'04年04号 No.71

☆作業日あれこれ☆

さよならナカジ(写真撮影中)

 3月13日、この日も快晴。恒例の自然観察会は三平モドキと譲り合ったのか、今回もナカジの担当でした。彼女は、昨夜、寝ながら構想を練ったとかで、朝、出勤すると説明用のミツバチやスミレやオオイヌノフグリの花の形を紙で作って、吸密と花粉の関係、それぞれの花が受粉のために用意した戦略をわかりやすくする工夫をしていました。この辺のことは彼女に脱帽です。その後は、咲き始めたキクザキイチゲ、つぼみが膨らみ始めたイチリンソウについての解説でしたが、彼女の説明は補助教材を使ってとてもわかりやすくみんなに好評です。4月からは別のところで仕事をすることになりましたが、休みの日にはまた解説をして欲しいとファンクラブ(会長は焼鳥名人、副会長は炭焼名人だそうです。私は事務局長に立候補。)の面々は口々に語っていました。

 この日の作業は、シイタケの菌打ちがメイン作業でしたが、ほだ木が少なかったせいか、それとも従事者が多かったせいか午前中には終わってしまいました。この作業は女性が多く携わっていたせいか、隣の倶楽部ボックス作業組の視線が痛い程です。本人達に言わせると、「いくつになってもこれを忘れたらいかん、元気の秘訣よ。(以上代表、焼鳥名人)」とのことです。打ち込んだほだ木にシイタケが発生するのは1年半後、まだ先の話ですが、毎年打ち込んでいるので秋には新たに発生するほだ木ができてきますが、いずれ古くなって朽ちていくほだ木が発生しますので本数的はそれほど増減はしません。発生したシイタケは毎月の作業日の昼食の材料などになっています。
 隠居小屋改め倶楽部ボックス(仮称)周辺では親方を中心に基礎のコンクリ打ちが行われていましたが、コンクリをこねる仕事は力のいる仕事です。この作業は、炭焼名人、焼鳥名人など有名人ばかりで、その辛さを紛らわすためでしょうか、合間の会話は艶やかな話題ばかりでした。竹林ではこの日も青年部長が執念で間引きと切株の整理に取組み、見違える程の風景を創り出していました。木道沿いでは、チェンソー組が伐り倒してある倒木を縦に挽いてベンチとテーブル作りです。完成後は、草原広場やセンター前に置いて河辺の森の利用者に使っていただくつもりですが、完成にはもう少し時間がかかりそうです。この日の昼食では、生臭髭仙人が、さすがにいつもの通りイモでは釣れなかったようで、敦賀から小浜までさ迷って夏目漱石氏と交換に手に入れられたトロ箱いっぱいのハタハタの塩焼きが食卓をにぎわせていました。おでんと一緒においしくいただきました。

 3月24日の作業日は曇りで、キクザキイチゲも充分には開いてくれない天候でしたが、時折ちらつく雨にも手を休めることなく、ひたすら作業の日でした。作業内容は、前回の作業日に焼いた竹炭の取り出しと選別、次回焼くための竹を割って揃えることです。今回の竹炭は、一昼夜かけての焼成で、夜の間は焚き口を締め切ってゆっくりと燃焼させるのですが、その具合が名人は気にくわなかったようで、次回はもう少し焚き口を開けて燃焼を強くするとのことです。炭焼きは何回やってもパーフェクトとはいきません。名人は「倶楽部ボックスが完成したら夜ももう少し様子を見るんやが・・・・。」とのことですので、完成すれば泊まり込んで炭焼きをしかねない勢いです。これらの作業とは別にお昼の材料にと森の中で、春の息吹を感じるヤブカンゾウやヨモギを求めていたのが大先生とY女史で、ヤブカンゾウは芥子味噌でヌタに、ヨモギは天ぷらになって昼食を飾りました。この日のお昼にはこれら以外にも里山七彩の講師で琵琶湖の漁師戸田直弘氏から差入れされた湖魚の佃煮、ワケギのヌタ、鯖寿司などとごちそうでした。しかし、この日は焼鳥名人や生臭髭仙人の姿がなく、「静かやなー、今日はビールもよーけは出んなー。」と改めてお二人の実力(?)を感じた参加者一同でした。

               

☆ルート・マップの絵は

 今年は河辺の森駅のビオトープ整備とあわせて、ウォーキングやサイクリングに役立つ地域の情報満載のルートマップの作成もします。分かり易く印象的な挿絵が必要ですが、遊林会グッズの季節季節の絵葉書を描いて頂いている垣見眞由美さんのご協力が得られることになりました。こちらについてもワークショップ方式で情報の発掘をしたいと考えています。皆様の参加をお待ちしています。

4月の定例活動日は第3土曜日に変更(市内の祭礼のため)
4月28日(水) 週日活動森の居酒屋は4月14日 午後7時頃〜

4月17日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報

 春休みが始まった森には、春の森を楽しもうという親子連れや市外から河辺の森駅を利用してやって来た団体などが目立っています。こちらからの宣伝不足は否めないのですが、新聞で取り上げたいただいたので、京都からやって来たという方も割合に目立ちます。そうした事実を知ると大都市の住民を対象にした駅と森、地域の資源を使ったグリーンツーリズムの可能性を確信します。早く軌道に乗せなくては。

