'04年09号 No.76

☆作業日あれこれ☆

シイタケのほだ木整理

 8月の定例作業日はお盆真っ最中の14日で、幾人かの方から珍しく活動はあるのかと問い合わせがありましたが、もちろん「地獄の釜が休みでも遊林会活動に休み無し」とお答えしました。そんな日ですので、さすがに参加者は少なく30人程でした。この日の観察会は、きれいな花を咲かせているナツズイセン(夏水仙)からです。
 今まで1株しか確認していなかったのですが、三平モドキがもう1株を見つけ、現在2株が確認されています。キツネノカミソリの仲間で中国から移入されたこの植物が、どうしてこの森に入ってきたのかは不明ですが、野生の物は近畿地方のレッドデーターブックにも記載されている希少植物です。キンミズヒキなどを観察した後、かつて作業のおりに食事をしていた場所で、最近、キノコ博士と再整備を始めた焼鳥名人に登場を願い、熱い思いを語っていただきました。こうした定例日以外の保全活動が広がるのは嬉しいことです。

 参加者が少なくとも作業メニューはいつもの通り多彩です。うしまろをリーダーとするタケ退治ゲリラ隊は、森のあちこちに残った根や伸びた根から発生し、放置すれば竹薮になってしまう細いタケ退治です。
 マルと三平モドキは台風で折れ、景観上や他の植物に障害になっていた枝処理別働隊です。マルの高級マイチェンソーが久しぶりに軽快な音で活躍をしていました。
 セイタカアワダチソウの手抜きと真夏の光を浴びて成長しているクズいじめ(クズばかりは息の根を止めることは出来ず、旺盛な成長力を抑制することしかかなわないのでこう呼んでいます。)は、篤農家をリーダーに草いきれのする中で作業をしていましたが、最後には草原広場の中でナンバンギセルを探したりしていたようです。ナンバンギセルは、ススキに寄生する葉緑素を持たない植物ですが、種を播いたとの「神の手」の噂もあり、公表できないのが残念です。
 ご存じ森の掃除屋こと青年部長と熱心ないつものメンバーは、竹林でのタケノコの後に発生した細いタケの除去作業です。美しくすればする程、手が付けられていない部分が気になるようで、メンバーから次回は「あそこの伐採後放置されたタケを除去して全体をすっきりしよう」との提案も出たようです。やる気は活動の原動力、頑張っていただきましょう。
 ササの機械刈作業はいつも刈払機持参で現れる湖東町ヘムスロイド村御一行様がこの日はお休み、草刈名人が独りで黙々とササを刈る音だけが萌芽の林付近で響いていました。
 森守ハウス周辺では、この日は元祖炭焼名人(炭焼名人には初代名人、2代目の現在の名人、そして生業として炭焼きを経験されていた元祖名人が存在します。)が持参された小型ユンボでレンタル自転車置場予定地の整地作業が行われていました。2代目炭焼名人は、助手を務めると共に掘立柱の場所を指定するなどして着々と準備を進めておられました。
 昼食準備班ではお盆のために応援が少なく、急遽、親方が作業を中止して応援、メニューは各種ルーを混ぜた夏野菜の煮込カレー、山番さんの奥さんの絶品の冬瓜スープ、麦酒の友・もろきゅうにオニオンスライスでした。参加者が少ない分、作業小屋はゆったりとしており、いつもとは違った感じの時間が流れていました。

 8月25日、曇った天候でしたが、間もなく快晴になりました。しかし、盛夏を過ぎており気温もそこそこ、湿度も高くなく、この季節としては作業日和でした。この日の毎日新聞朝刊に紹介されたツチアケビ(河辺林通信74号参照)の観察からです。74号で紹介したのは花の写真でしたが、現在は名前の通り土の中から出てきた茎に赤黒いアケビ(右写真:バナナと言った方がピッタリ)がたわわにぶら下がっている感じです。何とも不気味な感じです。
 作業ですが、ひとつは炭焼名人をリーダーにシイタケのほだ木の移動と整理です。ほだ木栽培(最近はほだ木を使わない菌床栽培が主流か?)のシイタケは、菌打ちをしてから発生するまでに1年半かかりますが、昨年の春に打ち込んだほだ木が今年の秋には発生するようになるのでその準備です。ほだ木を立て掛けるための柵の整備や、離れた場所に置いてあったほだ木を運搬車で移動、これで秋の収穫もバッチリです。
 もうひとつの班はアラカシの伐採と解体です。薪作りだけでなく細い枝や葉を処理するチッパーも稼働させていました。さてお楽しみの昼食ですが、この日は芋茎(ズイキ:里芋の茎)の和え物、枝豆、ヤマウドの花やカボチャの天ぷら、ナスビの揚げ浸し、、冬瓜のみそ汁etcで皆さんヘルシ・メニューにご機嫌、テーブルの端では瓶に印を付けて「今日はここまで」と言っているのですが、次第次第に印を下に書き直している一群もおりました。もちろん、午後もみんなで薪作りに精を出しました。

9月22日(水) 週日活動森の居酒屋は9月8日 午後7時頃〜
9月11日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

 

