'07年4号 No.107

☆作業日あれこれ

     週の初めの予報には不安があった3月第2土曜日(10日)の天気ですが、穏やかな作業日和となりました。この日の観察会は、三平モドキの担当で橋のほとりのフキノトウからです。毎年、数の増えてきた池の縁のフキノトウですが、踏まないように竹の柵で囲われています。飲み助共は、ほろ苦いフキノトウ味噌で一杯が良いとか言っていますが、フキを栽培する場合はメインはフキで、花であるフキノトウは栄養を奪う邪魔者として駆除するのだという話しがギャラリーから出て、解説者の三平モドキがたじたじ…。フキノトウには雄花と雌花があり、雌花は受粉後、綿毛を付けた種を風に乗せるために花茎を伸ばすのだという解説を蛇掴み名人が続けます。この後、春植物(スプリング・エフェメラル:春のはかない命)として代表的なキクザキイチゲ(菊咲一華)の観察です。昨年は4月の題材でしたが、今年は3月です。炭焼名人からは昨年の開花した日の情報が一声あります。今年は既に開花する状態(この花は陽が当たらないと開かず、曇りの日や朝にはしぼんだまま)です。「群落の大きさが小さくなったのでは」とか、「少し移動したのでは」との声もありますが、詳しくはわかりません。
 この地域の愛知川河辺林にはキンポウゲ科の春植物としては、キクザキイチゲより早く咲くユキワリイチゲ、10日程遅く咲くイチリンソウもあります。これらの植物が生存しているのは、上流から種子を押し流してきた愛知川と、里山として利用することにより落葉樹の森を維持してきたことの結果だと考えます。クマが関わるようになった10年ほどを振り返っても里山としての利用がなくなりササが増えてほとんど見られなくなったエリア(この森ではありません)もあり、林床に早春の陽の光を充分に受ける環境を維持する里山保全活動がこれらの植物の保全には重要です。作業前の準備体操は今月も愛子様、きっちりと筋肉をほぐした後、作業メニューの説明をして、それぞれの作業開始です。


ナラ枯れ活動中

  毎年、3月はシイタケのほだ木の菌打ちの季節です。今年はナラ枯れ対策でコナラを沢山伐ったのでほだ木はいつもより多め、このリーダーは大先生、草刈名人や炭焼弟子、新人を従えてとにかくやらねばと大奮闘、見かねた炭焼名人が横から助っ人に駆けつける有様です。例年だとドリルで開けた穴に菌を打ち込むのは、子ども達も参加してのどかな作業なのですが、そうもいきません。菌打ちが終われば森守堂の裏に運んで積み上げ仮伏せです。
 
ナラ枯れ班は、作業現場を草原広場の東側、屋外トイレの南の林に移しての作業です。リーダーはマル、この日も炭焼名人がブー・フー・ウーと名付けた3人組の長男坊主は、ヘルメットをかぶって先頭でロープを引っ張っていました。この班にはこのところ毎週のナラ枯れ特別作業に参加されている面々のお顔があり、精鋭部隊というイメージです。地響きを立てて木が倒れると何台ものチェンソーが主幹を玉切り、細い枝は束ねて柴です。
 
 処理した木の輸送はもちろん軽トラ野郎。ダイエットですっきりした身体で花粉症にも負けず大活躍です。炭焼名人はシイタケ班を手伝いながら火入れして5日目の窯の様子を見たり、竹炭の原料にする竹割りの指導をしたりと頑張っておられます。計画では今日一日、じわっと窯の温度を維持して明日に温度を上げて閉め切るとのことです。菊炭には少し軽いが今までで最高の焼成と考えられる前回以上の結果を期待してのことです。
 
 落葉掻き班は、場所をナラ枯れ対策で木を伐ったエリアに移しての作業ですが、今回は温かくなったので子ども達は水辺に惹かれて参加がなく、蛇掴み名人をリーダーに大人4人で黙々とこなしておられました。お昼は久しぶりに天ぷらが沢山、これは揚げ物に強い調理ペアが復活したおかげです。ブロイラーでは味わえない歯ごたえのある焼鳥やヒジキと大豆の炊いたものに炊き込み御飯と鶏ガラワカメスープなどでした。恒例のお昼のミーティングを終えると午後も穏やかな日差しの中作業が続けられました。  3月28日第4水曜日は定例活動日は汗ばむ陽気で、絶好の作業日和でした。平日活動日としては異例の30人が参加!大学生が5人、春休み中の小学生3人も作業に参加して賑やかでした。今回の作業は10年目にして初めて行う「植樹」です。


