'06年2号 No.93

☆作業日あれこれ

   06年の最初の作業日は前日の夜より雨、朝起きた時は止んでいたのですが、森に出勤する頃にはかなり強い雨脚になっていました。これでは年明け早々参加者は少ないなと覚悟していると、それでも次から次へと「おめでとうございます」と挨拶しながら見慣れた顔がやって来ます。その数、30人程。冬の雨の日の作業としてはすごいと考えるのはクマだけでしょうか。
 観察会は三平モドキが前日まで風邪で休んでいましたので、久しぶりにフトン屋の出番となりました。ネタのない時期なので悩みながら愛子様と一緒に考えたり、資料を作ったりして準備をしていました。テーマは、冬の森で葉を落とさない落葉樹の観察です。葉を落とさないといっても青々としているわけではなく、落葉樹ですから枯れ葉になって枝にくっついているわけです。代表的な木はクスノキ科のヤマコウバシ(山香ばし)です。この木は、春に新芽が出てくるまで枯れ木のように茶色の葉をまとっているので、冬の森では目立ちます。クヌギやコナラの萌芽などの若い枝の葉も、遅くまで木にしがみついています。これらは寒くなって光合成が充分にできなくなると葉と枝の間にできて葉を切り離す離層の発達が不十分なためですが、なぜそうなのかは諸説あるようです。この辺りはフトン屋モードで、ギャラリーを煙に巻いておりました。

▲森守堂餅焼き風景

   雨は降り続いていますが、ストレッチの後は作業です。竹林整備はいつもの青年部長がリーダー、うしまろが牛車よろしく伐ったタケを載せたリヤカーを引っ張っていました。タケ退治ゲリラ班は、林床の草が枯れてこの季節だからこそ青々と目立つ地面を這っているササ状のタケを、長刀モドキで刈り取る作業です。雨脚が強くなってきたので呼びに行ったのですが、返事はすれどもいつまで経っても作業小屋に帰って来ません。何をしているんだろうと思っていると、だいぶ経って漸く戻って来ました。聞いてみると、いつもは手よりも口の方が良く動く御仁が、仕事のきりを着けてしまわんといかんとマルと新人を引っ張って仕上げたんだそうです。
 小屋では身体を暖めてもらおうと甘酒を用意したのですが、新年であることと雨脚が強くこれ以上野外作業は無理なので、それとなく御神酒もテーブルの上に置いておきました。焼鳥名人をはじめ好きな方は「甘酒が熱すぎるんで、冷やさんと飲めん。」とのたまいながら、御神酒を混ぜて清めておられました。
 野外での作業はできなくなりましたが、屋根の下では、炭焼の原料にするタケを、大勢で割って束にくくる作業を続行です。この作業は、雨喜び(アマヤロコビ)を決め込んだ午後もヘムスロイド村御一行様や炭焼名人、大先生などの手で続けられ、次回まわしになるかと思われた市内林田町のわかたけ公園から提供された軽トラ2台分のタケを処理してしまいました。

 毎年、年初めのお昼は鏡餅供養です。例年ですと餅の持参が少なく、こちらで用意した餅を食べますが、今年は多くの方が餅を持参して下さいました。切り分けたり割った餅は、山番さんや焼鳥名人によって焼き上げられ、雑煮とぜんざいに入れておいしくいただきました。ホームページには、しばらくの間、森守堂でいかにも楽しそうに談笑しながら餅を焼く手より口の御仁の姿がアップされていました。

 1月の第4水曜日は25日、月曜日の積雪で林床が湿っており落葉掻きはできず、ケヤキの林を竹林に戻さないために冬枯れの林床に目立つササ状のタケ退治の続きです。10人以上でかかりましたが、よく見るとあちこちにビックリする程生えており、午前中一杯の仕事となりました。午後には竹林で、テングス病(有名なサクラのテングス病と同じく細い枝が沢山発生、タケの花が咲いているようにも見える。)に罹患しているタケの伐採駆除です。湖西地方で猛威をふるい問題になっていますが、この地域も例外ではなく、荒廃した竹林では、普通に見ることができます。この森の竹林はそうした場所と比べれば状態はよいのですが、それでもかなりのタケが罹患しています。伐採したタケは、伝染する病気なので、ファイヤー・サークルで焼却処分。軽トラ野郎が嬉々として、荷台に枝を満載して運び込んでいました。
 この日のお昼御飯は、「法事のごちそうやー」と誰かが言ってましたが、エビ大根、煮豆、おから、黒豆豆腐、焼豆腐の炊いたの、炊込御飯、粕汁などとヘルシーでシニア好みの献立です。焼豆腐は山番さんが「焼豆腐買うて来て。家のが上手やで炊いたるわ。」となり、加わった物です。クマはお袋の味のこれが大好物なのです。  

 2月22日(水) 週日活動 森の居酒屋は2月8日 午後7時頃〜
2月11日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森スタッフルーム情報☆

