'08年10号 No.125

☆作業日あれこれ

  9月の定例作業日は、当地では三連休を待って一斉に稲刈りをと構えておられる日になります。朝、新聞を取りに外に出ると雨が降り始めたところで、遊林会の活動は晴雨不問だから良いが、田んぼの作業は日延べしなければならず大変だなとの思いが脳裏をよぎりました。森に着く頃も相変わらずぐずついた天候で、これではコンバインで刈り取りはできんなという状態です。案の定、営農組合で収穫の準備をしていたオーチが、1日無駄になりそうだとぶつぶつ言いながらやって来ました。観察会の頃には雨脚が強くなり、一同、傘を差しながら森を歩くことになり、クズの花の前でおまけの説明をしている時、思わず焼鳥名人がクマに傘を差し掛けてくださる程でありました。この季節、秋の花は草原広場のナンバンギセル(こいつは炭焼名人による神の手の仕業)、埋土種子由来と考えられるヤマジノホトトギス(こちらは森の3カ所で確認しています。自然の造形美に感心します)、ツリガネニンジンなどです。ツリガネニンジンは根に人参(といっても白いゴボウのような感じ、朝鮮人参の”人参”の意味)ができるので花の形とそれを組み合わせて名前が付いていることや、人参が食べられることを付け加えたのですが、後でよく考えるとよく似た名前のツルニンジンを食べたことと混同したことに気がつきました。ツリガネニンジンは漢方の煎じ薬です。江戸時代に高価な朝鮮人参の代用品(ツルニンジンもまたしかり)として似た根を持つ植物として探されたようです。残念ながらツリガネニンジンは強壮剤ではなく咳止めの薬のようです。しかし、ツルニンジンは、焼いて味噌で食べた蛇掴み名人には強壮剤として効いたのかも知れません。お相伴にあずかったクマには効果はありませんでしたが。うーん、うしまろにも効いたのかな?  


研修旅行・杉沢の沢スギ自然館にて

 
本日の作業は、まず林床の笹を刈る作業、機械刈班と手刈班です。機械刈班は、それぞれに作業前に調子の良い刈払機の確保から。亀仙人は観察会前から狙いを付けた機械に帽子などを置いて確保です。草原広場から交流広場に向けて林床の植物の多様性をなくすササを、ヤブランなどの植物に気をつけながら刈り払いです。
 手刈班は入口から草原広場にかけて道の両側のササの手刈りなんですが、いつまで経っても入口付近にかかったまんまです。スズメバチに気をつけながらも手を抜けず、きっちりとササを伐採、思わぬ時間がかかってしまったようです。昨年も述べましたが、笹を刈るのは今が一番の適期です。地下茎に夏の間に生産した養分を蓄えさせずに兵糧攻めで草丈を抑えることができるからです。リーダーは蛇掴み名人、一番女性の多い作業です。
 青年部長、焼鳥名人、輸送人軽トラ野郎などはタケの間引き、森の東南の一角で蔓延してしまった天狗巣病のタケを伐採しています。伐られたタケはいつものように、メタボ対策を兼ねてドブネズミ殿がファイァー・サークルの前でサウナ代わりにタケの処分です。この方、昨年度1年間、保健所の公開メタボ対策のモルモットだったのですが、数値に全く変化なし、体を動かすようにした分、酒と飯がうまくなってしまったようです。しかし、実際のタケの処分作業は、前月同様に課長殿の方が口より手が動いていたようで、メタボ対策はこの辺りにも問題がありそうです。
 別働隊は森の一番奥、地元の墓地周辺で墓石の上に落ちては困るような木の枝をチェンソーとロープを使用して伐採をやっていました。マルや三平モドキ、炭焼名人などです。

 食事班は初物の芋の天ぷら、ナスのお浸し、ゴーヤチップ、味噌汁と炊き込みご飯などの調理です。さてこの日の「いただきます」ですが、いつもの小学生の木こり君は、体育祭の練習のお疲れで兄弟共々欠席、お母様のみの参加のため、代打子ども3人組の発声となりました。食事が始まると、トラ御用達テーブルは初参加のうら若き女性や先ほどのお一人参加のお母様を早速囲い込んでご機嫌です。隣のテーブルで我らはシニア・グループのいつものパワーに唖然であります。翌々日の研修旅行でも圧倒されそうな予感です。もちろん、きっちりとお昼のミーティング、終われば午後の作業に散っていきました。 クマは午前午後とも産経新聞、大阪支社から見えられた記者の方の対応をさせていただきましたが、9月末の特集記事になるとのことでした。滋賀版の記事では各社随分取り上げていただきましたが、近畿版となると数えるほどしか無く、どんな記事になるのか楽しみです。



 10月22日(水) 第4水曜日 森の居酒屋は10月8日 午後7時頃〜
10月11日(第2土曜日) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@e-omi.ne.jp


