'07年7号 No.110

☆作業日あれこれ

   雨が少なく水田耕作にも支障が出ているのですが、皮肉なことに6月の第2土曜日の未明は雷を伴う強い雨でした。雷に興奮した犬に眠りを妨げられ寝不足状態で参加する支度をする頃には、雨もあがっており、ほっとしました。作業出席者の顔ぶれは、最初は天気がどうであろうと参加されるような濃い方々からです。未明の豪雨で出鼻をくじかれたかなと考えていましたが、時間になればいつもの人数です。
 観察会は、三平モドキ担当、希少生物として指定される原因と国指定と地域の事情を反映した県指定の相違例の解説からです。原因は3つ、1.開発や乱獲、2.人の生活スタイルの変化、3.外来種の移入とのことです。次に国と県のレッド・データー・ブック(RDB)指定の相違ですが、この森の植物を例にとれば、昨年この森の池で見つかったイチョウウキゴケは、国では絶滅危惧種T類(絶滅の危機に瀕している種)と分類され、絶滅した種に次ぐ扱いですが、大先生によれば「わしんとこの田んぼは丸い葉っぱの浮き草なんぞない。こいつばっかりや。」もちろんこんな具合ですから県ではノーマークです。水質汚濁と農薬散布が原因と環境省のリストにはあります。この森の生態系管理の象徴ともいえるハイハマボッスは、国では絶滅危惧U類、既に絶滅扱いの県ではこれもノーマークです。逆は県で絶滅危惧種のウメガサソウ、要注目種のモメンヅルは、国ではノーマークです。いずれにせよ国と県を比較することにより、この地域の生態系を取り巻く環境と全国的な傾向との相違点が浮かび上がります。
 座学の次は、最近またまたこの森で見つかった絶滅危惧U類のダルマガエルとトノサマガエルの違いとお披露目です。素人には同じに見えてしまい、事実最近まで混同されてきたのでダルマガエルは知る人ぞ知るカエルです。一番簡単な見分け方は、後ろ足が短くて鼓膜に届かないことと、トノサマガエルはお腹が白いがダルマガエルには斑紋があることなどです。今まではトノサマガエルだと見ていたので気が付かなかったようです。このカエル、どこから来たのか、それとも元から居たのか、残念ながら不明です。この森での経験では、両生類の移動はかなりスピードが遅く、未だにこの森では生息条件としては完璧ともいえる環境ですが、アカガエルやカスミサンショウオの生息している証の卵塊を見ることがありません。このカエル達、一度、三平モドキが地域の環境学習に出かけた時につかんできたトノサマガエルが原因だったのかと、首をひねっています。生物の移入は慎重にしなければと改めて自戒しております。


自然観察会

   この日の作業は、青年部長が燃える竹林整備がメイン、「参加して青年部長を喜ばしたらんとな。」というメンバーに支えられて、発生した筍や込み過ぎたテングス病のタケの間引きです。最後には周りの草も苅らんとと、刈払機大好きのヘムスロイド村3人衆が森の外まで作業をしていました。この時期の作業が天候などのために充分にできず、後から発生した細いタケが間引かれず、お目こぼし状態で混み合ってきていますので、8月まで徹底的にその年発生のタケを中心に間引く予定です。
 マル隊長に小学生レオン君他のチェンソー部隊は、森の立ち枯れの伐採、終われば竹林でタケの中に取り残されたアラカシを伐っていました。
 セイタカアワダチソウ・クズ退治班は蛇掴み名人がリーダー、正面入口から草原広場に移動しながら除草をしていましたが、以前より少なくなってきたと、毎年の作業の積み重ねの大事さを語っていました。
 笑ってしまうのはうしまろがリーダーのタケ退治ゲリラ班、班員募集の時に事務室で電話応対していたために、気が付くとみんな他の作業に従事していました。毎年この作業をやっているドブネズミ殿に声をかけても振られ、結局ひとりで長刀モドキを肩に竹林でない場所に生き残った根から発生する細い細い筍を退治していたそうです。

 この昼食は、豆ご飯、ハチクの筍の筑前煮、森のフキの煮物、シイタケの天ぷら、新ジャガの味噌汁、差入れの地鶏の卵サラダなどです。お昼前から雷鳴がしていましたが、12時を過ぎた頃から豪雨となり、一同、雨喜びを決め込むことになり、ゆっくりとした食事となりました。雨喜びとはいうものの、午前中に引き続き炭焼窯の断熱材の張替を名人が始めると、手の空いたヘムスロイド村御一行様他が助っ人、あっという間に作業完了。レクチャー・ルームでは、三平モドキが子ども達と遊びながらモップを使って床のワックスがけをやっていました。  

