'07年9号 No.112

☆作業日あれこれ

   8月の第2土曜日は、世間様ではお盆連休の初日で、これが参加者にどう影響するのか計りかねるところです。天候は朝からじりじりと照りつける真夏日、作業は半日とはいえ熱中症が心配されます。自然観察の時間になると参加者はいつもより少し少ないかなという有様でした。本日の観察会は新人の登板で何が始まるのかと興味津々の方々が彼女の周りに集まりました。遊林会にはこの春から二人の女性スタッフが増えていますが、一人が自分のことをブンチャンと名乗っています。もう一人はフクチャンと呼ぼうかと勝手に考えています。
 担当のフクチャンは、この時期の野の花が万葉集の中でどのように詠まれているか紹介です。まず対象になる花を説明した後、事前に用意したフリップに短歌を書いた物を広げ、当てられた参加者がその歌を読むことになったのですが、万葉仮名ではなくても古文です、たどたどしく音読することになります。世話役への情けかクマは当てられなくてほっとしました。取り上げられたのは、ツユクサ、ネムノハナ、ヤブラン・・・・。古文の授業が終われば、ナツズイセン(夏水仙)の観察です。
 ヒガンバナに似たナツズイセンが咲く場所がこの森には2カ所あったのですが、今年の開花は1カ所です。この花については、通信4年9月号で近畿地方のレッド・データーに指定されていることと、中国からの帰化植物とされることに対する疑問が紹介されています。クマがこの花を知ったのは、早春の林床で青々とした葉を広げていて、いったい何だろうと思って気にしていると、やがて葉が枯れ花穂が伸びきれいな花が咲いた時です。ヒガンバナと同じで、葉と花を同時に見ることはできず、河原に多いこの花は、地面が草に覆われる前に葉を茂らせ太陽の光を浴びて根に養分を蓄え、長い花穂で草の上に出て花を咲かせる作戦のようです。薄いピンクのきれいな花を咲かせますが、この花もまたヒガンバナと同じく種子を付けることはありません。
 さて作業前のストレッチはこの日からテーマ音楽が365歩のマーチから井上陽水の曲に変更、インストラクターの愛子様はこの暑さにかかわらずご機嫌です。

 作業メニューは、まず、熱中症対策をくどいほど話した上で内容を説明、竹林整備は早朝から余所でボランティア活動を終えて参加の青年部長がリーダー、パワフルに軽トラで整備した竹を大量に焼却処分です。
 ゲリラ班はうしまろがリーダー、クズやセイタカアワダチソウを抜きながら森を転戦、最後はケヤキの林でした。
 普段は料理班で腕をふるう女性陣は今回は男の料理のため、このゲリラ部隊に参加されていました。
 機械刈班はお馴染みの一網打尽は、ヘムスロイド村御一行様が不在でしたので、環境に優しい作業になったのではと想像しているのですが、途中よりチェンソー10本斬り事件(捌くことなく次から次に前進、木を切り倒した事件)の草刈名人が参加されましたので、恐ろしくて現場確認はしませんでした。
 萌芽の林での下草刈りは、三平モドキが数人でほそぼそと萌芽を被圧する下草を先月に続き刈っていました。林床に直射日光が届くようになったこのエリアは、埋土種子由来のパイオニア植物と勢いを増すササと戦い続けなければなりません。

 昼食は、先月の「8月は男の料理よ!」の愛子様のお言葉により、連日、仕事とボランティアに明け暮れている突撃隊長が焼きぞばを焼いています。夜にはコトナリエ会場にて別のボランティアが待っているというのに…。親方はすいとんのスープ作り、ドブネズミ殿のご母堂は、経験者としてメリケン粉の団子を練っておられます。受託したキャンプで覚えたピラフ作りは、フクチャン、縁の下の力持ちはいつもの方々です。この日の「いただきます」は、お盆の時期ですので、一応、仏に仕える身でもある生臭坊主殿によるお言葉に唱和。午後は、「平和を考える映画鑑賞会」ですから、ゆっくりとお昼が過ぎ、ミーティングも忘れて映画祭に突入してしまいました。いつもモノクロの字幕物でおしかりを受けることが多いので話題の新作、そのためかギャラリーも始まって以来の人数だったように思います。印象的だったのは、敵にいかに被害を与えるかを考える進歩的な司令官と、効果のない玉砕でけりをつけてしまおうという従来の将校達との対立、その間で翻弄される兵卒の姿でした。いかに愛する者のためとは言え、無駄な死が多かった戦法には、やりきれなさが漂います。参謀や内地の高級軍人達にとっては、余りにも小さな人の命、そう言えば水木しげるの自叙伝的なドラマでも同じ場面があったなぁー。それぞれに戦争を考えた8月の作業日でした。


