'03年8号 No.63

☆作業日あれこれ

このところ作業日はいつも天候がもうひとつですが、この日も前夜から続いた雨が予報に反してあがらず、最悪のコンディションでのスタートです。雨の日用の作業プログラムも用意しておらず、まぁ、雨ですがなんとか半日頑張りましょうといった感じです。今回の自然観察会の担当は三平モドキで、虫こぶと久しぶりに発生した珍しいシロテンマを材料にしておりました。シロテンマは、この森の生態系調査のおりには、オニノヤガラと比べれば小振りで咲く時期もずれていたのですが、同じ物と見なされていたために、オニノヤガラの発生場所は保護していたので、シロテンマの発生場所は作業道路整備の犠牲にしてしまいました。その後、別種と見なされる様になり悔やんでいましたが、生態系調査を担当された環境設計鰍フ梅原氏からは、こうした植物は環境さえ維持できればいずれはまた発生しますよと言われていました。そうは言われても、オニノヤガラは毎年発生し時々の話題となっていましたが、シロテンマは3年間発生せずやきもきしていました。今年、4年ぶりに姿を見せたのを逃さず見つけることができ、観察会で喜びを皆さんにお分けしたのです。
 雨の中で始まったこの日の作業は、タケの密度管理を中心とした竹林整備、一網打尽に機械刈りをしたエリアで遅れて発生してきたタケの駆除、常緑樹などを伐採する林床管理(今回もマルのヘルメット姿は見られず!)、そして、クズやセイタカアワダチソウの駆除です。幸いなことに途中より雨が上がりましたが、作業従事者の皆さんは外からの雨と中からの汗でずぶ濡れ状態でした。ご苦労様です。天候のためでしょうか、作業参加者は常連の方々が少し少なかったのですが、市の職員組合の若手20人程がNPO活動研修で参加したために、総勢ではいつもを上回る参加者でした。

オニノヤガラの花
 毎年7月の作業では、暑い時期ですので午後は作業をせずに遊林会の作業の始まった記念日として楽しむことにしています。この日も、お昼には久しぶりに駆けつけてくれたソメヤンハサケガスキー氏の焼きそば、タエコさん差し入れの薫製、旬の野菜料理などを肴に盛り上がりました。いつもの食事の後のスピーチでは、5年間の活動にまつわるエピソードなどもそれぞれの人から話していただいて、活動の今昔がわかる内容で喜ばれました。ほとんどの人が自分がいつから参加したのかを覚えておられるのは驚きでした。午後の森には夕刻まで時折、暑いのに火を囲んだオオトラどもの遠吠えが響いていたようです。私は今年は、クマからトラへの変身はできず残念!
 7月23日の活動日も雨、このところ活動日は雨続きです。よくこれだけ雨にたたられるものと感心しています。誰が来てくれるかいなと不安に思うこともあるのですが、時間になれば炭焼き名人やキノコ博士、そしてまだあだ名を付けていないおなじみさんが次々と現れます。観察会は、雨の多い梅雨で目立っているキノコから始まりましたが、キノコ博士の見事なマンネンタケの解説やナマコと見間違う程の大きなナメクジなどにびっくりです。この日の作業では、堤防沿いの竹薮の周辺でタケの侵出防止の溝を超えたタケの駆除、炭焼き窯の補修、道具の手入れをしました。お昼は松本さん特製の大豆と黒豆の自家製豆腐、夏野菜の天ぷら、素麺などを楽しみました。

☆活動開始から5年間のこと

シロテンマの花
 ご存じの様にこの森で遊林会の活動が始まったのは5年前の6月、雨の中、5人でのスタートです。当時、森は鬱蒼としており、作業を始めた場所までは一輪車がやっと通れる踏み分け路があるだけで、作業をしていると応援に来てくれた人から、「森に入ってみたけれど場所がわからない」という携帯電話がかかって来るのが常でした。「真っ直ぐ入って来い」と言っても森の深さに途中で不安を覚えてしまう様で、迎えに出なければなりませんでした。覚えている限り、案内を請わないで作業現場までやって来られたのは、フィールド・ワークにたけた県立大学の野間氏だけです。現在からは想像できませんが、それだけこの森は鬱蒼としていたのです。2年間はそうした状態下での作業でしたが、整備工事が始まりタケの伐採や観察路の整備、センターと広場部分の竹林除去が進むと森は明るく見通しが利く様になり、そんな電話がかかることもなくなりました。その頃は電話といえば、県道から見える整備工事(タケや枯れ木の伐採、竹林の抜根)が始まったことやマスコミで取り上げられる「木を伐って森を残す」遊林会の活動に対して、木を伐るとはけしからんというお叱りがよくありました。もちろん、その都度、説明させていただきましたが、思いこみの強い方もあり充分にご理解いただいたのかは疑問です。
 市の整備事業で機械力を使ったタケの抜根や竹林伐採の結果、誕生した明るい裸地では、様々なことが発生しました。この森では話題性があるからといってよそから生物を持ち込まないことを原則(水辺の部分については、砂利採集のために森が完全に破壊されてしまったことや水が枯れてから長い期間が経過しているので、他の場所からの生物の緊急避難場所も兼ねて移入を認めています。)にしていますので、種を播いたり植えたりはしませんでしたが、ハイハマボッスやオカトラノオをはじめいろんな植物が復元して来ましたし、蝶などの昆虫も増えてきました。作業を始めた頃は見かけなかったスズメバチも食物連鎖の結果、増えたもののひとつと言えそうです。タケに侵入されていた場所では、元の林に戻すために毎年続く厳しいタケ相手の兵糧攻めの戦いが始まりました。最初の年はタケノコを刈り取った後、ササ状のタケが発生して一面の草原状態になり、2度の機械刈りが必要でした。2年目からはさすがにそんなことはありませんでしたが、未だ細くなったとはいえ多くのタケノコを発生させています。
 この間、第2土曜日の作業参加者の人数も、初めは20人程度だったものが、いつの間にか50人が普通になりました。2年目に入る頃からは、平日の作業も始まり、現在に至っています。活動の楽しみのお昼も、初めの頃は最初に作業を始めた大きなアラカシの下でコンビニのおにぎりなどを食べていました。次第に汁物やおかずが充実してきたのはご存じの通りです。作業小屋ができてからは、忘年会の餅つきを期にこちらの方に移りました。それまでは作業後に、食器や機械を市役所に持ち帰って洗ったり手入れをしていたのも懐かしい思い出です。
 丸5年間、長い様な短い様な期間ですが、こうした活動経過は、河辺林通信や作業メニューのバックナンバーで垣間見ることができます。活動記録整理の弱い遊林会では、こうしたことは毎月休まず発行してきた河辺林通信頼みとなってしまっています。(インターネットを利用できる方ですと、通信や作業メニューのバックナンバーは、ホームページで総て閲覧することができます。)そのためにも、取り敢えず毎月、通信を発行しなくてはとネタ切れ気味の記事を前に居直っています。

