'05年03号 No.82

☆作業日あれこれ☆

もやかき作業

 明け方にはうっすらと雪が積もるような朝でしたが、12日の活動日にはいつもと同じように人が三々五々、参加してきます。前回、「手抜き」と言われた三平モドキは、今月の観察会はネタのない中で、前日より残業して準備万端整えておりました。テーマは冬だから目立つ常緑樹の見分け方です。まず、葉の付き方(互生と対生)はどうか、鋸歯(葉の縁のギザギザ)があるかないかと分類表をカラー刷りで用意、フィールドで実際に手に取って観察です。これは好評で、皆さん、資料を手にこうして分類するのかと納得です。クマなどは直感に頼っていますので、ネズミモチ(対生)とヤブツバキ(互生)の見極めに、共に葉の色・形・樹皮までそっくりなので、奥の手で近くにツバキの実が落ちていないかとなどとやっているわけなんですが・・・・。この観察会の最後には、三平モドキのリベンジに味方するように、大きな援軍も登場しました。それは林床を駆け抜けるノウサギで、一同、この幸運に見とれておりました。念のために申し添えますが、ノウサギは冬でも白毛にならず茶色、穴にも入らず、目も赤くありません(冬に毛が白くなるのは亜種のトウホクノウサギやユキウサギ、穴を掘るのは家禽化されて馴染み深いヨーロッパアナウサギ、目が赤いのは家禽の1品種です。私達のおかしがちな固定観念です)。
  
 この日の作業で目立ったのは、タケ退治ゲリラ戦です。いつも竹林整備に精を出しているメンバーなのですが、今日は森のあちこちでタケが在ってはならないエリアにしぶとく生き残っている細いのを手当たり次第に刈り取る作業に従事です。この季節を選んだのは、冬枯れの森でタケの緑が目立ち、退治しやすいからです。地下茎には昨秋に養分を蓄えてしまっているので、根本的な退治にはならず、今年の夏にも同様の作業が必要です。青年部長をリーダーに森をくまなく歩き回っての作業でしたが、考えていたよりは生き残っていたタケの量は多く、午前中に終え午後にはいつもの竹林整備に戻る予定が、午後もこの作業に忙殺されていました。
 常緑樹の伐採班は、前回の草刈名人によるアラカシなぎ倒し事件の反省から、チェンソーの数を増やし、全員で順番に伐り、捌いていました。この日も一山のアラカシの薪ができ、炭焼名人は、これを炭に焼く算段をされておったようです。
 落ち葉掻班は、雪のためにキノコ博士や焼鳥名人の作業が停滞していたエリアで作業ですが、落ち葉は水気を含んでいる上に木の根や灌木のために思うように熊手が使えず、苦労されたようです。リーダーのヘビ掴み名人は、落ち葉を入れるカブトムシベッドの補修です。
 シイタケのほだ木生産班は、モミジの林では伐り倒した木でモミジを傷つけないように、いつもの木登名人による樹上での吊し切りです。手元は三平モドキ他です。
 別働隊は、親方と炭焼名人、炭焼小屋で屋根を剥いだりなにやら大きな声で言えない作業をされてました(理由はご勘弁を)。 

 午後には、今まで梁の関係で理想的な煙突の傾斜角度(30度)を採れなかったのですが、この際にと屋根を突き破って付け替えです。そのために煙突を外すと内側にはタールがべっとり。これを見た午後の作業を終えてフィヤー・サークルで焚き火を囲んでいた面々は、早速、煙突を焚き火で焼いてタールをとろうと衆議一決。思い思いに焼くものですから煙突は無惨にも変形してしまいました。これでは名人に合わせる顔がないと、煙突の中に丸太を入れて板金作業やったりして、焚き火の周りは賑やかな限りでしたが、名人は煙突を取り付ける準備作業をしながら、不安げに煙突の行方を見ておられました。(翌日、親方と名人の手で無事、この変形して板金された煙突が炭焼小屋に取付らたことを報告しておきます。)  

 この日のお昼は差入れの猪肉を加えた豚汁や丁字麩の芥子和え、揚げ物、40人強の参加者はいつものように賑やかに食事を楽しんでいました。焼鳥名人も喉もと過ぎれば何とやら、オバー(お婆)・ストップの一件も少し過去のことになりそうな勢いでした。

お昼が美味しくて延長戦
 第4水曜日(23日)は、春一番が吹くだろうと天気予報が注意を促していました。作業は、前日に木登名人と三平モドキが伐り倒したモミジの林の整理とほだ木の生産、萌芽更新の林で丸4年を経過した萌芽のもやかきです。もやかきは切株から何本も発生しているひこばえを2〜3本に整理して成長する主幹を選別する作業ですが、しゃがんでノコギリを使う姿はこれぞ里山整備だと絵になるようでした。作業をしている横の観察路をほだ木を積んで快走する軽トラにはトラ吉小父さん(森の暴走族、今後軽トラ野郎に改名)、助手席では炭焼名人が生きた心地もしなかったとか。

 お昼はエビ大根に黒豆のおからなど、おいしさに少し○○をいただき過ぎた面々も・・・・。




3月23日(水) 週日活動森の居酒屋は3月9日 午後7時頃〜
3月12日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報☆

