'04年03号 No.70

☆作業日あれこれ☆

倶楽部ボックス屋根張

 2月14日バレンタィンデーが定例活動日でしたが、もちろん快晴の作業日和です。観察会は、ナカジの葉痕(葉の落ちた後の木の枝に残る痕)の解説です。こいつ、サルなどの顔に見えたりしてかなり面白く、この形状の違いだけでも木の種類がわかるそうです。少し小さすぎて、みんなで一度に見ることができないのが難点ですが、冬枯れの季節に相応しい観察会の題材です。

 観察会が終わって作業開始前の準備体操をしている間にも、広場のみんなを見下ろすコナラの木に登って枝落としをされている木登り名人の姿がありました。これは隠居小屋の屋根に落ちそうな枝を予め建設前に切り落としておこうといういうことなのです。高さ10m越える樹上で命綱頼りの作業を他にできる者はおらず、氏の参加がなければコナラ本体を伐採しなければならないところでした。

 準備体操が終わって、この日のメイン作業は河辺の森の東隣の竹薮から竹炭材料のモウソウチクの運び出しです。肉厚2p以上も あるモウソウチクを枝を落とし切りそろえるのは想像以上にしんどい作業で、青年部長は昼食前に午後からの分も体力を使い果たしましたとグロッキー気味でした。その他には今月も林床で青い物退治や落ち葉掻き、刈払機による笹刈りも行われていました。コナラの作業を終えた名人は、モミジの林で三平モドキを助手にモミジ以外の高木をモミジを傷つけないように伐採です。さて、先月に続いての隠居小屋の建設作業ですが、この日は棟上げです。午前中は親方と炭焼名人が合掌屋根の基礎になる杭を打ったりしていましたが、午後には力のありそうなのを捕まえて作業班に加えていました。力が余ってかけやの柄が折れたり手に豆ができたりと大変だったようですが、棟上げですからそれだけでは終わりません。いよいよ前日までにボルトを通す穴を開けて準備をしていた屋根の組み上げです。この作業、二人でやっていた内は良かったのですが、人数が多くなると意思疎通に問題が生じるようで、穴の位置があわなくなったりして、親方も首をかしげる事態になり、今日中に棟上げができるのかと内心心配してしまいました。しかし、そこは親方と名人、少し時間が遅くなりましたが4時頃には多くの人の応援で棟上げと相成りました。めでたしめでたし。余談ですが、二人は翌日の日曜日にも作業を進め、前日とは打って変わった雨の中、補強に余念がありませんでした。その後、週日にも作業を進め、垂木を取り付け屋根の波板を張るばかりとなりました。
 2月25日の第4水曜日は、春のようなポカポカ陽気で気持ち良い作業日でした。この日はお隣の近江八幡市から定年退職後の男どもの生き甲斐事業調査メンバー6人と兵庫県の竹野スノケーケルセンターから視察に来た女性指導員2人を入れての作業です。モミジの林の林床整備と炭焼材料の仕込みでしたが、炭焼窯周辺での竹割りでは若い女性(スノーケルセンター指導員)が加わったとたんに焼鳥名人をはじめ、皆さんは大ハッスル、元気な声が響いていました。このマメさにはいつも感心、若さの秘訣を教えられます。モミジの林は近江八幡の一行も加わり、大勢でかかったので見違える程すっきりし、今年の出潮の時期や晩秋には、さぞやモミジ葉が美しく映えることでしょう。この日のお昼は、少し早いけれども雛祭りムードをと心尽くしのちらし寿司が振る舞われ、いつもだと残り物を気持よく誰かさんが食べるのですが、今回はそれまでに総て売り切れ、食べっぷりを見ることができませんでした。作業小屋の中では、視察者を交えての賑やかなお昼の時間が過ぎていました。もちろん、日向ぼっこをしたくなるような陽気の中で、午後も作業は続きました。

里山七彩の一こま
            

☆近江鉄道新駅広場は・・・・

 3月13日に新駅「河辺の森駅」が開業しますが、駅の広場は未完成です。この広場の工事施工(予算百万円)は遊林会に委託される予定ですが、これについては本格的なワークショップ方式でやりたいと考えています。ワークショップとは「なんじゃいな」という声がありそうですが、簡単にいうと、みんなで相談しながら図面を描いて、施工もそのメンバーでやってしまおうということです。この地域の農村風景が出せないかと考えていますが、先日もそんな話をしていたら、斜面にはフキを植えて一部にはヒガンバナもと盛り上がってきました。最初は現地をみんなで見て、それから思い思いに考えを話し合いながら決めていきたいと思っています。そんな1回目の相談をします。どなたでも意見を出し合って造ろうという方なら歓迎します。
4月3日(土)午後1時〜 ネイチャーセンターにて


3月24日(水) 週日活動森の居酒屋は3月10日 午後7時頃〜
3月13日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報

