'07年10号 No.113

☆作業日あれこれ

   9月の第2土曜日は8日、第2土曜日としては一番早い日になり、8月と変わらぬ真夏の暑さが心配される作業日でした。当日になれば蒸し暑く風のない日で、参加者は少なめです。観察会は、今月もハリヨからです。先日、レクチャー・ルームで飼っているナマズが痩せてきたので、うしまろは何とか生き餌を食べさせてやろうとミミズ探しを始めたのですが、真夏の乾燥した森では無理な話です。あきらめらきれず、不届きにも池に網を入れ、メダカやカワムツを採ろうと藻の中を探ったのです。そうすると網に入ったのは、見慣れないゼブラ模様の体調2p程の魚です。考えを巡らしてハリヨの当年生まれの子であることに気が付いたのです。嬉しさの余りナマズの餌の確保を忘れて周りを探ると、次から次にハリヨが掴めるので、多数の子が育っていることを確認しました。側にいた三平モドキを呼び大騒ぎをしたようです。その日の伝言板に第一報、クマもこれで知り、1年しか生きない年魚のハリヨが繁殖しなければ絶滅してしまうだけに、思わず万歳をしていました。この結果を皆さんにも知っていただこうとのハリヨの観察会なのです。現在、ハリヨの繁殖が確認されているのは2番目の池で、放流して繁殖するように条件を整えていた1番目の池ではなく、暑さに弱いハリヨが水深が浅く夏には水温が上昇する池で生息をしていることは首をひねるばかりです。観察会でも藻の中に網を入れると数回目にハリヨが掴めました。水槽に移して皆さんに観てもらいました。水温が上がり弱ってしまってはと心配していると、観察会が草原広場に移った後、うしまろが素早く池に戻しているのが遠目に見え、自分のことのように安心。このまま無事に育ち、来年、また繁殖してくれと祈るような気持ちです。
 2番手は、真夏なのに既に冬の陽射しをたっぷりと浴びるためにロゼットの葉を広げているハハコグサ(春の七草:ゴギョウ)の観察です。鬼の霍乱から復活された大先生が、ヨモギの代わりに草餅に入れたと説明されましたが、後日調べてみるとハハコ(母子)を臼と杵でつくのは良くないと平安時代頃からヨモギに代わったとあるではありませんか。大先生の説明では、大量に採るのはヨモギの方が簡単やし、香りがあるからやということなんですが・・・。クマには、正月に餅の代わりに親芋を食べることなどといい、大先生がお住まいの地域にはとてつもない時間が封じ込められているように感じます。続いて愛知川にこの仲間のカワラハハコが群生していた10年程前のことや、エーデルワイス(日本名:ウスユキソウ)も仲間であることが説明されます。カワラハハコは秋には河原一面が白く見える程の大群生で、ドライ・フラワーの材料に大量に持ち去られたりしましたが、洪水による攪乱がなくなると河原の植物の遷移が進み、見られなくなったのです。

鶏を捌いていただきました

  この暑さに負けず作業開始、竹林整備はもちろん青年部長、この日は不足してきた竹工作用のタケの伐り出しとストック場所の整備です。機械刈班は、古い方の萌芽更新エリアと野鳥観察壁周辺の林床のササ刈りです。この作業は、ササが光合成の結果を地下茎に蓄えるまでにしなければなりませんが、まだ他にも刈らなければならないエリアが残っていますので一寸焦っています。時期を間違わずに作業を進めれば、ササの背丈、勢いを抑えることができます。刈払機は5台、ヘムスロイド村御一行様&2人です。そろそろスズメバチの数が増えて危険な時期になってきましたので、作業では要注意です。先日には、炭焼名人が被害に遭われましたが、適切な措置でかゆくてしょうがなかった状態で済んだようです。経験では、毒吸引器(針のない注射器みたいな物)による吸出しとその後の水洗いが有効です。
 今年の萌芽エリアでは、今月もブンチャンを中心に4人で手刈りによる除草作業です。この作業をサボると萌芽が草に被圧されて枯れてしまいます。萌芽更新は、伐るだけではなく、その後の管理が重要です。
 森内転戦ゲリラ部隊は、今回一番の大部隊、マルや女性陣でケヤキの林を中心にクズ、セイタカアワダチソウ、目こぼしのタケ退治です。
 大先生は、水辺で独り、クズに覆われたイタヤカエデの幼樹の救出作業です。
 昼食班は、ビデオ小父さん提供の肉鶏を、焼鳥名人の指導で解体、スープの出汁や焼鳥、鶏御飯に調理するわけですが、時間との競争、愛子様は時計を見ながら大変です。お昼に作業小屋に戻った面々からは、作業の暑さが伝えられます。早々と午後の作業は中止、ゆっくりとしたお昼の時間が、いつもの「いただきます」で始まりました。