湖東信さんの大部隊

  第4水曜日の活動日は、前日の激しい雨に天候を心配しましたが、朝方の曇り空からだんだんと天気も回復してきて暑すぎないけど蒸し蒸しした活動日となりました。今回の活動は竹林整備と薪割り。タケノコが完全な竹になる今の時期に、適切な数に間引きます。竹林管理の方法はいろいろありますが、まだ柔らかい今のうちに蹴り倒すのが一番効率のよい竹林整備の秘訣です。今年はこの作業が少し遅かったのか、竹が既に硬くなっており、ファイヤーサークルまで運んで、燃やす事にしました。水分の多い竹は中々燃えず苦労して燃やす事となります。他にも薪割りの別動隊もあって今回もみっちりと割っておりました。
 さてお楽しみのお昼ご飯も夏仕様です。そうめん、肉じゃが、ポテトサラダ、キャベツの酢の物、大根の煮物、ニシンとナスの煮物、キュウリの浅漬け等々冷たい○ールとともに、皆様の胃袋に吸い込まれていきました。午後からも、森のあちこちに出たひょろひょろの竹を探して行軍し退治しました。気を抜けば元の竹林に戻りそうで手強い相手です。



 7月25日(水) 第4水曜日 森の居酒屋は7月11日 午後7時頃〜
7月14日(第2土曜) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

  

☆河辺いきものの森スタッフルーム情報

   河辺林通信とライバル関係にあるのが我らがニシムラ大先生の手による「はやしだ環境通信」です。その通信が、6月号でついに100号を迎えました。毎月、集落の行事や地名の由来をエピソードを交えながら、また、季節の情報など資料を調べて丁寧に編集されています。(八日市図書館やネイチャー・センターでご覧になれます。)自分の住む自治会でこんな新聞があったらどんなに良いだろうと心底思います。月の中旬に発行される先生の通信に激しい刺激を受けながらも、いつもと変わらぬ論調で河辺林通信は発行されています。 さて昨年の夏休み、初めて受け入れたインターンシップですが今年も募集しています。しかしながら昨年と違って今年は応募者が少ない状態です。スタッフはキャンプの指導や夏休みイベント、毎日のクイズラリーの子どもの相手に忙殺されます。みなさんの知り合いの方で子どもの相手が好きで懇切丁寧に応対して…。すいません(汗)。贅沢は申しません。よろしくお願いいたします。  

☆延命公園、保護樹木のナラ枯れ対策

   21日の木曜の「気ままクラブ」では、市の保護樹木の延命公園のコナラのナラ枯れ対策を行いました。猿舎の近くにあるこのコナラは、滋賀県で2番目のコナラとも言われています。八日市駅に近い公園の高台にあるこの大木にナラ枯れ対策を講じれば、地域社会に対する警鐘効果もあると考えています。推定年齢130歳で幹周り4mもある木ですので1本のみの作業とは言え大変です。ナラ枯れを引き起こすカシノナガキクイムシは大木を好み、木の根元に集中して攻撃するとのことですので、木の根元から4mくらいの高さまで白いシートをいくつも繋いで張っていきます。シートでの防御は昨年里山七彩で来ていただいた京都府林業試験場小林正秀先生から教えていただいた方法で効果が期待できます。作業にはマスコミ数社も駆けつけ取材され翌日の各紙の紙面を賑わしました。地域社会への啓発効果も果たせたと感じています。 付録:このコナラのすぐ近くに猿舎があり、ニホンザルが4匹飼われています。野生動物を飼うことには是非があるのですが、一度飼ってしえば放すわけにもいきません。檻の中で天寿をまっとうする事になります。さて、このサルたちを普段から飼育管理しているのが山田親方。檻に作業をしているメンバーが近づくと威嚇するのですが、彼が作業の合間に近づくと、檻際に仲良く並んで愛おしい人を見るような視線を送っています。彼が動くとそれに併せて動き、ついて回っています。遊林会では「棟梁、親方」などと非常に頼りにしている山田氏ですが、サルでも人間でも頼りになる人を見分ける事が出来るのだと気が付いた次第です。  

☆湖東信用金庫産のボランティア

   湖東信用金庫さんには2001年から毎年、「信用金庫の日(6月15日)」にあわせて里山の保全活動をボランティアでおこなっていただいています。 今年は例年にも増して90名もの方にご参加いただき熱心に作業していただきました。ケヤキの林やドングリ広場での下草刈りやアワダチソウ抜き、大凧の墜落後の竹林整備など近頃積み残していた作業が出来て大変ありがたい事でした。その上寄付金まで頂きこれを元にしてクリスマスコンサートを実施出来る事がになりました。こうした地域社会の方々に支えられて活動が続いていく事が何よりありがたいです。「未来をこの街とともに−地域とともに歩む湖東信用金庫−」というキャッチフレーズを実践していただいています。  

☆7月のお昼は10周年記念

   7月の作業は半ドン、午後は10周年記念のお祝いです。いつも以上に楽しめる食事とたっぷりの般若湯を用意します。語るもよし、昼寝をするもよし、名画鑑賞もよしです。いつも不評ですが、今回も独善的に映画の選定をします。吉永小百合主演の青い山脈を探しているんですが・・・・。字幕スーパー物は、酔っぱらって字幕が読めるかと大先生に文句を言われるのですが、場合によっては洋画もありかと思っています。  くれぐれもお帰りの手段に免許のいる物を使用されませんように。    
   容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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