初めての植樹活動

  茂りすぎた木や竹を伐り、草を刈ることが中心の活動ですが、この森の保全の基本的な考え方として「動植物は外部より持ち込まない、あまり植物を植えるなどして造園的な管理をしない」などがあるので、植樹という保全の方法はとってきませんでした。しかしこの冬は、ナラ枯れ対策でコナラなど40本の落葉広葉樹を伐採し、若い林を育てるための萌芽更新エリアを新しく設けました。大径木の伐採切り株からは萌芽しにくいのではとの懸念もあって、このエリアには樹木の本数が少なく切り株から萌芽しても寂しい林になると思われたので、思い切ってコナラを中心としたドングリの苗木を植えることにしたのです。苗は森で自然に育った実生苗です。ドングリが落ちてたくさん育っている区域から、腰から胸の高さの苗を間引いて一日がかりで60本を植えました。暑かったせいもありますが、みんな肩で息をしながら作業していました。前回の作業まで木を伐っていた人たちが、ハアハア言いながら穴を掘っても、木を植える時にはどこからともなく「がんばって大きくなれよ〜」という声が聞こえてきて、みんな、いとおしそうに作業しました。植樹は伐採とはまた違った充実感があるものです。








 4月25日(水) 第四水曜日 森の居酒屋は4月7日 午後7時頃〜
4月14日(第2土曜) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森スタッフルーム情報

   遊林会の名物スタッフのフトン屋が1月に森を去って替わりに新しいスタッフが森に登場しました。昨年の夏にインターンシップで森で活躍してくれたブンちゃんこと吉岡です。大学を無事卒業できて森で活躍してくれる事になった小さなカワイイ女性です。どうぞよろしくお願いいたします。市のスタッフは良い味を出していたブーヤンズトリオのひとり古川課長が湖東支所へ異動されトリオでは無くなりました。1年間と短い期間でしたが大変お世話になりました。新しく替わって五個荘支所より塚本課長が着任されました。   

☆ナラ枯れ特掃班その後

 前月号でもお知らせのとおりナラ枯れについて京都府林業試験場の小林正秀先生に3月17日(土)ご講演いただきました。内容はカシノナガキクイムシを使い実際に行った実験の映像をもとにした解説で大変な説得力でした。雌のキクイムシは交尾した直後に穿入孔で産卵を始め、数週間後には幼虫が生まれるそうです。幼虫は親の作った孔道から分岐して再び孔を掘り進めたり共生菌の培養や親の産んだ卵を孔の奥へ運ぶような行為をするそうです。そうやって木の中で爆発的に増えて木を枯らして行くので早期の発見と対策が重要なのです。河辺の森でのナラ枯れ特掃班の活動は毎週木曜日に行い3月中で終了しました。しかし最終日には「この続きは4月の木曜日からやな」とのありがたいお言葉があがりました。これはマル隊長が「遊林会の定例活動日の週を除く毎週木曜日には、来たい人だけ集まって何か仕事をしてはどうでしょう。1回目は4月19日から。」という提案をしたからです。さて、そこで考えました。木曜日の活動日を「遊林会の定例活動日以外の活動」と呼ぶのもまどろっこしいし、「木曜日の活動」というのも味気ないので、何か名前を付けられないだろうか…と。木曜の活動で、作業メニューの選択肢はある程度スタッフが考えておくが、基本的には参加者が気ままにに活動できるような日…ということで、その活動日のことを「木ままクラブ」などと呼ぶのはいかがでしょう?良案を求めています!   

☆湖東信用金庫の展示

 何かとお付き合いのある湖東信用金庫さんですが最近建て替えられた本店は展示スペースや研修ホールなど充実しいます。そこで遊林会に声がかかり作品の展示をさせていただくことになりました。スペースにあわせて大量の作品が必要で1月から野田さん(商品開発部長)と愛子様を中心にコツコツと準備をされ約40点の作品が出来上がりました。普段の森の様子などを写した写真を貼ったパネルなども持ち込んで遊林会をアピールしました。題して「ネーチャーアート展」。素人離れした作品の数々には、売れば、活動の資金源になると期待しています。前にフォーラムでご一緒した五個荘のNPOのショップ等で販売してもらうことを考えております。最近は活動日の3時以降に商品開発部長を囲んで女性陣が作品の創作を続けております。活動場所は救護室ですが占領するわけにもいかず、森守堂の2階に引っ越してはいけないかと「会長」に相談がありました。会長との自覚のないクマは、辺りを見回しながら「はい、一応会長ですが、なんでしょうか?」と答えた次第です。シニア組のたまり場として建設した森守堂ですが、寂しい利用率でしたので渡りに船と承諾しました。これからは森守堂の2階に森のクラフト工房「櫻」として活動に励む予定です。女人が2階に陣取れば、元気なシニア組の名人連もスケベ心で1階に落ち着くと想像します(「2階(貝)の女が気に(木)にかかる」で櫻です)作品の評価、森守堂の行く末、嬉しいニュースです。   

☆4月の作業日のお昼

 前月の河辺林通信に鴨はまだかいなと書いたおかげで、第2土曜にビデオ小父さんがお昼の材料に地飼のプリマスロックと名古屋コーチン各1羽を寄付してくださいました。こうなると焼鳥名人の出番、準備運動前に解体のレクチャー、いつもながらにほれぼれする手際で捌かれていきますが、ゲージの中のブロイラーのそれと異なり、これらの場面に立ち会うと命を頂くことの厳しさを改めて感じます。その後連絡があり、例の鴨が4月にやってくることになりました。これから焼鳥名人と打合せ、可能であればさばき方教室を開催します。参加希望の方はメールか電話で照会を。  お昼はもちろん鴨料理です。お楽しみに。  
   容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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