'06年3号 No.94

☆作業日あれこれ

  2月の第2土曜日(2/11)は作業日和でした。残念なのは一昨日に降った雪のために、今回も落葉掻きができないことです。この日の観察会はフィールドに出て、落葉するドングリの木・コナラ、アベマキ、クヌギを樹皮から見極める方法です。三平モドキは、それぞれの樹皮の写真をカラー・プリントして渡し説明です。曰く、「白っぽいのがコナラ、コルク層が分厚いのが日本のコルク樫・アベマキ、よく似ているのがクヌギ。」とのこと。 アベマキとクヌギは葉があれば、葉の裏(毛があり白っぽいのがアベマキ)、葉柄(葉と枝の間の軸 長い方がアベマキ)などで違いがわかる(実際にはそう簡単にはいかない!)のだが、樹皮で見極めるのが今回の観察会のテーマです。クマなどは、樹皮が薄いのがコナラ、厚くて樹液を出しカブトムシがやって来るのがクヌギ、来ないのがアベマキとなります。かつて古老に聞いたところでは、この地域では、総てホウソ(:古語 柞(ハハソ)からの変化か?) とひっくるめて呼ぶか、樹皮が優しいコナラをメボソ(雌ホウソ)、ごつごつしたアベマキとクヌギをオボソ(雄ホウソ)としか区別しなかったようです。皆様は、雪がうっすらと残る林内に出て、カンニング・ペーパーを手にこれがクヌギ、あれがアベマキと見極めておられました。

 いつもですと観察会の後は、フトン屋をインストラクターにストレッチなのですが、この日は遊林会の木登名人・若吉保一氏のご冥福をお祈りして黙祷です。もうこれ以上、氏のことを語りますまい。続くストレッチを終えるとこの日の作業メニューの説明が始まりました。

 この日はテングス病の竹林の伐採、リーダーはいつもの青年部長です。南側の外周の今まで手が入っていなかった場所を、こってりと伐採、見違えるようになりました。
 スネーク・ハンター氏は、いつもだと数人での作業が多いのですが、この日は新人を含め賑やかにセンター裏のピラカンサの抜根駆除からです。植えられ成長したわわに実を付けたピラカンサに責任はないのですが、この実が鳥達に食べられ森の中に外来植物の種が撒き散らされることを防ぐためにやむを得ない措置で、済まんナーとピラカンサーに謝りながらの作業になっています。トゲに難儀しながらも従事者の数で勝負、見てる間に作業完了です。これが終われば長刀モドキを手に林床にいつもの生き延びているササ状のタケ退治です。この作業は落ち穂拾いのようなもので、何回やっても目こぼしになっているタケが見つかります。長刀モドキイを手に森の中をあちこち転戦するヘムスロイド村御一行様他の皆様が、さながら山賊の一群の様に一瞬見えたのはクマだけでしょうか。
 来月の作業ではシイタケの菌打ちをしますが、ほだ木が不足しているので、地元の種子から育てた次世代を担うクヌギなどが育っているドングリ広場で、マルをリーダーに大径木の伐採です。危険な作業ですので慎重に進めていましたが、予定した方向に倒れず懸かり木になって巻き添えを食ったクスノキの枝が発生したようです。辺り一面に樟脳の良い香りが漂い、彫刻家二人が材料にと確保していました。炭焼窯ではアラカシの原木を充填して、次回の準備です。名人は新人の女性の姿に大満足です。 

▲TVにも出た焼き鳥名人の取材(?!)風景

  この日のお昼は、前日にフトン屋と愛子様が焼いたキリタンポを入れた鍋と揚げ物やおから等です。いつもの食後のミーティングは新人が7人と多く「新人一言コーナー」は賑やかでした。東京や京都から参加した若者もおり、一度限りの参加の場合もあるでしょうが、そんな参加も大歓迎なのが遊林会のやり方です。もちろん、その中の女性にはクマが気に付くまでに焼鳥名人が既に取材済で、いつもながらにこまめさぶりに感心します。もちろん時間が来れば、全員、午後の仕事に飛び出していきました。かつて、ソメヤンハサケガスキー氏やクマが飲んでいた頃は、これに青年部長当たりが付き合って午後の作業小屋で大声で語る姿を、トラの咆哮が聞こえる等と言われたものですが・・・・。  

  2月22日は快晴、作業を続けると上着を一枚脱ぎたくなる気温です。その作業ですが、何が何でもやらねばならぬ落葉掻きと、里山七彩の影響(後述)もあってシイタケのほだ木づくりと萌芽更新のためのコナラの伐採です。落葉掻きは楽そうに見えて、この時期になると林床の落葉はたっぷりと水分を含み重たく、熊手で寄せカブトムシのベッドにしている囲いの中に入れる作業は汗だくになります。コナラ伐採班は前回に引き続いて同じ場所でやりましたが、5本も伐って捌いたようです。お昼はブリ大根、筑前煮、かやく御飯など、いつも通りシニアな好評のメニューです。この日も予定した時間前に午後の作業がスタートしていました。

 3月23日(木) 週日活動←注意!いつもと違います!!
 
