'04年02号 No.69

☆作業日あれこれ☆

整地済みの隠居小屋予定地

 年が明けた第2土曜日の活動日は、作業日和で雨にたたられた昨年との違いが鮮やかでした。蛇足ですが、元スタッフの雨女スーザンが行っているハワイは正月中、前例のない大雨だったそうです。思わず、さもありなんと思うと共に、雨女・男の存在を信じてしまいそうになりました。  この日の観察会の当番は三平モドキ、寝ないで考えたそうなんですが、内容を変更して霜柱(めっきり見かけなくなりましたが、森の観察路には発生)と途中で見つかったコゲラについて話してました。最初のネタは何だったんでしょうか? 

 この日の作業メニューは、前月に引き続いて林床に萌芽しているアラカシやアオキなどの刈り払い、竹林の間引き、そして雑木林の冬の作業・落葉掻き、年末に焼いた清水町の竹炭の取り出しと次回材料の準備、隠居小屋の整地、機械化部隊による林床の機械刈りでした。気にしていた炭の出来ですが、辛口自己評価の名人によれば80点だそうで、これは得心のいく出来だったのでしょう。やはり時間をかけて(約24時間)焼いた方がよいのでしょう。前月は作業参加者の多かった林床整理作業も今月は竹林整備に人を奪われて少ない人数でしたが頑張って野鳥観察壁周辺をすっきりさせていました。この日の作業の花は、計画だけで進んでいなかった隠居小屋予定地の整地です。まず、炭焼小屋に並んだ7メートル四方の土地に積んである薪やシイタケのほだ木の移動から始まり、立木の伐採、最後に整地です。スコップとツルハシで土地の高低差を均すわけですが、ここで皆さん休憩です。まだ休憩の時間ではなかろうと首をひねっていますと、元祖炭焼名人(実際に炭を焼いた経験のある永源寺町のYさん)がトラックにバックホウ(重機)を載せてやって来ました。炭焼窯建設の際にも活躍しましたが、こいつ小さくてもやはり重機です。そこそこ大きなカシの切株に取り付いて起こしてしまい、その後は現場の高低差を均して一丁あがりです。ここに一辺6mの合掌屋根と底辺約3m四方の小屋ができる予定です。土地の高低差を均すと少し土が足りませんでしたので、土砂の搬入が必要ですが、今後は、山田親方の図面も出来上がりましたので、基礎打ち、棟上げと進みそうです。

 例年、1月のお昼は鏡餅の後始末のぜんざいと雑煮です。この日は参加者のご母堂で米寿を迎えられた方が前日より炊いて下さった小豆を使ったぜんざいにソメヤンハサケガスキー氏の雑煮がメイン・ディッシュでした。差入れに各種の漬け物もいただいて、いつもの通り、新年早々のお昼も盛り上がっていました。

 第4水曜日(1/28)は、長かった寒波もゆるんで作業日和となりました。この日は隠居小屋の整地の続きを予定してましたがオペレーターが現れずパス、炭焼小屋周辺で次回材料の準備、萌芽更新エリアの林床整備を午前中にしました。林床整備は主に萌芽枝以外を刈り込みましたので、タラノキも伐採、だいぶすっきりしました。けれど落葉樹の実生やヒサカキなどを残してしまうので、写真に見るような萌芽更新の森とは少し感じが違います。伐採から3年で現在5メートル前後に成長している萌芽枝が空を覆えば、照度が不足して枯れる物は枯れて、もう少しすっきりするでしょう。来年には、切株との接合が弱くてできない萌芽枝の選別(もや掻き)ができるのではと考えています。(萌芽枝は成長は早いのですが切株との接合部は弱くて簡単に離れてしまうのです。) お昼は粕汁やシロギスの焼魚、イカなどの天ぷら、黒豆などで、家庭料理に飢えている三平モドキはご機嫌さんでした。今回の魚は、敦賀港は寒波の到来で吹雪、誰も釣り人はおらず、さすがの生臭髭仙人もイモでは釣れず、市場で釣られたようです。午後は、支柱外しとタケを結束して炭焼窯に入れる準備でしたが、皆さん、「水曜日は人数は少ないけど、する仕事は土曜日より多いで。」などとおっしゃっておりました!

作業中に見つかったオツネン(越年)トンボ

☆林床整備と経年変化☆

 遊林会の以前のパンフレット表紙のメンバー集合写真の後ろに写っている冬の林床には緑の物が何も見当たりません。整備を終えた頃のモミジの林の写真も、林床に何もなくてすかっとしていました。あれから4年経過すると残っていた切株からアオキやネズミモチ、アラカシなどが萌芽して、林床には青い物がとても目立ちます。屋外トイレの横の昨年、常緑の中低木を伐採したエリアなどでは、陽当たりが良いために半年しか経過していないのに、これら常緑樹の萌芽がとても目立ちます。つくづく森は生きて、絶えず変化をしているなと感じます。この冬の作業ではこうしたエリアの整備に力を入れ、気持ち良い森復活作戦を展開しています。



2月25日(水) 週日活動森の居酒屋は2月11日 午後7時頃〜
2月14日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報☆

