'06年6号 No.97

☆作業日あれこれ

 5月の連休は天候に恵まれ森は親子連れで賑わっていたのですが、1週間後の作業日は未明より本格的な雨です。予期していない雨が降ると大変なのですが、朝から雨だと参加者は雨具や長靴を準備してから参加されますのでかえって良いかと妙な納得です。こんな日は観察会は長め、作業時間を短めにするように指示が出ます。9時過ぎ、観察会が始まりましたが参加者は約30人、雨降りでもこんなに参加者があるんだとクマは改めて遊林会活動に感激した次第です。観察会の始まりは梢から降ってきたイカルの鳴き声から。鳥の鳴き声を聞きなしと言って人の言葉に置き換えて覚えやすくするのですが、イカルの鳴き声は様々な聞きなしがあるようで、池庄居住ブーヤンズ・リーダーの「ココ、イケショウカァー」、大先生は「ネショベンコイタ」と聞こえるそうです。
 草原広場周辺では、昨年末、里の狸殿やヘムスロイド村御一行様による一網打尽の草刈作業で唯一生き延びたタニウツギの蕾、その脇で勢いよく新芽を出しているヤマジノホトトギスの株、ウワミズザクラに似た瓶洗いのブラシのようで盛りを過ぎたイヌザクラの花、今が盛りのエビネの花を観察です。ホトトギスの仲間は花に斑紋がありそれが鳥のホトトギスの羽模様に似ているのでこの名があるのですが、大先生は花だけでなく葉にも斑紋があるんだと現場で説明です。花がなければ見分けの付かないクマはもう少しで踏んでしまうところでした。イヌザクラの花は気まぐれで毎年咲くとは限りませんが、今年は当たり年です。ヤマツツジの花まで足を伸ばしましたが、途中でこの森に数本ある針葉樹のネズミサシについてマルが説明です。尖った葉をネズミ除けに使ったことからネズミサシの名が付けられたことや、洋酒のジンの香りにはこの木の実が使われていることを解説してくれました。ヤマツツジの前では参加者の中から朱色の花を見て「山つつじは薄紫の花と思っていました。」という感想がありましたが、クマもこの仕事に就くまではあの色が山つつじと思っていましたので同感です。野生のツツジはヤマツツジと一般には言われています。この地域では、4月の初めから、薄紫色で落葉樹のコバノミツバ(小葉の三葉)ツツジ(この地域ではアヤの名称で呼ばれることもあります。)、 朱色で半落葉のヤマツツジ、園芸種のヒラドツツジに似たモチツツジと5月中旬まで順番に咲きます。

 長い雨の中の観察会を終えて作業開始です。炭の商品作り、山積みになっていた桜の木を薪に、そして昼食作りです。薪作りでは、チェンソーで適当な長さに切り、薪割機を使えばよいのに斧で趣味の世界です。炭焼の弟子殿は初めての体験、狙ったところに斧が当たらず苦心、定番のない陶芸家は日頃窯焚用の薪作りを欲求不満の解消を兼ね作陶を忘れてやっていますのでさずがです。氏の生き方に似て無駄な力を入れず当たる寸前にパワー全開で見事な技です。スタッフのトミーは力任せに台にしている木まで割る勢いだったそうです。販売用竹炭制作では、長さを切りそろえる過程で割れてしまい、オシャカの山だったとか・・・。伝聞形なのは、皆様が作業をされている間、森守堂の囲炉裏を囲んでうつらうつらとしていたからです。(スンマセン!) 30人ほどでゆったりとしたお昼はヤマウドの天ぷら、差入れの筍の筑前煮や大先生お手採りのヤマブキの煮付け、筍の和え物、筍ご飯などと季節感たっぷりです。恒例のミーティング後は、雨喜びになることもなくそれぞれ作業再開です。

▲ みどりのつどいテント

   第4水曜の活動日は久しぶりにからっと晴れ天候にも恵まれました。口の悪いスタッフは「森のクマ氏の人事異動の涙雨がついに止んだ」と宣っておりました。今回も自然観察会からはじまり作業はみどりのつどいに向けて竹林内の枯損木の伐採と販売用の竹炭の商品化を行いました。枯損木の整備では久々の天候にマル隊長のチェンソーのエンジン音も軽やかに作業が進みました。適当な長さに切られたスギの木を草原広場に持ち込み引き続き薪割り大会へとなだれ込みました。「久しぶりの薪割りや」との声に代表される様に各人のこだわりと懐かしさからか面白いように作業は進み大量の薪が完成しました。この薪は売れ行きの良い火がつきやすい炭に焼く予定です。竹炭の商品化はみどりのつどいや愛東の菜の花館等でも売ってもらえるようにと短く揃えて切って一度洗い乾燥してから袋詰めを行いました。この様に大変な手間をかけた商品を売って稼ぎ活動日の昼食代に充てています。大切に遣います。


 6月28日(水) 週日活動 森の居酒屋は6月7日 午後7時頃〜
6月10日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森スタッフルーム情報