森の居酒屋は3月8日 午後7時頃〜

3月11日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森スタッフルーム情報

   2月13日、午後6時台のNHK大津放送局製作の番組で遊林会の活動が取り上げられました。8分余りの生放送でしたが、短い様で出演しているクマには長い時間でした。モニターを見たりアナウンサーの話に合わせたり、言うべきことを言わねばと緊張してしまいます。生放送、失敗は許されませんが、何とか無事にやり終え一安心。  胃が無く食べることが業に近いクマにとって、うまそうに食事をするうしまろは羨ましいのを通り越して、この野郎という感じさえ抱かせる存在です。その健康な胃袋(4つあるのかも?)を持ったうしまろですが、鈴鹿の山裾より坂を転がって市街地の居候、あるいは婿殿に収まったのはご存知の通りです。独り身の不規則な食生活から決められた時間に健康的な食事をするようになったのですが、結構なことばかりではなさそうです。このところ運動をしているようにも見えないうしまろ、ゲージ飼いの何とか状態、ロースには良い按配に脂肪が回ってきた感じです。片や何とかの亭主とも言えるフトン屋は、学生時代をメロンパンだけで過ごした男に似つかわしくない、毎晩夕食の献立を思案しながらの質素な食生活です。恵まれた環境が良いのかとうしまろのお腹を眺めながら感じるこの頃です。

☆里山七彩、「ナラ枯れ」について

  2月18日、今年度、第1回目の里山七彩(今年度は三彩?)を開催、テーマは、近年滋賀県でも話題になってきている「ナラ枯れ」です。講師は森林総合研究所関西支所・生物被害研究グループ長の黒田慶子さんです。
 「話題になっている」なんて表現をしましたが、お話しを聞くとそんな生易しい状況ではなく、衝撃的な内容です。1990年頃から被害が拡大してきたナラ枯れは、日本海側の地域を中心に徐々に南下してゆき、ミズナラ・コナラを中心にどんどんナラ類の木を枯らせてきました。原因はカシノナガキクイムシという体長5mmほどの虫で、その虫がコナラなどの大径木に穴を開けて産卵するのですが、虫についてくる菌が木を枯らせるというのです。松枯れの原因は外国からやってきたマツノザイセンチュウという線虫ですが、ナラ枯れの原因の虫と菌は昔から日本にいたもので、既に1930年代にナラ枯れの報告があったそうです。

 では、なぜ1990年代から被害が拡大したか。かつて、里山の木は利用のために15〜30年で伐採されてきましたが、利用が放棄された結果ナラなどは伐られずに成長し大木となりました。1990年頃から枯れてきたナラ類の樹齢は40〜70年だそうで、大径木を好むカシノナガキクイムシにとって、繁殖のための条件が整ったわけです。一旦感染したコナラ等は手の施しようが無く、夏に葉が茶色になりかけてから1〜2週間で枯死します。今年数十本だけが枯れたとして、そのまま放置しておくと、翌年には百本単位で枯れるそうです。この勢いで、現在も被害が南下しています。
 現在、県内のナラ枯れは湖西では志賀町北部、湖東では彦根市まで来ているとのこと。彦根まで20kmほどのこの森も、もはや他人事ではありません。予防策のひとつは木を伐ることです。ナラ枯れは直径10cm以下のナラ類では被害が無い。したがって、コナラなどを伐採し、切り株から出てくる芽を育てる萌芽更新を図ることで、被害が及ばない可能性があります。  この話を聞いて、早速第4水曜の22日の作業でドングリ広場のコナラ5本を伐採したのは前述の通りです。大事なことは、コナラだけを抜き切りしても周囲に大木があれば切り株に日が当たらず萌芽更新も十分にできないので、ある程度まとまった面積で木を伐る必要があることです。これによって、ナラ枯れを防げるだけでなく、次の世代のナラも育つことになります。遊林会ではちょうど5年前に、次世代のドングリの森を作るため1,000u約50本のクヌギやコナラ等を伐採し、萌芽更新を図っていました。それらの木は順調に成長し、現在では高さ7mほどに育っているものもあります。黒田先生にこうした現場を見てもらうと、「(ボランティア作業で)積極的に萌芽更新をしているところは初めて見ました。」とのことでした。これからも、できるだけ萌芽更新の区域を広げるつもりです。(この項、文責 丸橋)  

☆3月は講座が一杯

   年度末は毎年、講座が目白押し、そんな時でもやっつけ仕事をしないのが自称「1年を2ヵ月で過ごす男」うしまろ。県の事業催促をしている担当からも、この辺が不思議がられています。今回も充実した保全セミナーを、3/5、3/12、3/25に実施します。マル担当の里山七彩は、残り3/4、3/18(午前)です。詳しくはホームページ等で。   

▲ふれあいの家竣工式

☆吾妻屋「ふれあいの家」完成

   東近江ロータリー・クラブから寄贈を受ける「ふれあいの家」が草原広場に完成しました。当初考えていたより大きくて立派な施設です。これからの季節、強い陽射しや夕立などを避けて休憩するのにふさわしく、春の訪れとともに利用者の方々に喜ばれること、間違いありません。東近江ロータリー・クラブの皆さん、ありがとうございました。

☆作業日あれこれ

   ワケギのヌタをあてに・・・・、そんな季節です。3月の献立は、この頃、料理の腕が上がってきたフトン屋に考えてもらいましょう。
容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!   


発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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