☆河辺いきものの森情報

  遊林会のホームページは、1週間ごとの更新が原則で、三平モドキが中心になってネタに苦労しながらも「森の歳時記」に、最新情報を写真と文で書き加えています。1週間に一度ではという人たちのためには「伝言板」で、その時々の森やスタッフの様子等をお伝えしています。しかし、このコーナー、青年部長から「もうクマとうしまろのお笑いコーナーはよいですから、丸橋君、堅いきちんとした森の情報を伝えるようにしてください。」言われているように少し砕けた内容になっています。他からの反応は青年部長のお言葉以外にはトンとないのですが、それがサービスとばかりに数日置きにせっせと書き込んでいる二人です。三平モドキやフトン屋は自分たちのことをネタになんて書かれるのかと気にしていますが、ネタの主役はなんといってもセカチュウ(テレビ番組「世界の中心で愛を叫ぶ」)の熱烈なファンである純情中年・うしまろ君です。彼がレクチャー・ルームで飼っているナマズやイモリと異常な愛情も話題になれば、レンジャー・ルームのスタッフも話題の主になっているにも拘わらず、ほとんど何を書き込んだとかの報告はないので、他のスタッフはそっとチェックすることになります。クマとうしまろ君は伝言板上でやり合っていますが、他のスタッフは火の粉が我が身にかからないように静観の構えです。このところ心配なのは、ひと月のアクセス数が次第に減ってきていることなのですが、ひょっとしてこの路線が原因なのかと悩んでもいます。皆さんからの忌憚のないご意見をお待ちしています。(その前にホームページを見てくださーい!)

 

☆草原広場の草原

 草原広場と呼んでいる広場の一角に名前の通りの草深いエリアがあります。やむを得ず整地作業の際に山砂を入れた部分もイネ科の植物がそれなりに生えて子ども達が遊び回るのに良い感じになって来ましたが、草深いエリアは人の侵入を拒否する様相です。かつて造園学会関係者からこの森は管理がもうひとつだと指摘されましたが、このエリアなどは草ボウボウでそうした場所の最たるものでしょう。でも実はこのエリアは河辺いきものの森が誇る場所の一つなのです。よく見てみると土地の少し高い所はススキ、低い所はイグサの仲間やドクダミ、その他の場所はオカトラノオ、ヤマウド、オトギリソウ、カルカヤ、タラ、ヤナギの仲間等に一面が覆われています。どうして誇れる場所かというと、一見管理をしていないように見えるのですが、それなりの管理をして結果を出しているからなのです。
 
 それは管理をしなければ、セイタカアワダチソウ、あるいはクズに一面が覆われて、これだけ多くの種類の植物が繁茂する草原にはならないからです。読者の皆さんも、人里近くの多くの草原、あるいは空き地がこうした2種類のどちらかの植物で覆われている現状を見ておられることと思います。帰化植物のセイタカアワダチソウは70年前後から草原の植生破壊者として猛威をふるっていますし、クズはかつては家畜の飼料として選択的に採取されてきたものが、そうした人の手による圧迫から解放されて、優れた生存戦略で一方的な勝ち組になっています。それでもセイタカアワダチソウは、他の植物を駆逐するために分泌する毒素により、いずれは自分自身も中毒を起こして衰退していくのでまだ救われるのですが、クズばかりはそうした弱点もなく他の植物を覆い光を遮断して永遠の覇者となる勢いです。
 
 この草原は、かつての故郷の草原風景を演出するために、この2種類の植物を皆さんが手作業で除去した結果なのです。何気ない管理の行き届かない草原のようなのですが、ただ者ではないのです。現在は多くのバッタやコオロギが生息する秋の虫のビオトープでもあります。  私は、かつて初秋の夕暮れ、山間の畑地に囲まれた集落(畑地の周りは総て森)を訪ねた時のこと、森と畑地の間にはイノシシ除けの柵が張り巡らされており、それは道路も例外ではなく、車を止め柵を外して入るのですが、その柵の中の畑地跡の秋の虫の鳴き声の聞こえてきた草原を、この森の小さな草原に感じます。

 

☆八日市市市政50周年

 8月15日、八日市市としては最後になる記念式典が開催され、その場で遊林会も社会功労表彰を授与されました。その場に相応しい人として遊林会では炭焼名人にお願いして参列していただきましたが、「3時間ネクタイを締めて拍手をしづめで手が痛いわ、肩が凝るわでいつもの作業の方が性分におうとるわ。」とのことでした。表彰状は作業小屋の壁面に掛けました。

 

☆駅前広場整備その後

 9月のワークショップは、25日(土)午後1時半より開催します。いよいよプランニングの最終段階で、これが終われば現場での施行になります。遊林会のメンバーには、プランニングも楽しいけれど、身体を動かしての作業の方も楽しいという人も多いとは思いますが、どんな計画になるのか、あなたも参加しませんか。

 

☆9月の活動日から終日、活動します

 暑かった夏も去り、だんだん作業に相応しい天候になります。余程残暑が厳しくない限り、9月からは午後も作業をします。お昼は野菜を中心にしたヘルシー・メニューにしましょうか。   
 容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ
この通信は、林野庁の「里山林のあらたな保全利用促進事業」補助を受けて発行しています。


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