'07年12号 No.115

☆作業日あれこれ

  木々が色づきを見せ始めた11月第2土曜の活動日は、前日から空模様が気になりました。どの予報も曇印のオンパレード。おまけに夜半には樋から雨音が…それでも朝、森に向かう頃には空に明るさが見えてきました。これはきっと、訳ありて欠席されたクマ殿の人徳の賜物でしょう。(ということで、今月号は代筆です。)さて、空模様の心配がなくなって、いつもの顔ぶれが姿を見せては火が入ったファイヤーサークルを囲みます。中にはお久しぶりの顔もあります。30人近く集まったところでお約束の観察会が始まるはずですが、なぜか、説明役の三平モドキが出てきません。どうやら、一夜漬けならぬ朝漬け(早く来てネタの追加をしていたとの事)らしく、おまけにカンニングペーパーを失くしたようで、たどたどしい始まりです。
 しかし、すぐに調子を取り戻して前月のブンチャンに続いてのドングリネタの披露です。まずは、この森に落ちるドングリや市内各所で採取したドングリを並べた標本ボードとケースで説明します。食べられるドングリや、この森のクヌギとアベマキのドングリは粒が大きいと評価されたことなど。ギャラリーからは「あそこには○○がある」とのレポートもありました。続いて常緑と落葉、広葉と針葉の葉の違いによる分布の説明です。耐寒性では常緑より落葉が、広葉より針葉が優れており、落葉針葉樹がもっとも寒さに強いことになります。葉のタイプで分けるとこの付近は樹種が豊富だと言えるようです。もちろん、太古から今日までには大規模な気候の変化があった訳で樹種の勢力分布の拡大縮小もあったはずです。ここで巻紙を取り出して気候の変化を帯グラフで説明します。「縄文時代(?)から現在までがこれだけの長さだとすると、地球の誕生はこの森から彦根辺りの長さになる」の説明に「へぇー」の声「地球の歴史から比べたら人の一生は誤差みたいなもの」などの声がありました。掴みにくい時間という単位を距離で示し想起させるはなかなかいい方法だと感心しました。その後は比較対象に、放置しているエリアに分け入って植生の状況を観察です。陽光が遮られた林床には嫌われ者のセイタカアワダチソウすら侵入していません。また、植物の種類も限られていることが見てとれました。さてセンター前に戻ると愛子様の体操です。小田和正をBGMに体をほぐします。予期せぬ振りを指示され、体がついていかなかった面々は苦笑です。


まずはみんなでキノコ狩り

  さて、作業開始ですがこの日は草刈作業がメニューになく、ヘムスロイド村ご一行様はじめいつもの草刈メンバーは他班の応援です。燃える青年部長がリーダーの竹林整備班は、強力な助っ人を得て伐りまくる方針です。前号で、強めの間伐をと思っていましたが、随分見透かせるまでにしていただきました。伐った竹は、クラフト材料用にも切り揃えてももします。勢いのある作業ぶりでしたが、工作材料として用いるのでケガをしないように枝を落とす方法や、その是非について論議しながら作業が進んでいたのは、やはり「こだわり」の世界でしょうか。
 セイタカアワダチソウ、クズ、ゲリラ班は大先生がリーダーです。まずはおもむろに食材のナメコとクリタケ採りからスタートです。次いで、ケヤキの林へと向かわれました。セイタカアワダチソウはこれまで継続して駆除してきたことから、目立たなくなってきましたが、敵もさるものセイヒク(?)アワダチソウと姿を変えて生き残ろうとしています。またクズもこれまで退治が及ばなかった下流の水辺では圧倒的に勢力を拡大しています。これを成敗すべく大先生は指揮をとられました。
 アラカシ伐採班は屋外倉庫(草庫)脇でアラカシと枯損木を伐採する予定ですが、枝ぶりが複雑で木の重心が読みにくく、倒す方向を見定めるのに一苦労です。また枝葉も多く、チッパー処理では過日の作業で積み上げられたそれも片付けなければなりません。
 さて食事班ですが、本日のメインはアイガモです。森の近くの建部堺町で有機米作りの裏方として頑張ってくれたアイガモを譲っていただき、前日の金曜から焼鳥名人の手ほどきを受けながら、スタッフともどもで捌きました。(金曜は名人に残業までしていただきました)。今回は料理長がお休みでしたので助っ人料理人ソメヤンハサケガスキー氏に久しぶりにお越しいただき、カモ鍋をお願いしました。氏は職人そのもので「どうしたら美味しくなるか」と考えながら鍋につきっきりでした。カモカレーと森から調達したナメコとクリタケの酢の物などを美味しくいただきました。 楽しいお昼の後もきっちり作業です。各班それぞれ、もうちょっとといったところを手がけます。一方、作業小屋では、アイガモ農法実践者兼提供者の込山さんを交え延長戦です。もちろんソメヤンハサケガスキー氏も輪の中です。実を言うとソメヤン氏は込山さんの上司であり、カモ鍋の縁で森でも邂逅と相成った次第です。他にも込山さんのところにはカモが飼われており(込山さん曰く、早く成仏させてやらないとイタチやキツネへのクリスマスプレゼントになってしまうとの事)12月の作業日にも一段と肥えたカモがいただけるようで、再び焼鳥名人のご指導の下、捌き方教室となる模様です。


軽トラ竹満載!

