'07年11号 No.114

☆作業日あれこれ

  秋らしい気候になってくる10月の作業日は、雨さえ降らなければ絶好の作業日和です。いつものように事務室の窓からやって来る人を眺めているとベテラン勢が次から次にやって来ます。いつもの名人連はもちろん、このところ土曜日にはお顔を拝見しなかったキノコ博士の姿もあります。観察会はブンチャンの初登板、この森のドングリの紹介から始まりました。台紙に5種類の葉やドングリの形、種子散布の種類の説明とドングリの場合は重力散布と動物の関与と続きます。時折、クマに同意や補足説明を求めてきますのでおちおちできません。マルは要領よく台紙の持ち役で飛んでこないようにしています。フィールドに出ずに終わるのかと思っていると、「童心に返ってドングリ独楽回し大会をしますので、さぁー、森に拾いに行きましょう。」、場所はクマが案内するようにと指示が突然来ました。咄嗟に考えた近くて子ども達が拾わない場所は、作業小屋から第2駐車場に至る道だと先頭に立って案内をしましたが、道の始まりの部分には落ちてなくて「落ちとらへんぞー」なんて声もかかります。大丈夫、道の中程には独楽の材料になりそうなアベマキのドングリがたっぷり落ちています。見つけるやいなや大人共は良く回る独楽になりそうなドングリを探すのですが、持ち帰れる個数は3個まで、先に拾った物と交換したり、良いのがないかと道を外れて森の中に入ったりと結構真剣です。いよいよ独楽作りになると、普通はドングリに錐で穴を空けて楊枝を差し込むだけなのですが、穴を貫通させ楊枝を通し軸にして回そうと、勝つための工夫をする連中もいます。できあがれば練習、紙で囲われた中で回すとベー独楽状態、良く回ると言うよりもぶち当たっても倒れない方が勝つという感じです。それでもトーナメント方式で試合をすると蛇掴み名人殿が勝ち上がりです。
 ドングリづくしの観察会の最後は、ドングリカステラとドングラッセ(栗を使えばマロングラッセ)の試食です。澱粉をたっぷりと蓄えたドングリは森の生き物への慈善事業家、そのお裾分を少しいただこうとのスタッフの試みです。カステラは少しぱさつきますが、心配した渋みはありません。甘く煮込んだドングラッセは、もう少し大きくてブランディーの香りでもすれば商品になりそうでとても好評でした。ほとんどの参加者がドングリを食べるのは初めて、とても良い経験ができました。

   


今月も竹林整備中

 この日の作業は、竹林整備は青年部長とマルがリーダーで第2駐車場近くでタケを伐採、現場で切り刻まずに長いまま軽トラでファイヤー・サークルまで輸送、運転はもちろん軽トラ野郎殿です。竹林は細いタケで混み合ってきており、少々強めの間伐が必要です。テングス病も蔓延しており、胞子で伝染するので伐って燃やす以外に有効な対策がなく、この点からも罹患したタケの伐採を強化する必要があります。テングス病は葉のない枝ばかりのタケになり活力が失せ、最終的には枯死します。女性も交え、ベテラン勢は大喜びだったことでしょう。
 セイタカアワダチソウ、クズ退治班は、継続した駆除と他感作用(アレロパシー)のせいか、少なくなったセイヒク(背低)アワダチソウ退治で、メイン作業はクズ虐めだと申しておりました。アワダチソウが森の中に少なくなった原因は、木が育って林床の照度が下がったことも一因かと思っています。森の小径のいたる所に、黄色く色づき始めたこれやクズの蔓が捨てられており、ゲリラの転戦の跡を物語っておりました。
 機械刈部隊は総勢5名、草原広場から交流広場に向けて実生苗やリュウノウギクに留意しながらヤマウドやササを刈り払いました。この時期までに森全体のササを刈ることができてほっとしています。地下茎に今年の夏の光合成の結果を蓄えきるまでに、養分の詰まった地上部を刈ることができましたので、来年の草丈は低く抑わるはずです。今年もササの兵糧攻め完了です。
 食事班は、サツマイモを中心とした天ぷら、芋御飯、芋と豚肉のピリ辛煮、冬瓜のお汁、唐揚げ、春雨サラダ、そしてクマの大好きな焼き豆腐の炊いたのとたっぷりのご馳走を準備です。この焼き豆腐の炊いたのですが、我が家では途絶えてしまった料理で、なかなか味が染み込まず祖母の味が懐かしく、作るこつを思わず聞いてしまいました。昆布を敷いた上に焼き豆腐を載せ、醤油と砂糖で味付けして煮むだけだそうなんですが・・・・。

   


今月も竹林整備中

   お昼にはトラ御用達テーブルの横で、本業の個展準備で忙しい定番のない陶芸家を肴に欠席裁判で盛り上がっておりました。ろくろを回しながらクシャミでもしていたことでしょう。この日は久しぶりに石窯に火を入れ石焼き芋も用意、作業後の3時のおやつ、あるいはお土産にしてもらいました。クマも後で試食、一寸焼き過ぎてぱさついた感じ、反省です。

