'06年7号 No.98

☆作業日あれこれ

 作業日に雨が続いています。かつては雨女のスタッフ、スーザンのせいにしていれば良かったのですが、さすが現在はそうすることもできず、意に反して職場を異動したクマの涙雨ということにされています。しかし、3カ月目になると涙も枯れるようで、梅雨入りをした6月10日の作業日は曇り空の作業日和でした。  このところ手抜き状態の観察会は、三平モドキの案内で、昨年、大先生によって発見されたウメガサソウ(梅笠草)の花の観察からです。林床で可憐な梅に似た白い花を咲かせるイチヤクソウ科のこの植物は、滋賀県をはじめ多くの県で絶滅危惧種に指定されています。葉は林床を這うテイカカヅラの葉にそっくりで、花が咲かなければ素人には全く区別が付きません。この群落はご丁寧なことに林床を覆っているテイカカヅラの群落の中にありますので、大先生の識別眼に敬服する次第です。この地域では山地生の植物にあたりますので、キクザキイチゲやイチリンソウと同じくこの森の標高(120m)に存在すること自体も珍しいのですが、本来の生息地での山地でも絶滅危惧種です。二重の意味でこの森のものは希少だと考えられます。森では同じ仲間のイチヤクソウも花の時期で、こちらは至る所で可憐な花を咲かせています。森の保全を始めた時には、限られたエリアでわずかに見つかる程度だったのですが、現在ではかつてはなかった交流広場で群落状態になっている場所もあります。そして、本日の本題、竹林の参加型観察会です。まず三平モドキがモウソウチク、マダケ、ハチクの見極め方の解説。節の輪の数(モウソウチクは1他は2)、枝の一節目に空洞があるなし(マダケは中空、ハチクはない。必ずしもそうではないという論もあり、筍の皮で見極めるのが確実)がポイントです。本日の作業では、タケに成長しつつある筍のそびえる竹林の密度管理が重要になります。三平モドキはピンクのカラーテープを短く切って皆に渡し、タケにして残す筍にこれを巻き付けるように言っています。筍の太さ、周りの本数等を考えて、およそ周囲1m以内にタケがないようにテープの印を付けて残しそれ以外を間引くのです。

▲ タケノコ塩蔵

   テープをつけ終えると作業小屋の前に戻っていつものストレッチと作業メニューの説明です。竹林ではいつもの青年部長以下の面々は筍刈りです。テープを巻いた伸びている筍を残して他を刈り取り一カ所に集めて整理します。伸びきっていないものは食用で、作業小屋の横に運ばれた大量の筍を相手に焼鳥名人と蛇掴み名人、大先生などが皮をむき茹で上げ塩漬けにして保存食作りに勤しんでおりました。大量の塩漬け筍は何時になったら食べられるのかと外野が取り囲んでわいわい言っていましたが、発酵させて漬け物にするのではなく保存食品として塩蔵するのだから食べるのに時間がかからないという予想に落ち着いたようです。おいしい食材になるのか、とりあえず食べられる程度になるのか、興味津々です。
 第二班は森の中を、山賊のように長刀を持った軍団で、竹林以外のエリアに発生している細い今年のタケを求めて退治して森中をまわります。
 タケの地下茎から発生するタケ退治(兵糧攻め)を始めて7年目ですが、未だ生き残っている物があり、毎年この時期に欠かせない作業です。同じく場所を変えながら作業をしているのが第三班。見分けが少し心配なフトン屋がリーダーのセイタカアワダチソウ・クズ退治班です。この作業は完璧にこなしているつもりでも、同じ所を別の目で作業をすると必ず取り残しが見つかり、所謂嫁いびりのような感じになってしまいます。
 第四班は森中にエンジン音を響き渡らせるササ刈班です。できれば秋と2回刈って徹底的にダメージを与えようと、刈払機5台が動いていました。観察会に出た後は脇目もふらずに昼食の準備をされていた昼食班は、時間になれば50人分の食事が完成する手際の良さ。いつもありがとうございます。筍三昧のお昼を楽しませていただきました。