  9月第4水曜の活動日は記録的な残暑の中です。20人余りと結構集まり、賑やかな活動日になりました。今日の内容は手鎌部隊と機械刈りによる草刈り作業と食事班です。森は晴天続きで水不足と思うのですが、草たちは元気で背丈を伸ばしています。一番栄養を稼ぐ時期は終わったとはいえ、特にクズの様なツルは放っておくと、知らぬ間に面積を拡大し大変なことになってしまいます。ドングリ広場やモミジの林でナギナタモドキ(大鎌)を使って丁寧に刈り取っていきました。作業中2m以上もある脱ぎたてヘビの抜け殻を発見。ヘビのお邪魔をしていないかとドキドキしながらも作業を続けました。交流広場近くでは草刈り機部隊がササに覆われた小さなドングリの木を刈り残すのに神経を使いながら作業をします。将来、近くの大きな木が枯れた時は後継木になるかもしれませんので出来るだけ残します。さて楽しみなお昼は、釜焚きご飯、味噌汁、鯖の味噌煮、豚の角煮、スペシャルおからコロッケ、カボチャ・唐辛子・ゴボウ煮と○○ケーキでした。○○ケーキは10月の活動日の観察会のネタとして、現物を味見していただいてからその原材料を紹介するそうですので、お楽しみに…。  

   

 10月24日(水) 第4水曜日 森の居酒屋は10月10日 午後7時頃〜
10月13日(第2土曜) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

  

☆河辺いきものの森スタッフ・ルーム情報

  ホームページを開設して6年が経ちました。遠くの方などに森の最新情報を伝える手段として便利な事この上ありません。出来るだけ週1回以上の更新を目指して三平モドキが孤軍奮闘。頑張って更新しています。週1回では物足りない方に向けてはスタッフが掲示板に出来るだけ書き込みをするようにしています。数あるホームページの中から目的のホームページを探し出すサービスを提供するGoogleで「里山保全活動」を鍵にして検索するとなんと1位で表示されます!つまり「里山保全活動」という内容では一番充実し支持されているという事だと自負しています。もう少し範囲を広くして「里山保全」「里山」を鍵にして検索してみても3位と115位と大健闘しています。何度も見られるホームページは自動的に上位に表示される(他にも上位に表示させる裏技があるそうですが正攻法でいきましょう。)ので、これからもホームページを充実させていきたいと思います。みなさんもぜひ見て下さいね。  


今月も竹林整備中

☆ナラ枯れ、今年の状況と今後の対策

 昨年は、彦根の北部で目立ったナラ枯れですが、今年は多賀町や愛荘町、彦根市の南部、荒神山などでも目立って来ました。市内でも、永源寺地区の布引山でも枯れたようで、確実にナラ枯れは湖国を南下しています。近江八幡市の八幡山でボランティア活動をしている団体の話しでも枯れる木が増えているそうです。幸いに河辺の森では、今年は枯れた木は1本で蔓延を阻止できていると判断しています。今春、被害木の周りの木を伐採し、萌芽更新を図ったことや残した木をシートで覆ったことが効果的だったように感じます。しかし、近くには高林管理でコナラの大径木を残している交流広場やドングリ広場が無警戒になっており、今後、被害が拡大してもおかしくない状態です。交流広場は高木を残さなければなりませんのでシート巻、ドングリ広場は植栽木が成長しており伐採が適当だと考えます。しかし、この森では幸いにボランティアの皆さんに支えられてこうした作業が可能ですが、地域では労力が不足しており、ナラ枯れ対策を広報しても一般的なナラ枯れ対策として適当とは言い難い状態です。

 森林総研の情報では、枯れた木を伐採せずに土壌殺菌剤のNCS剤を樹幹注入すれば拡散防止に大きな効果があるとあります。NCS剤は、食物野菜の植え付けにも使うことが認められており、残留毒性も低く環境汚染も心配のないレベルのようです。カシノナガキクイムシの来年の発生時期までに方法をマスターし、地域に広めることができればよいのですが。

 オマケ:ナラ枯れにより大径木が枯れると森はどうなるでしょう。この地域では、エネルギー革命以降伐られなくなった落葉樹が樹齢40年以上の大径木(概ね樹高15〜25m)となり、森の一番上の部分(樹冠)を占めています。その下の10m以下の部分は上の落葉樹により陽の光が充分に届きませんので、少々光が乏しくても育つアラカシやヤブツバキなどの常緑樹で占められています。林床ではより陽の光が届きませんのでアオキなどが細々と生きています。ですから大径木のコナラなどが枯れるとその下の中層のアラカシなどに陽の光が充分に当たるようになり、勢いを増し、森は常緑樹だけの植生の乏しい薄暗い森へと移行していきます。決して枯れたコナラなどの森には復元しません。九州などの豊かな常緑樹の森を知っている人には、常緑樹の森でもいいじゃないかとの意見もあるでしょうが、この地域では常緑樹の種類は限られており、陽の光が届かない下層の貧弱な植生と相まって、極めて植物の種類、昆虫などの動物の種類の少ない森になってしまいます。遊林会がナラ枯れに立ち向かう理由です。高林管理の森では?、シカの生息する奥山の落葉樹の森では?、いろんなケースが考えられますが、好ましい結果は出そうにありません。  

☆10月のお昼

 10月の作業日より、雨でもなければ終日作業です。サツマイモの収穫の時期、お昼には芋御飯や天ぷらでしょうか。石窯で石焼き芋も・・・・。午後も頑張れるメニューにしましょう。    容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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