄をした考えることもできます。この森で動物にくっつく種の代表は余所では希少植物のミソナオシ、着実に生息域を広げていますが、こいつはくっつく力が非常に強く、ブンはタオルにこの種をくっつけて森のキャラクターであるカワベーを描いて見せていました。


ミソナオシかわべぇ

  面白いのは重力散布の種の中には、落ちたところから動物によって運ばれる種があることです。これらの種は、カキやムクノキのように種の周りにおまけの美味しい部分をまとっていませんので食べられてしまえばお終いですが、食べ残しにすがる戦術です。この森でこの面での重要な働きをしているのはアカネズミです。アラカシが森全体にまんべんなく生息しているのはこのネズミの活躍のおかげだと考えています。
 その反対に同じ重力散布でなおかつ同じような日照条件で育つヤブツバキが偏った場所にしか生息していないのは、こいつに運んでもらえなかったためではないかと考えています。しかし、この森の所有者のお一人で代々麹屋を営んでおられた方によると「ご先祖様のせいかもしれん。麹を作るときにヤブツバキの灰がいったんや(つまり、所有地のヤブツバキを伐って燃やして灰を作っていたということ。確かにこの方の所有地にはヤブツバキの木はほとんどないか若い木だけです)」との話もあります。観察会の最後は、小雨の中秋色の森の散歩、リュウノウギク(竜脳菊)の花の観察がメイン、センター裏のアキグミを味わってお終い。

  雨を予想して屋根の下でできる作業も用意しましたが、青年部長ほか剛の者はカッパ着用で竹林整備、テングス病がひどくなってきた竹林の健全化のために一汗であります。竹林整備には毎月かかりっきりですが、まだまだ密度過多、来月も期待しましょう。
 作業を始める頃には、雨が上がってきましたが、森の中をあちこち歩いてドングリ拾いをする作業のリーダーはブンです。ナラガシワとコナラのドングリを拾うのですが、「一カ所で拾うのはひとり5個にしてくださーい」と叫んでいます。ナラ枯れに弱いナラガシワ(元々生息本数が少なく、枯れる木が目立つ)とコナラの苗を育てて森に戻す作戦のためですが、特定の木だけの遺伝子を残さないように同じ樹種でも森の中のそれぞれのドングリを集めようということです。これが育種ならば、勢いのある木のドングリだけを集めて育てるのですが、そうしないところが多様な生態系を保全しようとする遊林会流です。拾った後は発泡スチロールの容器に植えていましたが、森に戻すまでには3〜5年くらい根切りをしながら育てる必要があると考えています。
 作業小屋の前では濡れない作業、炭焼き名人自慢の炭の箱詰めです。苦労してスーパーなどから集めてきた段ボール箱に子ども達も参加して入れていました。  お昼はおでんに炊込御飯、大根のサラダや炒め物、ノンべぇーのためにはデザートのカキまで用意されていました。クマは飲むのは来月の忘年会、今日は我慢といつものお昼のミーティングをこなし、午後にも作業に従事される皆様を見送っておりました。


遊林会自慢のお昼の料理

   第4水曜日は天候にも恵まれた作業日。イタヤカエデの黄葉も見頃だったので、まずはみんなで森を歩いてから…と思っていたのですが、定刻の9時になると早くも軽トラ野郎氏は先月の第4水曜日から始めた竹搬送システムの「馬」を軽トラに設置しはじめ、他のメンバーもナタを腰に付け竹ノコギリを持ち…という具合。結局森を歩かずにすぐに作業にかかることにしました。さすが第4水曜日?  
 作業はシーズン本番の竹伐採作業。旬の良いこの時期の竹を切って、来年の子どもたちの竹工作材料(ざっと1,000人/年に竹工作を実施しています!)にするのですが、「テングス病にやられている竹もしくは適正密度を上回っていて数年経っている竹を伐採し、そのうち上部まで真っ直ぐな竹は切り詰めずに利用、曲がりのある竹はある程度の長さに切って利用。いずれも枝葉は丁寧に取る。」という注文つき。みんなホイホイ了解という感じで手際よく作業が進みます。
 一方の昼食班はこちらも第4水曜日名物!?の豪華メニューづくり。ブリ大根や松本さん特製オカラをはじめ10品も卓上に並びました。お昼にはどこからともなく「あ〜おいしい!」「うまいなあ〜」という声が聞こえてきした。  午後からの作業は午前中に伐採した竹を太さ別に分けて並べる作業ですが、子どもたちでも竹を扱えるように適度な長さに切りそろえ、しかも竹の上部は雨水が溜まらないように節の直上で切ります。3ヶ所にわけて積まれた竹を見てリーダーのマルは「この量はとても1日で処理できんなあ」と思っていたのですが、見事に予想は裏切られ2時過ぎには作業終了、その後さらに作業小屋前の竹テントの改修作業へと着手。みなさんのパワーに脱帽です。  