 近江鉄道、河辺の森駅の開業は、3月13日(土)、遊林会活動日になりました。新婚生活を彦根で始めたマルは電車で通おうとか言っています。ナカジや愛子様には、駅から始まるウォーキングやサイクリングのルート・マップを作るようにハッパをかけています。湖東町の探検の殿堂や近江商人郷土館に出かけたりして資源の発掘を始めました。できるだけ車を使わずに歩いたり自転車で回って道端の見所も探すように言っていますが、虫愛ずる姫のナカジは嬉々として、「郷土館に行く途中にタヌキの死骸が転がっていました!」とみんなに報告をして、見所が違うだろうとひんしゅくを買ったりしてもいます。自然観察と異なる街の探訪にナカジの視点は耐えるのかと少々不安がありますが・・・・。そうかと思うと、愛子様からは、「えぇー、○○まで10キロも歩くの! そんな人、誰もおらんわー」、横からウォーキングにも精を出す炭焼名人が「この間歩いて往復してきたでー」と口を挟んで、こちらも賑やかです。この作業、皆様の参加も待っています!

 

☆里山七彩始まる☆

 '01年度に始めた里山をキーワードにあらゆる視点から語ってもらう里山七彩、毎年度始まる時期が遅れていますが、今年もようやく始まりました。七彩と言うことですので、講師は7人、生態系、市民活動、福祉、バイオマス・エネルギー、経済などの分野でお話をいただいていますが、今年度のトップ・バッターは、身近な話題として滋賀県樹木医第1号の金森亮太郎氏に「マツとサクラ」の話をお願いしました。松枯れのしくみに関する講演を聴いて自宅の庭のマツの手入れ方法に考えが及んだり、先生が今までに蘇生に関わってこられた樹木リストの中に母校のクスノキを見つけて感激したりする人もいて、親しみが持てるお話でした。氏は、湖国の多くの古木に関わってこられましたが、そばを通ることがあると必ず寄って様子を見るのだそうです。こうした木の中には、「前田候(金沢城主)見返りの桜(京都往還の際のことか?街道沿いの墓地にある)」や水上勉の小説「桜守」のモデルとして有名なマキノ町海津の清水(シュウズ)のサクラ、近くでは湖東町南花沢の天然記念物ハナノキなどもあり、エピソードを聴くことができました。清水の桜は墓地が土葬から火葬に変わり、墓石が林立するようになって樹勢が衰え、花が咲かなくなっていたのを土壌の入替などをして、以前のように花が咲くように蘇生させたそうです。  次回以降の里山七彩は、下記の通りです。ホームページでも詳しく案内をしております

  2/ 7 (土)14:00〜16:00  コウノトリを守る意味          稲葉一明   コウノトリ市民研究所事務局長  
  2/15 (日)14:00〜16:00 琵琶湖の外来種の実情      戸田直弘 全国漁協連青年会理事・守山漁協
  2/29 (日)14:00〜16:00 森・からだ・心            浅野房世   淡路景観園芸学校教授  
  3/ 4 (木)19:00〜21:00 資源の循環と木質エネルギー    遠藤保二   葛巻林業椛纒\取締役
  3/ 6 (土)14:00〜16:00 北米の森林資源と日本      大田伊久雄  京都大学大学院助手
  3/14 (日)14:00〜16:00 地元の木で家を建てる       池田通則 とやまの木で家をつくる会理事  

 以上の講座は、どなたでも参加できますので、興味のある方は是非どうぞ。(受講料・予約等は不用です) なお、3/4の遠藤保二氏の講座以外は、午後2時からですのでお間違えのないように。

 

☆大雪と森の荒廃☆

 13日から降り出した雪は今年一番の大雪となり、森は一面の銀世界です。ナカジは、♪犬は喜び・・・・状態で森の中を歩き回ってノウサギやキツネ、タヌキ、テンなどの足跡を追いかけて楽しんでいます。中でも特徴のある足跡(チョンチョンパー)のノウサギについては、発情期の雌の赤ションや2匹が併走しているのを見つけました。また、今回の雪でも、これらのケモノ達が、森の中と外を行き来しているのを確認できました。雪の森の楽しみです。  しかし、この雪、湿っていてかなり重く、この森だけに留まらず、そこここでたくさんの木の枝が折れているのを見かけました。タケや常緑樹はもちろんですが、今回は落葉樹の枝でびっくりする程大きなものも被害に遭いました。山番さんが時間を見つけては薪へと整理されていますが、なかなか追いつかず無惨な姿をさらしている現場もまだあります。昔だと、落ちている枝は誰が採っても良いというルールがあったこの森では、こうした枝は燃料として先を争って処理されたことでしょう。利用されることのない現代の里山では、雪も荒廃を著しくさせることに荷担します。幸いにこの森では、薪やファイヤーサークルの焚き火の材料として利用しますのでそうしたことはありませんが。

 

☆2月の作業日のお昼は☆

 このところ天候に恵まれ始めた活動日、2月は真冬ですが、作業メニューは目白押しです。身体の中から暖まれるようなお昼を用意したいと考えております。肴がなくても暖まれる一群もいそうですが・・・・。  汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

 

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ
この通信は、林野庁の「里山林のあらたな保全利用促進事業」補助を受けて発行しています。


▲前の号 | 河辺林通信トップ | 次の号▼

| ホームに戻る |