 3月になると4月からのスタッフの入替の心配で辛い日が続きます。よもやクマの異動はないでしょうが、遊林会のスタッフは制度上継続雇用ができず、泣く泣く別れなければなりません。雇用条件も厳しいので、良い就職先が見つかればこれも祝福して送り出さなければなりません。この森の環境学習の取組や保全活動の質の高さは彼等に負っており、質の維持のためには後継者問題が大きくのしかかってきます。来月の通信が出る時には、新しいスタッフを紹介しなければなりません。今しばらく、厳しい日が続きます。 

☆里山七彩あれこれ

 例年だと毎号ごとに内容をお知らせできる里山七彩も、今年度はスタートが遅れたために、今回だと4回分の内容を書かなければなりません。印象に残ったことを一言ずつ書くならば、稲葉一明先生の「コウノトリを守る意味」では、遊林会が人と自然環境について考えているスタンスと同じような考えで取組んでいる仲間がここにもいたんだという感じです。コウノトリを象徴にして環境問題に取組み、コウノトリが生息できる環境になれば、植物にも土にも人間にもよりよい環境になるということです。
 戸田直弘先生の「びわ湖の外来種の実情」では、日本の内陸水面で環境と調和しながら漁業に従事する漁師(琵琶湖くらいしか存在しない!)の誇りと、外来種(ブラックバス)を自分たちの楽しみだけのために生態系に配慮せず擁護する輩への怒りを感じました。余談ですが、氏は狩猟免許を持っていた(かつては湖面のカモを撃つことができたので自然なことです。)けれど最近返上したそうです。「一時の感情の高ぶりでそんな輩を撃つようなことがあってはならんから」と、冗談交じりに話されていました。我々も身勝手な彼等(釣人)の論理には辟易しますが、琵琶湖で水産資源を絶やさぬように節度ある漁業を生業とされている漁師の怒りは相当なものです。
 浅野房世先生の「森・からだ・心」では、園芸療法概論や療法が認知されているとは言い難い日本における特殊事情(療法を継続させるためのマネジメントの必要性)などを学びました。
 遠藤保仁先生の「資源の循環と木質エネルギー」は、今回の講座では唯一、夜間の開講でした。ウィークディでもあり出席者がどれくらいかと心配していましたが、新エネルギー・ビジョン関係者などの参加や講師の熱弁もあって極めて活発な講座となり、終了後も質問や名刺交換で賑やかで、放っておいたら日が替わる勢いでした。岩手における木質ペレット普及の現状は注目に値しますが、これは葛巻林業がペレットの生産設備を持って細々と生産をしていたので消費のことだけを考えれば良くリスクが少ないため、他から比べれば容易なケースだからとのこと。一から始める場合、生産、消費、コスト、継続、そして環境面だけでなく地域振興と地域物資の循環の視点で捉えることが重要とのこと。氏の言葉の端々には、経営者としての視点、熱意、苦悩が溢れており、様々な問題が見え隠れしていました。もっと書きたいが字数オーバー。

☆隠居小屋とはなんぞや!

 炭焼窯の横に建設中の通称「隠居小屋」の名称に異論が出ています。この建物、ボランティアの方々の倶楽部ボックスのようなものなのですが、率先して建設作業に従事されている炭焼名人からある日、「これからもボランティアで参加しようと思ってるのに、「隠居」とはどうやいな。名前、変えんか?」と意見が出たのです。横で聞いていた焼鳥名人などにも「わしもそう思とったんや。」と相づちを打たれ、名前がこれではいかんなということになりました。確かに現役でバリバリ働いてもらう方の倶楽部ボックス名が、隠居小屋では・・・・。言い出しっぺの名人にも考えてもらいますが、皆さんも出来上がるまでに名前を考えて下さい。当分の間、仮の名称を「倶楽部ボックス」で通すことにします。
 さてその倶楽部ボックス建築工事の進捗状況ですが、本日(2/28)、親方、炭焼名人、地元のKさん夫婦の4人で屋根張りが進められています。高さ5m余りのゆれる足場での作業は慣れないと大変で、試しに登ろうとした愛子様は途中で乗物酔いならぬ建物酔いをしておられました。本日中に屋根は完成するのだそうですが、そうなると合掌造風の屋根だけで、まだ部屋にあたる部分が造られていない小屋は、雨露はしのげるが風は通り抜ける状態で、焼肉ハウスにもってこいの有様です。3月には、いよいよ部屋の造作が開始されます。気持のある方、作業の応援がてら、のぞかれてはいかがでしょう。大抵、土・日には親方と名人が中心となって作業が進められています。

☆寄付金

 遊林会を通じて知り合って結婚した二組目のカップルから活動資金として5万円の寄付をいただきました。他にも病気回復記念や般若湯(?)代としても寄付をいただきました。

☆3月の作業日のお昼は

 今度の作業日も春めいた気持良い作業日になって欲しいものです。恒例のシイタケの菌打ちもすることになるでしょう。昼ご飯の内容はこれから考えることにします。


  汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ
この通信は、林野庁の「里山林のあらたな保全利用促進事業」補助を受けて発行しています。


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