 

☆里山七彩あれこれ

ホームから見た河辺の森駅

 短期集中で実施した連続講座・里山七彩が終了しました。来年度はもう少し余裕を持ったスケジュールで実施する予定です。今年度、6回目の講座は大田伊久雄先生の「北米の森林資源と日本」でしたが、これは日本人にとって輸入材と言えば南洋材、熱帯林の破壊というイメージが強いのですが、現実は北米材が輸入量の4割以上を占めて最大です。そうした余り知らない伐採の現状や木材需要についてお話しいただきました。
 栽培型で効率的なミシシッピー川沿岸の平地を中心とした南部の木材産地と、そうした短時間で生育した小径木を利用でき、材の見栄えを気にしないアメリカの建築工法(ツーバイフォー、2インチ×4インチの材を使用)との関係は興味深いお話でした。ちなみにアメリカの住宅はアパートなども含めて90%が木造住宅だそうです。こうして国内消費は小径木で間に合うので西海岸北部の大径木(米松:ダグラスフォー)は価格の高い日本に輸出されることになり、アメリカ国内で不足する小径木はカナダから輸入されるとのこと。伐採地では、現在では伐採後の植樹や皆伐に制限が加えられ森林保護が図られるようになっていますが、カナダでは未だ充分とは言い難いようです。我が国での輸入と木材産業の関係では、安価な外材の輸入により山元の製材屋が壊滅的な打撃を受け、海岸の近くに大きな製材所が立地したけれども、現在ではアメリカも加工済みの木材を輸出するようになっており厳しい経営状態になりつつあるようです。そんな中で丸太で大量に輸出してくるのはロシアで、これの伐採地の状況は皆目不明で環境に配慮しているようには考えられないそうです。木材を大量に消費する国として、建築工法や伐採地の自然環境破壊を考えざるを得ないグローバルな講座でした。かつて地球環境の問題から熱帯雨林の利用について制限を加えたように、ロシア材などについても同様な視点が求められます。
 講座の最後は池田通則先生の「地元の木で家を建てる」でしたが、通常、家を建てる時に間取りなどにはこだわるけれども、木がどこで誰が生産したかを全く考えないのはおかしなことだとの指摘がありました。納得! これに対して野菜などと同様に木材生産者と消費者の顔が見える産地直送の良さ、生産者も頑張って良い物を出すし、必要な材を必要なだけ中間経費無しで買うので安くなるのだと言うことです。池田先生の「とやまの木で家をつくる会」では、建築設計をした後、それぞれ長さや径ごとに必要な木材の本数を山の現場で注文するので、現在流通するために必要な規格(6mや3m)にならない木も利用でき、その分も安くなるのだそうです。それと特に力を込めておられたのは、地域の人と物を地域で回す点で地元の木で家を造る意味があり、そうしなければ利益はみんな中央に吸い上げられてしまい地域に還元されないという地域振興の視点でした。今まで地方は、都市で集められた税金を地方に還元する仕組みの中で都市と同様なサービスをコストに見合わない低価格で享受してきたけれども、そうした国力が乏しくなってきたこれからはこの視点が極めて重要だと感じた次第です。山小屋でヘリコプターで運び上げた高い缶ビールを飲むか雪渓から引いた水を飲むかの選択と言ったらよいでしょうか?

 

☆フクロウがいっぱい

 センターの図書コーナーには、寄付して頂いた方の一文字と智の神であるフクロウをかけた「ふくろう文庫」があります。(間もなく、黒瀬文庫も開設されます) ある日、センターを訪れられた陶芸家の小島太郎氏(布引焼窯元、シンボルはフクロウの焼き物)は「ふくろう文庫と名付けられているのにフクロウが居ないとは!」と、急遽、市の商工観光課を通じて大小様々のフクロウの置物や陶板を寄付して下さいました。(一番大きなフクロウは、この森の入口にあたる河辺の森駅に置いて下さいとのことでした。) その際、氏の木々を描いておられる陶板に山裾の農村風景、里山の風情を感じているのでそのようにお伝えしたところ、焼きましょうとのこと。いずれセンターの壁面を飾ってくれることでしょう。ふくろう文庫の周りは布引焼のフクロウでいっぱいです。ありがとうございました。

 

☆4月の作業日は、日を変更します

 3月の作業日には、4月も第2土曜日に活動をしますと言っていたのですが、地域の祭礼のためにスタッフが手薄になり、賄いなどの準備が厳しい状態です。そのため、今年も4月の作業日は第3土曜日の17日に変更します。お間違いのないようによろしくお願いします。  日がずれたので、タラノメの天ぷらは無理かも知れませんが、ヤマウドが食べられるかなと思っています。春を満喫する予定です。

   
 汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ
この通信は、林野庁の「里山林のあらたな保全利用促進事業」補助を受けて発行しています。


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