 第4水曜の活動日もまた、作業にはうってつけの好天に恵まれ、意気盛んな20余名が集いました。メニューはアラカシ伐採2本と枝葉のチッパー処理、そして河辺の森駅ビオトープの土留め補修の二つ。アラカシ班は、切り倒した2本分に加えて、先の中学校の作業で伐り出された膨大な量の枝葉も処理する予定で、午後一杯掛かるとの目論見で作業開始。チェーンソーのエンジン音に続きチッパーの軽快な音が森に響きます。
 もう一方の森駅ビオトープ班ですが、池を囲む斜面が崩れないように施した竹柵が腐食し、杭から外れて崩れたりしていることから、新しい竹に置き換える作業です。当初の施工時は割った竹を絡める伝統芸工法でしたが、今回の補修では、合理的な手法で竹の土留め柵を作っていきます。なかなか精度へのこだわりがあるようで、「あと1cm寄せて」「手順はこうしたほうが」のやりとりが交わされ、その作業ぶりは、まさに「カイゼン」そのものではないかと自画自賛の声もありました。
 さて、膨大な量に立ち向かったアラカシチッパー班ですが、なんと昼前には片付けてしまい、午後は工作材料用の竹の整理に励まれました。昼食時に漏れ聞こえたところでは、「体の方が勝手に動いた」とのこと。チッパー作業が久々だったことがそうさせたのでしょう。お楽しみのお昼ご飯は、ひじきごはん、サツマイモのリンゴ煮&アラカルト春巻、ハタケシメジ(森産)の酢の物、里芋と大根のイカ煮、そうめんカボチャのサラダなどなどあわせて8品。森と畑の恵みをいつものようにおいしくいただきました。  

   

 11月28日(水) 第4水曜日 森の居酒屋は11月7日 午後7時頃〜
11月10日(第2土曜) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

  

☆河辺いきものの森スタッフ・ルーム情報

    スタッフルームでは森の宝物探しにはまっています。若者組は、カゴを下げて森の中へいそいそと出かけていきます。しばらくして戻ってくると、カゴには花や実が。何をしているかというと草木染とのこと。あれやこれやと、紙や布を染めるのに凝っている様子。「あの花が、あの実がこんな色に」と思っている以上に素敵な色に染め上がるのが楽しいとのこと。これを使って何を作ろうかとワクワクソワソワしています。また工房「櫻」組は新たな工作・クラフト材料の収集備蓄に余念がありません。新素材が登場するかもしれません。三平モドキ氏はというと、ドングリ集めに夢中の様子。種類ごとに分類したうえで、さらに微妙な形の違いを比べています。目指すは森のドングリ博士でしょうか。、いろんなモノを見つけられるこの森は、やっぱり宝島なんだなと思うところです。  

☆東近江市、来年度予算は緊縮型

   国はとっくにそうでしたが、地方の財政逼迫も顕著になってきました。東近江市も他団体に比べればましなようですが、それでも予算の自由度がなくなっています。来年度予算では、各部ごとに予算を枠の中に収めることが求められています。河辺いきものの森は、ボランティアによる里山保全活動でも、スタッフと一体になった自然環境学習でも全国有数のレベルにありますが、部の中では少数勢力、外からの評価とは裏腹にしわ寄せが来るのではと危惧しています。東近江市の大事な財産である河辺いきもの森は、ボランティアと足腰の強いスタッフによって支えられています。ボランティアは皆さんの力ですので心配ないのですが、スタッフの安定雇用は市からの委託料に依存しており悩みが尽きません。  

☆ナラ枯れ、これからすべきこと

   県内ではほとんど無策のまま、情報さえ提供されることなく枯れるにまかせている現状だと考えています。ナラ枯れ拡大の原因のひとつは、マツ枯れと同じく人が身近な森林資源を利用しなくなったことによる森林の変化であり、受け入れざるを得ない植生の変化だと理解しています。しかし、だからといって県内でのナラ枯れ蔓延を漫然と放置することにはならないと考えます。延命公園のコナラの巨木のような木、都市公園や地域で親しまれているエリアにあるナラ類くらいは守るべきではないでしょうか。こうした限定した木や場所でなら、遊林会が河辺の森でやっているような方法で蔓延を防止できるはずですが、しかるべき組織が県内では全く動こうとしていません。ナラ枯れに追い打ちをかけるように県内ではこの夏、マツの若木が枯れているが目立ちました。かつて猛威をふるったマツ枯れの後に復元した若マツが枯れている感じです。ナラ枯れもマツ枯れも先手必勝、しかし県内では戦う気力も意志も被害の把握もなく、なすがままとしか思えません。全てのナラ枯れやマツ枯れから木を守れとは言いません。守るべき限られたエリアの木、地域のシンボル的な木だけでも守るべきだと考えるのですが、届くのでしょうか、この声。まぁ、ぼやくだけではなく、河辺の森ではキッチリと対策を講じましょう。  

☆11月のお昼

  ☆11月のお昼  サツマイモ尽くし第2弾か、同じ芋でも里芋の芋煮もありか。愛子様の創意工夫に任せましょう。     容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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