7月23日(水)週日活動 森の居酒屋は7月9日午後7時頃〜
7月12日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報

只今、森ではアメリカザリガニ釣りがブレーク中です。常連の子ども達にマルが許可証を出して、ハリヨ池で目立つようになったザリガニ釣りをさせたことに始まります。もちろん彼らはやり方を知らず、こちらが教えることになったのですが、初心者でもちゃんと釣っていました。その数日後、(遊林会ホームページ掲示板の)自称スネークハンター氏が水辺に不正放流された金魚とアカミミガメを捕らえに出かけ、短時間で代わりにザリガニを40匹程捕まえてきたことで予想以上の大量発生の事実を知らされました。水辺の動物は近くの川から捕まえてきて放流したものですが、その時、アメリカザリガニは日本に帰化してから長く経っているし競合する在来種もいないように考え、少し抵抗を感じながらも数匹の放流を黙認してしまったのです。それがこんなに増えて、それも最上流のハリヨ池まで進出するに至っては、今後ハリヨを放流をした時に巣を壊したりハリヨそのものを食べられる可能性もあり、駆除しないわけにはいけません。しかし、琵琶湖の外来魚でももめていますが、捕らえてどうするかという問題が発生します。例の40匹をスネーク氏が、「うちらのとこではエビガニ言うて食べるんや、森の居酒屋で料理して食べるで!」、この言葉に料理好きのスーザンが呼応(悪のり)して、塩ゆでや炒め物にしてしまいました。最初は抵抗があったメンバーも、「見本を見せるわ」とスネーク氏のおいしそうに食べる様子や先程食べたピザのペーストに仕込まれていたとかいう話で毒を食らわば皿までも状態となりました。おかげさまで、この森では外来種駆除はキャッチ&イートという理想的な解決を見ました。作業日の午後も子ども達の指導を理由に釣っておられた御仁も見かけましたが、釣ったらちゃんと食べましょうね! センターでは時折、釣られたエビガニの跳ねる音がしています。おいしい食材、お分けします。フィンランドではザリガニ漁の解禁日があり、待ちわびて食べるのだとか・・・・。

☆森を出発点にサイクリング、その2

 読者からの反応がないのがこの通信の記事ですが、しつこく一方的に書き続けるのが許されるのもこの通信です。(一方的に都合良く解釈しています。) 前置きが長くなりましたが、もう一度書きたいのは、この森を起点にしたサイクルマップとレンタサイクル事業の可能性です。八日市にとらわれずに湖東平野の面白い所、買いたくなる物、食事処などを紹介した地図を作製し、有償で配布するのはいかがでしょうか。それらの訪問手段としてレンタサイクルを用意し、田園サイクリングを提案すれば、この森の利用者の一部には必ず歓迎されると思うのですが。まずはマップ作りのデーターの蓄積をしようという人、いませんか?

☆8月の作業日も午後は休憩

 真夏の長時間の作業は、とても身体が持ちません。かくして半日作業です。午後は、8月の季節にふさわしく鶴田浩二主演で特攻隊を描き、ロケが八日市の飛行場跡で行われたことでも年配の方には懐かしい(1953年制作)「雲流るる果てに」を鑑賞しようかと考えています。私が八日市市に勤務した1973年でも、「あのロケの時には誰それがエキストラで出たんだ」と語り継がれていましたから、市民の方には思い出多い作品のはずです。制作後、半世紀、銀幕の中に50年前の八日市を感じ取れるでしょうか。恒例のお昼は夏野菜を何とかすることになるでしょう。

汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html あなたの思いを掲示板へ


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