  定例の食後のミーティングは、新人一言コーナーの該当者がなく同窓会的雰囲気です。今回は、クマが秘密にしておいた男女共同参画センターのパンフレットを肴にされてしまいました。表紙にクマが載っているパンフレットは、家でも家事の参加具合に不満な連れ合いに「(内容が男女共同参画と直接関係ないのに)なんで、あんたが啓発パンフレットに載るの」と非難され、ろくなことがありません。 来月は作業は昼まで、午後はコミュニケーション・オンリーですが、この日は作業を片付けねばと昼からも汗をかきつつ作業三昧で終わりました。
 第4水曜の活動日は、蒸し暑い日となりました。ホタルブクロとオカノトラノオの観察に始まり、チッパー班と竹林班に分かれて作業開始です。チッパー班は、6月に作業に来ていただいた愛知中学校さんと湖東信用金庫さんに伐っていただいたアラカシ枝葉の処理です。リーダーは床を踏み抜かんばかりにアクセルを踏む軽トラ野郎です。もちろんチッパーのエンジンも全開でしょうか。そこそこの量でしたが、見る見る片付けられました。さらには、林内に残る枯損材の片付けまで全開状態でした。愛車の軽トラ号も大車輪の活躍であったことは申すまでもありません。で、肝心のアラカシの幹は炭焼き名人の指揮のもと、屋外トイレ脇にて釜入れの日を待つこととなりました。さて竹林班ですが、マル隊長の先立ちにより前回作業日以降に生えたタケノコの間引き作業です。竹林の中は蒸し暑く休憩回数を増やし、クモの巣をかき分けてながらの作業で、クモ受難の日となりました。秋に伐る竹をイメージしながら「傘がさせる」密度の管理はなかなか、難しく「どれを伐ってよいやら分からん」と考え込むメンバーもチラホラ。作業を片付けて勢い余るチッパー班と合流し、ひたすらナタとカマを振るう作業となりました。  お昼は、料理長不在につき、料理長3号こと「愛子」様によるカレーでした。もちろん、大先生お手摘みによるフキの一品も食卓に並びビューティフルな食卓でした。

 7月26日(水) 週日活動 森の居酒屋は7月5日 午後7時頃〜
7月8日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆6月は研修、体験作業が満載

   毎年この時期には研修や作業体験での利用が重なります。ここ何年もお世話になっている湖東信用金庫や造林公社のみなさんの企業ボランティアによる保全活動では、大きな面積を引き受けていただき森の保全に大きく貢献していただいています。学校などの保全活動体験も作業をする一回当たりの面積は少ないのですが、年間を通して多くの回数をおこなうため結果的に広い面積を保全しています。遊林会の通常の保全活動をベースとして、こうした河辺の森を使った学習や保全活動の広がりが良い循環をつくりだし、絶妙なバランスで里山を成り立たせているのです。現代の里山のモデルとして誇れる姿だと考えています。
▲ 湖東信用金庫様より

   他にも6月は教師になって十年目の先生方の研修、国家公務員の地方自治体実地体験、サマービレッジのリーダー研修、愛知中学の体験作業となかなかの盛況ぶりです。多くの人に里山の良さと保全活動の楽しさを知っていただきたく力の抜けない日々です。スタッフは夏バテをせずにやり過ごせるのか、微妙な感じです。  湖東信用金庫様にはボランティア活動もさることながら今回も寄付金をいただきました。これで今年もクリスマスコンサートを開く事が出来ます。いつも本当にありがとうございます。

☆7月の作業日は、9周年目の記念日

   6月の賑わいもさることながら、河辺のスタッフはこれからの起こる大イベントの準備に大忙しです。まずは7月と言えば夏休み。例年学校が長い休みに入ると森ではイベントを準備しています。スロースターターが集まるスタッフでは現在のところエンジンがかかる気配はありません。去年から盛大にはじめた地蔵盆など準備が大変そうです。
 他にも7月29日に河辺いきものの森を使って緑の少年団全国大会があります。次代を担う日本中の子どもに滋賀の小さな森の事を知ってもらい好きになって帰ってもらいたいものです。そして特に力が入っているのが、通信の5号でも触れた山の子キャンプです。教育委員会主催のキャンプですがフトン屋氏が中心となって企画やら運営に知恵を絞っています。現地に下見に行ったり打ち合わせの会議に参加したりと大忙しです。なにぶんにも初めての試みで不安だらけ、考えると逃げ出したい気分でもありますがスタッフの皆さんに積まれたエンジンはF1並みでしょうから、エンジンがかかれば軽快に事は進むのでしょう‥か?さすがに人数的に不安がありますので遊林会でインターシップを募集する事にしています。これは大学生などが在学中に自らの専攻や将来の希望する仕事に関連した就業体験を行いその仕事についての専門的な内容、知識や経験を深めることを目的とする制度です。遊林会のホームページで募集したりしたところ何人かの応募がありそうです。  環境教育や里山に感心のある将来有望な若人達が応募してくれそうです。何分にもはじめての取り組みですので皆様の暖かいご支援とご協力、激しすぎない冷やかしや差し入れなど援護射撃をお願い致します。

☆作業日あれこれ

 毎年、7月の作業は午前中だけ、午後は遊林会活動を始めた記念日としてコミュニケーションを楽しんでいます。この時期はビオトープの水源池が大活躍です? ●ールが冷蔵庫で冷やすだけでは足りず、地下から揚げた水を使ってケースごと冷やすのです。皆様、代行運転も営業しますが、乗り合わせ、バス、電車などの対策をお願いします。しゃべるのに疲れた人には、冷房完備、昼寝O・Kの名画鑑賞会もいつも通り予定しています。大先生からは酔った後で字幕を読むのはかなわんでなーと注文をつけられている(そうはおっしゃっているのですが、高いびきでお眠りになっている時間の方が多いように思うのですが・・・・。)のですが、クマの個人的趣味で選ばせていただきます。こちらもお楽しみに!  容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


▲前の号 | 河辺林通信トップ | 次の号▼

| ホームに戻る |