  スタッフのマルは戦後間もなく建築された住家を購入、リフォームして新居としました。地域の話題になっているのはもちろん、一部ではマスコミにも取り上げられ、その内テレビに出るんじゃないかと思ったりしています。備え付けられた薪ストーブの燃料として薪を、しばらくの間、売りつけ儲けさせていただく所存です。来冬の分は自分で大先生の山から伐り出して薪にするらしいです。連れ合いからプレゼントに斧を買ってもらったとか。引っ越しの疲れでしょうか、一段落の後、珍しく病気で休んだりしています。

☆里山七彩、第5話

  5話は、緑の地球ネットワーク(GEN)高見邦雄事務局長による「中国黄土高原での森づくり」です。雨量の少ない高度1000メートルを越える黄土高原での植林活動は、この気候故の地域の貧しさを正面から捕らえなければならない活動の積み重ねであったようです。最初は取り敢えず荒廃した中国に木を植えようと試行錯誤した後、やがて地域の学校に経済力を付けるために、学校林として乾燥に強く種子が換金性のあるアンズを地域住民と一緒に植えることから始まり、活動開始から10年を過ぎる現在では子どもを村始まって以来初めて大学に進学させるような成功例も一部にはあるそうです。しかし、氏の気持ちは晴れないようです。そうした子どもが貧しい出身地域に戻ってくるようなことはないでしょうし、黄土高原は広く今もその日の飲み水にも事欠く村民の暮らしも一方にはあり、異常気象の連続のような毎年の旱魃、とてもここが北京から車で数時間の地域のこととは信じられないような事実が次から次に語られます。
 
 この日の聴衆には、元大蔵大臣の武村正義氏の姿もあり、その影響でしょうか高見氏の話は、後半、大きく中国の水を中心とした環境問題へとシフトして行きました。中国北部の慢性的な水不足の実態、北京ではその解消のために地下水をくみ上げており、何十年にもわたって毎年地下水位は数メートルづつ低下しているとのこと。長江の水を何ヶ所かで黄河水系に持ってくる大土木工事の存在、それでも水不足は解消できないので北京を中心とした地域から農業に回っている水を節約するために農業の廃止政策が導入されていることなどが語られました。オリンピックのためにと様々な施設が整備されている北京ですが、都市生活のために必要な水の供給は極めて脆弱な基盤の上に成り立っており、受講者一同はこの現実を知ってオリンピックなんぞと言って浮かれていて良いのかいなと暗い気持ちになったものです。それでも中国南部には長江の豊富な水があるからと考えていると、上流域の森林資源の減少等により土砂が流失し、至る所で湖沼や河床を埋め立ててしまい、洪水に対する調整能力が欠如し、近年の大洪水はそのせいだとのこと。信じられない程の勢いで経済成長する中国ですが、地方の想像を絶する都市との経済格差、農業を廃止しなければならない程の水不足と有り余る水を制御できない国土の荒廃という現実があるようです。

 最後に武村氏も最近感情的に中国に対するODEの打ち切り等が語られるようになっているが、多くは有利子の借款でありきちんと償還されていること、高見氏によって語られた中国の環境問題に対しては今後も無利子を含めて融資するべきではないか(そうでなければ日本の貿易相手国1位になった中国と日本双方の持続的な経済発展はない)と語られました。()内筆者加筆

 この日、講義が終わって休憩の時間(この後、いつも問題を深める質問の時間が延々とあるのです。)にホールに出てきた面々の顔は、いつもだとホッとした感じがするのに暗い顔ばかりだったと、たまたまやって来た前スタッフの前田が言っていたそうです。(前田はイギリス土産のウィスキーを持参、クマの好みをよくわかってる!)日頃知ることのできない、隣国中国の厳しい生の状況を知る有意義な講座でした。

 

☆いずこも同じ年度末

 どうしても年度末に未消化の事業が集中してしまうのが、年度単位で仕事をしている悲しい役所のサガです。今年は特にうしまろが長期研修に行っていましたので余計です。年が変わると共に「森の環境学習推進講座」に取り組んだのは先月号で書いた通りですが、それ以外にもいくつか事業が残っています。彼はストップ・ウォッチを片手に時間を読みながらスケジュールをこなすような日々を送っています。クマだったらまた胃に穴が空きそうです。これからもいろんな呼びかけがあると思いますので、時間の許す方は是非参加して下さい。3月19日から里山保全活動の基礎講座として講演と実技講習(4回)を予定しています。詳しくはホームページか電話にて…  例の環境学習推進講座の方ですが、彼の選んだ講師陣はどの方もさすがという方ばかりで、クマはお客の独りとして受講しながら勉強をさせてもらいました。次回(13日)も楽しみです。

 

☆3月の活動日のお昼も温かな物

 きりたんぽ鍋にしようかなとも考えています。入院されている生臭髭仙人の豆アジの差入れが思い出されます。仙人は退院したら、キノコ博士に運転させて仕入れに行くんだとおっしゃっているとか。期待していますが、無理をされないように願わずにはおれません。

 汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ
この通信は、林野庁の「里山林のあらたな保全利用促進事業」補助を受けて発行しています。


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