'08年6号 No.121

☆作業日あれこれ

   5月連休後の作業日は、天気予報通り雨でした。これじゃ参加者は30人位かなと考えながら、合羽をザックに入れ長靴を履いて家を出ました。もちろん「雨喜び」のためのDVDも。

  今日の観察会は草原広場の入口でオトシブミの観察から。昨年頃から見つかるようになった昆虫で、クヌギの葉を切って丸めて落とします(落とさない種もいる)が、その中に卵を産み、幼虫はこの丸められた葉に守られ、なおかつそれを食べて成長するのです。葉を丸めた物が地面に落ちているのを巻紙の手紙に見立てて“オトシブミ”と名付けているのです。体制批判の文書や恋文をオトシブミの形で路上に置いたようです。クマは試みたことはありませんが、我らの世代ならオトシハンカチ(意中の相手の前を歩きさりげなくハンカチを落とし、拾ってもらってきっかけを作る)ということになるのでしょうか。脱線です。


!!!なヤマツツジ

   次はタニウツギの花です。1昨年に大先生呆然の草原広場一網打尽事件でほとんどの木が刈られてしまい、昨シーズンは満足に花を咲かせなかったのですが、昨年の草刈りではマーキング作戦が成功、2年目の枝に見事に花を付けています。強い日照を好むこの花は、森ではここにしか復活していません。間もなくオカトラノオの季節ですが、かつては一面に咲き乱れた花も、草原広場の主役がメリケンカルカヤからススキになり照度不足で少なくなったようです。いつもながらに埋土種子の多様さと環境が変化するごとに主役が移り変わる自然の面白さ、保全活動ではどこを良しとするか悩むところです。次は今が盛りのヤマツツジの花へと移動です。
 
 途中の交流広場には咲き始めたモチツツジがありますが、これは活動初期の頃に見つけたヒョロヒョロの株で花を咲かせる力もなかったのですが、保全活動の結果木漏れ日が増え、今では見事に花を咲かせるようになりました。この日の観察会の最終目的であるヤマツツジはこの森で確認しているのは2株、いずれも観察路沿いにあります。見事な花を付けるのはイタヤカエデの近くのもので、子ども・大人問わず、見た人は「これは見事!」とびっくりします。今春の花はひときわ見事でしたが、大先生の推理では東側をナラ枯れ対策で伐採したために陽当たりが良くなったためだろうとのこと。その逆に近くにあるたった1本生育している日陰を好むコアジサイは、息も絶え絶えで対策が必要です。あちらたてればこちらたたずという状態ですが、ここでも改めて日照と植物の関係を学ぶことができます。


新緑コンサート

     この日は雨のため、予定の作業メニューから竹林整備を省略、それでも合羽を着てクズやセイタカアワダチソウを抜く作業は実施です。転職して1年ぶりに参加したフトン屋、異動後初参加のウシマロも頑張っていました(この2人が来たから雨が降ったという説も…)。この作業は秋までイタチごっこ、クズは根までは抜けませんのでしばらくすれば元の木阿弥、セイタカアワダチソウは、人様が作業された後をたどればどんな名人の仕事でもお目こぼしが見つかる有様ですから。
 森守堂や作業小屋では、みどりのつどい販売グッズの袋入れなどの作業です。センターのスタッフ・ルームの窓の外では、親方がチェンソーを使用して杉丸太でベンチ作りです。この杉材は、森で立ち枯れになっていたのを伐採した物です。この頃には参加者は予想を超え40人ほどになっていました。

  お昼はすいとんがメイン、他には筑前煮、蕗、焼豆腐の炊いた物、天ぷら6種などです。すいとん(団子汁)はお米の御飯が食べられなかった戦中戦後を偲んで8月の定番なのですが、今月作ると決めたソメヤンハサケヤメター氏にミーティングの時に理由を聞くと、戦後の開拓農家で充分に米を食べることができずメリケン粉の団子汁を食べたから思い出してとのことでした。同じ経験がクマにもあるのですが、クマの家ではメリケン粉も買った物だったのでそのことも尋ねると、「二毛作で米の裏作に小麦を作ってたんや。粉屋に麦を持ってくと挽き代を引いて粉にしてくれたんや」とのことでした。クマが生まれた地域には水田はありませんでしたので、オカボ(陸稲)やアワ(粟)、キビ(黍)、サツマイモなどの畑作の裏作に麦を植えていた風景が鮮やかによみがえってきました。里山が生き生きとしていた時代、そして貧しさと心の豊かさが同居していた時代でもありました。
  外は雨、午後はもちろん雨喜び、原節子主演の晩春を観たのは4人、作業小屋でのトラの咆哮も聞こえず他の方は何をしていたのやら?  第4水曜日、午前中は蒸し暑かったのですが、午後からは少し風が出てきて、作業日和になりました。本日はタケノコ間伐作業です。今年はタケノコの出がいまひとつのような気がしていたのですが、やはり竹はすごい!たくさん出ていました。例年よりもタケノコが太くなっているようで、太く立派なハチクがたくさん出ています。竹林として保全している区域ではここ数年細いタケしか出ていなかったので、太いタケノコは歓迎です。一方、竹を全滅させようとしている区域では鉛筆ほどの太さの細竹が密生しはじめていて、こちらは皆伐です。  作業には20人が参加。水曜はベテラン揃いで作業がはかどり、午前中で予定していたタケノコ退治を終了、午後からは竹炭用の竹割りを行い、午後3時過ぎまできっちり汗をかきました。  この作業日には毎日放送の取材があり、「竹が問題になっている」ということをクローズアップしたいとのことで、9時から14時過ぎまでみっちり取材です。この森でどのように竹林の管理作業をしているのかを取材されました。記者さんも、まだ問題の切り口を探しあぐねているご様子で、とりあえずは資料として撮影されたようで、放映日は未定です。