   第4水曜日の活動日は、雨露の残った竹林の整理です。昨年も竹工作の材料のために大量に伐りだして今年に向けて保存していましたが使っていうちに足りなくなってしまいました。それほど多くの子どもが竹工作を楽しんでくれているのです。作業にも力が入ります。竹林で伐った竹を「これでもか」と言うほど軽トラに載せてネイチャーセンター前まで運びます。運んだ竹は枝や要らない部分を取り除き作業小屋隣の保管場所に立て掛けて来年の使う時まで保存します。作業はそれぞれに人員がはりついて流れ作業でスムーズに大量の材料をキープすることが出来ました。お昼はあったか豚汁、オカラ、里芋の煮物、ヤーコンのキンピラ、白菜と焼き油揚げの和え物、漬物で美味しくいただきました。午後からも残った竹の整備と薪割り大会に突入しました。調理班のみなさんも食事のあとかたずけの後は、工房櫻としてホールの飾りつけをリニューアルしました。今回の20人余りの参加者の中には東近江市と姉妹都市の常徳市から市役所に勉強に来ている陳さんも参加されました。保全活動や工作を通じて楽しく交流する事が出来ました。  



 12月19日(水) 第3水曜日 森の居酒屋は12月5日 午後7時頃〜
12月8日(第2土曜) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

  

☆広場のメリケンカルカヤ

    草原広場の管理では、多様な植物が繁茂するようにクズとセイタカアワダチソウの除去に力を入れていますが、帰化植物であるメリケンカルカヤは余りの繁殖力のためにやむを得ず対象外にしていました。1年に1度、草が枯れてから草原の刈り込みを実施すると、冬枯れのメリケンカルカヤばかりを軽トラック10台ほども運び出す有様でした。草原ではオカトラノオの季節が過ぎるとメリケンカルカヤが一面を覆い、わずかに地面の高低に応じて高い所にはススキ、低い所にはイグサの仲間が生えるばかりで、帰化植物のこの草がのさばっているのを苦々しく感じていました。しかし、毎年、クズやセイタカアワダチソウの除去を続け冬に刈り払いを実施した結果でしょうか、あれだけ一面にはびこっていたメリケンカルカヤが消え、この地域本来の草原の主であったススキが優占種になってきています。メリケンカルカヤは、草原以外では、森の中では見かけず広場と森の境の陽が良く当たる部分だけで見かけますから、生育するのに強い光が必要な植物です。森の草原広場からメリケンカルカヤが駆逐されたのは、ススキとの草丈の違いに原因がありそうで、背の高いススキが増えればそれより低いメリケンカルカヤは陽の光を受けることができず淘汰されたと考えると自然です。互いに宿根を持つ多年草で、毎年春に生き残った根から芽を出すわけですが、草丈の違いがススキが生存競争に打ち勝つ要素だったようです。余談ですが、屋根葺きの材料(茅葺き)であるススキ(カヤ)は、鈴鹿の山中などでは材料を収穫する茅場(カヤバ)と呼ばれる草原を形成し集落で管理していましたが、現在は刈られることがなくなり遷移により森林に戻っています。 参考:草葺き屋根の材料は、その地域で手に入れやすい材料で葺かれるのが一般的で、クマの育った平地の集落では麦、畑の少ない山間地では茅、葦のある所では葦などが使われたようです。  

  

☆クリスマス・コンサートは12月15日(土曜日)

    今年のコンサートは趣向を変えて、アカペラコンサートです。アンマークトシンガーズという2001年12月結成の関西の音楽系大学、大学院の声楽専攻の学生や卒業生等の若手声楽家12人による編成です。名称のUnmarked Singersとは「無印歌手集団」「注目されていない歌手集団」の意味で、注目されていなくとも、集まれば新しい何かができるという思いを込めて命名されたそうです。時間は16:30開場。17:00開演で河辺いきものの森ネイチャーセンターでおこないます。今回は入場料1,000円です。曲目は・きよしこの夜・荒野の果てに・来ませ来ませエマニュエル・赤鼻のトナカイ・ジングルベル等のクリスマスソングです。是非申し込んで下さい。  

  

☆12月の作業日の午後は忘年会

    忘年会の日は、作業は午前中のみ。お昼は恒例の餅つきで始まります。今年の手返しは誰がするのやら。いつもの通り、突撃隊長と痩せの大食い・三平モドキの間で餅の大食い競争になるのでしょうか。大先生の「わしはアンコロはいらん、おろし餅に限る。」との声も聞こえてきそうです。つきたての餅を大根おろし、きな粉、アンコなどでいただきます。今月も合鴨農法の鴨もいただけそうです。大いにコミュニケーションを盛り上げ、遊林会10年目の忘年会を楽しみましょう。独断で選定する映画鑑賞も計画しています。皆様、お帰りの手段を考えて参加してください。やむを得ぬ人には代行運転あるいは送り届けも実施しますが。また、4水曜におこなっている週日の活動日は年末に近いので第3水曜日に変更します。お間違えのないように    容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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