頑張る…竹林・ゲリラ班

    第4水曜日の活動日は、国内で歴史的な気温の高さを記録した猛暑の中の活動です。朝から暑くて身体を動かすのもイヤになる程でした。初めにナラガレ被害木を探して森の中を調査して歩きました。やはり何本かは新たな被害が発見されました。今の時期は切り倒すより、弱っている木にカシナガが集まる習性を利用して集めてから木を処分する方が得策です。そのため被害木に印を付ける事にしました。
 一通りめぼしをつけた後は、野神さん周辺の竹林で工作材料の確保です。今年は多くの来場者が竹工作を行ったため昨年の秋にはこれを見越して大量にストックしておいたのですが、それでも足りません。工作に手ごろな太さの竹を切って軽トラで運びます。途中、野神さんの近くに生えている木の根と土の間からオオスズメバチが出入りしているのを発見。巣がある事が解り気を付けて作業しました。

 お昼は、麻婆豆腐、素麺、冷や奴、ナス田楽、生姜和え、豚しゃぶなど暑さに負けないメニューを美味しくいただきました。午後は猛暑を避けて映画鑑賞会とこの日の夕方からの地蔵盆の準備です。夏休みのイベントの中でも地蔵盆は大人気で準備にも力が入ります。夕方になってくると激しい雨が…。それまで1ヶ月近く雨が降らなかったのにイベント前に意地悪な雨です。森守堂に準備していた木の地蔵様も急遽レクチャールームに移して屋内での実施体制に変更です。ゲームやコマ回し、ポップコーンやフランクフルトのお楽しみも室内で行いました。そこで最大の問題は、夜の森を歩く肝試しです。スッキリしない天候だったのですが子ども達のたっての希望で強行しました。小さな提灯を頼りにグループで真っ暗な森を進みます。大人は森に潜んで脅かそうとするのですが、それに気付かない程、元気な子ども達の声が響いていました。  

   

 9月26日(水) 第4水曜日 森の居酒屋は9月5日 午後7時頃〜
9月8日(第2土曜) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

  

☆夏休みのイベント実施状況

    今年も夏休みにあわせていろいろなイベントを行いました。ザリガニつかみや前述の地蔵盆等のイベントが人気なのですが今年新しく「森の1日レンジャーになってみよう!」を募集しました。当初の応募状況は開催を心配する有様でしたが、夏休みが進むに連れて、保育園や幼稚園の頃から森にやって来ている常連様が申し込んで頂き少しずつ増えて来ました。最終的には、4年生以上の6人(男3、女3)で朝から夕方まで丸1日みっちりといろんなことをしました。授業で来る小学4年生にはまず話さない(通常は中学生以上)「植生遷移」の話などにも踏み込みつつ、森を探検してまわったり、図鑑で調べたりとあっという間に過ぎました。ネイチャーセンターの展示物も作成してもらったりして、最後は「修了証」と遊林会バッチを授与しました。これは子どもたちもそれなりに誇らしげで、喜んでいました。こんな子どもたちの中から、将来こういった活動をしたいと思う人が一人でも育てばありがたい話です。今後もこのイベントを続けていけたらと思います。


地蔵盆ドングリ鉄砲コーナー

☆キャンプ無事終了

  遊林会では、昨年度より市から「やまの子キャンプ」の企画・実施を受託しています。(経緯は昨年の通信に記載)旧八日市市の時代にはサマービレッジという何十年も続いた伝説のキャンプがありました。保護者の元を離れて5泊6日を奥伊吹で過ごすのです。東近江市になって市域が広がり旧永源寺の愛郷の森を会場にして内容も一新し行われています。8月1日〜6日までの間を3つのコースに分けて120人の子どもたちを対象にしたキャンプです。直前には高知でキャンプ中の川遊びに事故が起きたニュースが飛び込んできたり、台風5号の心配やひどい夕立が降ったりして気苦労の多いキャンプでした。普段河辺いきものの森で野外活動や環境学習は行ってはいてもキャンプの指導はありません。今年は昨年に比べて子どもたちの怪我が少なかったこと、3-4年生のコースで去年多かったホームシックがほとんどなく、少しずつノウハウが積み重ねられてきているようで無事に終了でき一安心でした。

☆お馴染み大阪センチュリーのコンサート

 第2土曜日の活動日の翌日は、森のコンサートでお馴染みの大阪センチュリー交響楽団によるオーケストラ名曲コンサートが八日市文化芸樹会館で開催されました。演奏前日の活動日には団員の清水さんが参加してくれました。屋外の保全活動ですので手やお顔をハチや吸血昆虫に刺されでもしたら…。鎌で指を切ったらビオラが弾けないかも…と心配しましたが無事に活動もされて当日舞台の上でもお目にかかれました。15時から始まったコンサートは、心配した聴衆の入りもそこそこあってひと安心。ステージには、森のコンサートでお馴染みの女性陣や去年のコンサートでお世話になった管楽器の方たちの姿も見つけました。会場の方も遊林会の面々や知った顔がたくさんあってリラックスした感じの中で行われました。今後もこの地域にふさわしいコンサートとして発展することを期待したいものです。

☆9月のお昼は

   猛暑が続く8月ですが、9月はこの暑さが続くのでしょうか。天候と相談しながら午後の作業を検討することになるでしょう。念のため、ビデオも用意しておきます。料理は野菜を中心に・・・。猛暑のために収穫が落ちるかなー。
   容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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