   5月と言えばゴールデンウィーク。森もお客様のかき入れ時です。本来ですと市の条例によって「休日の翌日はネイチャーセンターは閉じて休み」ですのでゴールデンウィークのおこぼれにあずかれるのですが、「お客様本位の運営をしよう」とあえて開館しクイズラリーをおこなってお客様をお迎えしました。特に週の前半では家族連れが多く開館の判断は誤り無くスタッフの努力も報われたと思っています。ところが替わりに翌週を閉館して休んだので、市役所とは2週間近く音信不通になってしまい事務や連絡事項が滞ってしまいます。  この遅れを取り戻しながら春の室内楽コンサートやみどりのつどいの準備に忙しい日々を送りました。こうした時に不思議な空気を漂わせるのが愛子様。仕事に煮詰まったスタッフを見つけると「三三七拍子で応援しよか」と言うが早いか「チャッチャッチャー」と叫びながらウチワを振り回して応援します。漫画の様な光景にスタッフはあきれながら有り余る元気をお裾分けいただいています。  

☆ようこそ森へお客様

▲ 活動日 薪割り風景

 滋賀報知新聞社畑記者と河辺のクマ氏が意気投合して始まった「河辺の森の花便り」が連載150回を超えました。昨年4月から不定期ながら日刊紙を飾っています。森から姿を消していた貴重な植物等が遊林会の活動で復活した事をエピソードを交えながら紹介して貴重な資料になっています。2日に一度とまではいかないものの3日に一度は掲載される滋賀報知新聞の名物企画で、ファンの方も多いと見えて河辺の森のスタッフと解ると「誰が書いているのか」と聞かれます。記事のネタは提供しているのですが写真は記者自らが撮影され記事の内容も記者自らが書いておられます。実は今でこそ次々に花が咲きネタに困らなくなっていますが冬期にはネタ切れでモズのはやにえや動物の足跡など「花便り」と呼ぶには苦しい綱渡りもありました。このかいもあって現在も連載を継続し、始めは「100件も紹介できれば御の字」との観測もありましたが現在も頑張っています。
 長く続けていると面白い事もあるものでマムシグサの記事の後、市内某所の人が「マムシグサでは寂しいのでウラシマソウを持って来てやった」と事務所を訪ねられましたウラシマソウは花の先端が糸状に伸びて垂れ下がり浦島太郎の釣糸に見立てて名が付いていて大変不思議な形をしています。しかしながら河辺の森の運営のコンセプトである「持ち込まない‥珍しいからと言って外部の物を植えない」を説明させていただいきました。親切心からの事と、記事に注目していただいている証拠でうれしい事でした。
 読者(利用者)のみなさんに驚きと興味を持っていただける新鮮なネタと切り口を提供する。頑固な料理人に通じるような気持ちで取り組んでいてスタッフの良い勉強になっています。  

☆みどりのつどいとコンサート

  みどりのつどいの共催でおこなっている今回の春の室内楽コンサートは、弦楽器から趣向を変えて金管楽器のトロンボーンやテューバの演奏です。全員森に初登場の奏者の方達です。毎回コンサートでは奏者の特段のご配慮により遊林会スタッフが夢の共演をはたしています。スタッフにとっては悪しき伝統になっています。今回も共演する曲を何曲か準備していただいておりまして折角のプロの演奏を台無しにはしないか森のスタッフには心配の嵐が吹き荒れます。テレビ等から得る少ない情報では一流の演奏者の方というのは気難しいと相場は決まっています。下手な演奏で指揮者にこっぴどく叱っているシーンをテレビで見たことがあります。心配をしていたスタッフ達でしたがコンサート前のリハーサルでは2.3度「こんな感じでお願いします」的な練習であっさり終わりました。奏者から求められている物を勘違いしてプレッシャーを感じていたようです。そうなれば気楽なもので南国をイメージして麦わら帽子生花で飾り竹の中に小豆を入れたお手製のマラカス、太い竹を太鼓に見立てて叩く者等総勢10名程が元気に伴奏しました。コンサートは盛り上がり楽しいひと時となりました。
 
 みどりのつどいは予報では雨を心配する危うい天気の巡りに昨年に引き続き順延と思われました。夜半に強い雨も降りましたが開催する事になりました。みどりのつどいは、あえて大凧まつりに合わせて開催していますので自ずと大凧まつりの開催の判断に従っています。折角の食材準備が無駄になるため大凧まつりの開催を心配しましたが早い時間での開催決定がされました。雨が止むと風も吹き始めるもので大凧祭り日和となりました。市の中でも大きなイベントである大凧まつり会場は大変な人混みです。それに比べて隣り合う森で行うみどりつどいは、そこそこの人混みで「森のいきもの達に大きな影響を与える事のない来場者であった」と良いように考えています。遊林会のテントでは炭や木・竹酢液、森の芸術家グッズを販売していましたが、何と言っても一番人気は筍の炭あぶり特製味噌ダレ味。お客様の前で取立の筍をバーベキューコンロで焼いて特製味噌をつけて販売しました。年がら年中、毎月続けている竹林整備の成果がいただけるありがたい季節です。   

☆みどりのつどいとコンサート

   ハチク(淡竹)の筍の発生は、やはり例年よりは遅かったのですが、見込み通り大発生の年です。多分、作業日にもまだ発生していることでしょう。お昼はこの筍のオン・パレードでいきましょう。天ぷらに筑前煮、筍ご飯、和え物といったところでしょうか。おいしいハチクの筍をたっぷりといただく予定です。  容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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