 25日の平日活動日はナラ枯れ対策が中心です。今年カシナガで枯れた木は既に弱っていた細いコナラが2本だけで、一昨年からの早期対策はかなり成功しています。しかし、枯れていないもののカシナガの入った木は多く、常緑樹のアラカシに入った場合はシート巻きでは対応しきれないこともあり、伐ることとなります。ということで、今回は屋外トイレ裏の太めのアラカシを伐りました。伐った材はできるなら炭焼きに、でなければ割り木にするのですが、今回は割り木に、カシナガを完全に殺すため、いつもより細割りにします。カシナガの幼虫を観察しながらの薪割りとなりました。昼食はお彼岸豪勢版でちらし寿司・味噌汁・里芋煮・魚のアラ煮・ズイキの酢の物・ゴーヤサラダ・味噌炒め・生姜醤油炒めetc…午後は初芋掘り・芋洗いもありました。

☆河辺いきものの森スタッフ・ルーム情報
 
いよいよ秋本番、森の利用はピークを迎えます。10月の平均入場者は3,500人。開館日で割ると、1日約140人ということになります。今年、ドングリの落ち始めは少し遅かったのですが、いつもどおりにクヌギの大きなドングリが落ち始めています。平日は学校が、土日は親子連れが、それぞれドングリを拾いに来られます。が、そこで問題となるのが、スズメバチ。今年はナラ枯れの影響で樹液を出している木が多く、そしてまたハチもかなり多いようです。夢中でドングリを拾っていて、顔を上げると、スズメバチ、ということがないように、今年から新しい作戦が始まりました。 その名も、”スズメバチ酒酔い大作戦”。成果はまた来月号をお楽しみに?  

☆遊林会研修旅行

   以前から話に上がっては立ち消えしていた遊林会の研修旅行ですが、10年目になっていよいよ実現しました!総勢28人、一泊二日で富山県にある杉沢の沢スギを目指します。杉沢の沢スギについては、一行の中で誰も知らないし、バスの運転手さんも初めてのようで途中の農家でバスを止めて場所を確認する有様でした。たどり着くと田んぼの中に尖った屋根のビジター・センターと後ろの林がありました。我々を案内するために、今にも泣き出しそうな空の下で稲刈りを中断してボランティアの方が待っていてくださいました。黒部川扇状地の扇端に位置する場所なので、かつては地下水が湧きだし、水田耕作には向かず、そんな場所に適応した日本海側特有の杉が生息していたようです。一面のそうした林は個人の所有地で、それぞれに年輪の詰まった杉の育成が図られていたようですが、水田化への要望が強く、土地改良により多くが伐られて農地にされ、我々が訪れた杉沢は2.5ヘクタールしか残されていませんでした。林の中はわき水の水温に適した山地性の植物と同時に冬にそれほど冷えないので暖地性の植物が存在していたけれど、これは里山と奥山の動植物がある河辺の森との共通点です。その後の湧水の枯欠と乾燥化による環境の変化も共通です。河辺の森では生態系調査の結果に基づき大胆に生態系を保全するための試行をしましたが、あちらは天然記念物、現状変更には手続きが必要です。こうした生態系の保全には様々な考え方があり、現状変更について意見の一致を見ることは困難で、案内していただいた方の苦労がしのばれました。河辺の森では、議論よりもまず試行、結果を検証して続けるかどうか、あるいは改良をしてきましたが、多くの所では生態系を理解した上でのこうした試みがなかなかできないのです。
 そして研修が終わり、バスに戻れば、クーラーボックスできっちりと冷やされたビ○ルが待っています。研修が終わるまで我慢していた面々はつまみ片手にいよいよ本番の開始となりました。宿泊は姫川温泉の国富翠泉閣。団体は遊林会だけだったようで、宴会場も温泉も貸し切り状態です。夕食では青年部長の乾杯の音頭を皮切りに、いつもの遊林会昼食モードに。女性陣はいつも自分達で料理して食べますが、今回は座っていれば食事がでてきます。そして泊まりとあれば、酒気帯び車の心配もなく、2時間しっかり宴会した後も部屋に戻っての二次会、ひと部屋に全員集まり、狭いわ・賑やかやわ、もう大変。帰りのバスの中でも、毎年とは言わんけど、4年にいっぺんくらいはやりたいなぁ、との声もあり、どうなることやら。また、研修旅行にあたって多くの方から差し入れを頂きました。ありがとうございました。  

☆森のイベント情報

   森の大人講座、10月は森の染色です!今回は手ぬぐいを、森の自然材料で染める予定です。
■日時 10/19・10:00〜15:00、料金800円〜です。 また、木ままクラブは16日、30日の予定です。  

☆10月の作業日のお昼

   10月のお昼は例年、建部北町の有志の方に作っていただいているサツマイモづくし。芋ご飯に天ぷら、煮物、場合によっては焼き芋のおやつつきです。こう書くと青年部長あたりが、それではもう一つ、”芋”焼酎も加えましょうとなるのではと考えたりもしますが。いつも書きますが、クマは小さい頃に主食代わりにサツマイモを食べた経験があり、懐かしいというよりは一生分は食べたという感じで・・・・。作業に快適な時期です。皆様の参加をお待ちしています。  
 容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://yurinkai.org or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


▲前の号 | 河辺林通信トップ | 次の号▼

| ホームに戻る |