 12月24日(水) 第4水曜日 森の居酒屋は12月10日 午後7時頃〜
12月13日(第2土曜日) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@e-omi.ne.jp


☆河辺林通信は総会屋の評論誌か?

   かつて企業に自分が発行した雑誌を送りつけ、法外な購読料をいただくやり方がありました。このところ、いつも河辺林通信を送ってもらってと、寄付をして下さった方がいらっしゃいました。本人の購読の意志を確認せずに無理矢理送付しているわけですから、お代をいただけるとはありがたいことです。私事ですが、その中の一人はクマの叔父でした。この度、所用ができ、久しぶりに生まれた地に帰ると叔父が待っておりました。愛妻を亡くされたことも知らず詫びることばかりでしたが、かつてより遊林会の活動を応援してくれていた叔父は、おまえに渡す物があると封筒を手渡してくれました。遊林会の活動を始めた頃、「3つの力で活動に参加できます。体力、財力、知力です。」と様々な形での支援をお願いしていました。その内、遊林会では、どちらかというと口だけになりやすい知力はご遠慮願うようになりましたが、財力での参加は今も大歓迎です。毎月、決まった額を支援してくださる方、時折、思いがけないものが入ったからとか、健康でいることができたからとか、様々な形で資金的支援をして下さる方があり、感謝しております。もっとも、河辺林通信はしつこく活動を続けているとのメッセージの発信のために発行している物であり、お代を期待して発行している物ではありませんので皆様ご安心下さい。

☆「いい大人」講座案内

   おおむね50才以上の方を対象にした「いい大人」講座。12月から1月にかけて2つの講座があります。いずれも事前に申し込みが必要、有料です。ネイチャーセンターTEL0748-20-5211まで。
●連続講座「里山の四季」
第3回目
12月6日(土)10:00〜15:00
里山を知るためのフィールドワークと軽作業です。連続講座ですが3回目からの参加も歓迎!

●冬の里山散策 1月17日(土)10:00〜15:00
冬の森を歩く…なかなかいいものですよ。双眼鏡をお持ちなら野鳥観察も楽しめるかも 

☆森のクリスマスコンサート

   今年のクリスマスコンサートは平日ですがまさにクリスマスイブの12月24日(水)19:00に開演します。おなじみビオラの清水さんをはじめとした大阪センチュリー交響楽団メンバーの弦楽四重奏に加え、今回は同楽団の首席フルート奏者ニコリンヌ・ピエルーさんを招いての素敵なコンサートです。現在チケット発売中、定員90人、1,000円です。申し込みはお電話(0748-20-5211)で結構ですのでお早めに!

☆12月の作業日のお昼からは忘年会

    12月の作業日は、雨が降らなくても午前だけ、恒例の餅つきで忘年会が始まります。今年はヘムスロイド村突撃隊長は、餅をいくつ食べることやら。おろし餅にあんころ餅、きな粉餅です。お昼は焼き焼きパーティで、般若湯も進むことでしょう。飲む方はくれぐれも運転をされませんように。飲んベェの付き合いは御免という方には、名画鑑賞も予定通り。小津や原節子物は不好評でしたので、新しい物を考えます。  このところご無沙汰の方も是非、お顔を見せてください。忘年会を楽しみましょう。  

*12/24は祝日の翌日のためネイチャーセンターは休館日ですが、第4水曜日の活動は予定通り24日(水)に実施します。  
 容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://yurinkai.org or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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