 6月25日(水) 第4水曜日 森の居酒屋は6月11日 午後7時頃〜
6月14日(第2土曜) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森スタッフ・ルーム情報

  5月、森は学校等の団体で毎日賑わっています。この森での仕事は気楽なものだと思っている方がスケジュール表を見るとびっくりされるようですが、GW以降平日の営業日14日に対して、京都の小学校を含む14の学校約830人にプログラムを実施し、6月はそれを上回る予約が入っています。スタッフはその準備や対応でバタバタですが、うれしいのは転任したという先生から「○○小学校は森に初めて行くのですが、以前いた△△小学校で森に来た時すごく楽しかったので、○○小学校の子ども連れて行ってやりたい」という依頼が増えてきていることです。  忙しくても、プログラムの質は落とさない!とスタッフに無理を強いている成果が、こういう形で出てくるというのはうれしいものです。  

☆緑のつどいとコンサート

 みどりのつどい関連イベントととして実施している春のコンサートは、今回はつどい前日で大凧まつりの前夜祭とかち合ったためか、チケットの売上が思わしくなく心配しましたが、それなりの聴衆が集まりほっとしました。宣伝の悪さを痛感する次第です。今回はクラリネットの首席奏者持丸氏を迎えての弦楽器との四重奏がメインでした。クラリネットと言えば、ブラス・バンドやジャスでお馴染みの楽器ですが、多くの方から音色と音の響き、そして奏者の後ろに見える雨の森の様子について「よかった!」との感激の言葉をいただきました。いつもながら清水女史のプロデュースと大阪センチュリー交響楽団メンバーに感謝ですが、その後の新聞情報では、あの知事は何かオーケストラに個人的な感情でもあるか、ねらい打ち的な補助金カットにより存続が危ぶまれる状態です。オーケストラ存続のためにカンパを含めて支援したい気持ちです。  翌日のつどいは雨のため順延かと思っていましたが、慎重に天気予報を読み英断を下された大凧まつり実行委員会に従い、我らも小雨の煙る中で準備開始。遊林会はシェルターの下でグッズの販売やクイズ・ラリーの受付、そして焼き筍の販売です。午後には天候も完全に回復し、森の木々の上に揚がる大凧も見えましたが、昨年のように森におじゃましてはと途中で降ろされたようです。ホット・ラインのお二人の演奏を聴きながら、好評で列ができた焼き筍とグッズの売上に一安心される愛子マネージャーの姿を眺めつ祭りはお終い。協力いただいた皆様、ありがとうございました。  

☆みな知らぬ間に「河辺林通信」丸10年!

      今月の通信は第121号。ということは先月は第120号…つまり10周年記念号だったんです。発刊後に気づき「何か特別記事でも書けば良かった」と思いましたが、このあたりが遊林会らしいところ。10年だからといって何かが変わるわけでもなく、一つの通過点として迎えました。  1998年6月の第2土曜日から始めた遊林会活動は、今月の第2土曜日の作業から11年目に入ります。だからといってこちらもお祝いの式があるわけでもなく、暑いので午前中で作業を終える7月の作業日の午後にでも多少はそんな雰囲気に…という程度です。これも遊林会らしいところ。この種の活動を10年間続けるというのは、それなりの苦労があるわけですが、過去の苦労を振り返って感慨に浸るよりも、来週は…来月は…来年は…と、先の森のこと・活動のことを思う方が楽しいものです。これからも、活動を楽しみましょう!

☆6月の作業日のお昼は?

 いつもだと間違いなくハチクの筍尽くしなのですが、今年の作業日は14日と一番遅い第2土曜日ですので天候の具合によっては筍の盛りが過ぎてしまった!との心配もしております。しかし、遊林会の台所を預かる皆様のことです、季節感いっぱいのお昼を用意してくださることでしょう。楽しみにしましょう。それよりも梅雨入りや天候の方が気になります。
 容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
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