  遊林会の非常勤スタッフ・愛子様は、傍目には自由奔放、怖い物無しに見えるのですが、苦手なものもあるようです。この季節、朝の通勤時に積雪があったり路面が凍結していると、今日はレンジャー・ルームは静かなことだろうと思ってしまいます。滑ることは夏スキーまで楽しまれたようですが、滑る道路の運転は大嫌い、仕事が込んでなければ路面が解けるのを待ってのご出勤か、お休みとなるからです。でも作業日などどうしても出てこなければならない日は、ワァワァ言いながらのご出勤となります。正反対なのがうしまろ、こちらが冬用タイヤでも滑って難儀している日もノーマル・タイヤでご出勤です。これまた傍目には、あれだけ不用と思われる物をインターネット・オークションで買いあさっていた(一様、過去形で・・・・)うしまろですが、生まれてこの方、冬用タイヤを買ったことがないと言うのが自慢です。
 ホーム・ページの森の歳時記は、森のその時々の写真をふんだんに採り入れて好評ですが、これを撮影するデジカメはハードな使用に耐えず修理に出すこと3回。遂にやりくりをして頑丈なデジカメを買うことになりました。誰かのようにメカを愛でることなく、使いこなして、ホーム・ページに反映させてくれることでしょう。お楽しみに。  

☆木登り名人こと、若吉保一(ほいち)氏のこと☆ 

▲木登り名人:若吉保一氏の雄姿

  年初めの作業日、雨の中の観察会に出かける際に作業小屋に向かわれる木登名人を認め、遠くから挨拶をしたのが最後になりました。氏は自分しかできない吊し切りや高木の伐採を、いつも三平モドキを助手にしてやって下さっていたのですが、この日は雨のために危険でこうした作業はできず、「また晴れた日に来るわ。」と言葉を残してお帰りになりました。月曜日(1/16)の朝、訃報に接して、しばらく信じることができませんでした。氏は実直に仕事をこなして事業を成功させ、黙々と社会奉仕活動に従事されていました。氏と知り合ったのも、布施公園で水鳥の観察会を開いていた時に、自前の軽トラックにちり取りや箒を積み公園の掃除をされている氏に声を掛けたのがきっかけです。程なくしてライオンズ・クラブを通して、据置型のニコン双眼鏡2基を寄付して下さいました。その後、この森の活動にも参加されるようになり、陽の光を遮られて枯れかけたカスミザクラの大木を救うために周りの木を伐ることになった時「そんじゃー、私が木に登って(伐る木以外を)傷つけんようにやらしてもらいますわ。」と名人芸を披露、一同、あっけにとられたものです。通称・木登名人の由来です。モミジの林でもモミジ以外の木を順次伐採することにすると、倒す時にモミジを巻き添えにしてはいかんと吊し切りを提案、以後このエリアの管理は氏を中心に進められることになりました。(この辺りのことは、通信'00年12月号31に写真付きで詳しく触れています。) 氏が逝ってしまわれた今、春の出潮、秋の紅葉が見事なモミジの林や、あの命を助けられたカスミザクラに、氏の業績を偲ぶこととなってしまいました。それぞれの季節、あのサクラやモミジに美しさを感じる時、氏のあの笑顔を思い浮かべるのは私だけではないでしょう。心の中であのカスミザクラを「若吉桜」と名付けようと思います。 河辺の森駅広場の植栽のウメ、作業小屋のオーブン・レンジや時計などの折々に寄付された物、芋作りからの手作りコンニャク、参加できないからと代わりに届いたビール・・・・、本当に沢山のご支援、折々のお心遣い、ありがとうございました。  

☆ツリーハウスの整備☆

   戦後間もなく、現在の聖徳中学校で教職をスタートされた中島保典という方がおられました。氏は非常に生徒に慕われたようで、当時の生徒達と現在に至るまで親交があったようです。昨年、お亡くなりになったのですが、遺産を、教え子達に教育、福祉、環境のために使うようにと託されました。「中島保典先生の遺志を社会に生かす会」の事務局の方から、何かまとまって施設や備品でいるものはないかと連絡をいただいたのは、昨年の晩秋のことでした。現在、八日市ロータリー・クラブの皆さんにより草原広場に吾妻屋を建設中で、これ以上の施設整備は森の本来の良さを損なうものと考えていますが、ひとつかなえられずになっている物があり、それならばとツリー・ハウスの整備をお願いしました。検討をされた結果、当初の提示額以上の5百万円をこの分として市に寄付して下さることなりました。
 既製品の遊具や通常の建築物であれば、カタログからの選択や設計書により指示をすれば整備できるのですが、ツリー・ハウスは現場で木に合わせて施工しなければなりませんし、適切な設計図書を作成することもかなり困難です。施工方法については市当局と協議しなければなりませんが、可能であれば設計・施工の提案を募集し、子ども達の冒険心をくすぐる素敵なツリー・ハウスが整備できないかと考えています。寄付をいただいたのは17年度ですが、実施は18年度の予算になりますので、しばらく検討をします。皆様のアイデァもお寄せ下さると助かります。

☆作業日のお昼☆

   2月の昼食は暖かくなるキリタンポ鍋が多いのですが・・・・。取り敢えず、お酒の飲めない人でも身体の中から暖かくなるメニューを考えることにします。   容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!   

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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