'03年7号 No.62

☆作業日あれこれ

 6月の作業日は雨が心配ですが、夕方までは大丈夫という天気予報の中で始まりました。この日は4月から指導員として勤務しているナカジ担当の初めての自然観察会からスタートです。前日に指名するとワァワァと大騒ぎしていましたが、本番になるとネタの入った手提げ袋を手にした指導員スタイルで登場しました。アワフキムシの観察から始まりスミレの閉鎖花(普通の花の後に咲く、開かずに自家受粉する花)とエライオゾーム(カタクリやスミレなどの種子に付着しているアリを惹き付ける物質)とアリの話で締めくくり、要所要所では写真やクイズを袋の中から出して説明し、非常にわかりやすく好評でした。ちなみに最新の説では、エライオゾームはアリの食物ではなくアリの幼虫の臭いのする物質で、幼虫と間違われて種ごと巣に運ばれ、数日すると幼虫の死んだ臭いに変化するので、種は巣の外に捨てられるのだそうです。その結果、種はアリに巣近くまで運ばれ、生育範囲を広げることに成功するのだということです。  
 この日の作業は、今年生えたタケノコの処理がメインです。竹林ではタケになるのを残しながら多すぎるタケノコを処分して密度管理、かつて竹林だったところをケヤキの仲間の森に戻す所では一網打尽(ただし、実生苗は残します)に機械刈りです。もちろん、この日の作業には退職祝いに贈られた刈払機持参の草刈り名人のお姿もありましたが、お昼に作業リーダーの元部下から、力が余っての刈り過ぎのお小言を頂戴しておられました。草原広場周辺ではセイタカアワダチソウやクズなどの除去ですが、今までの作業の甲斐があって草原の囲いの中はオカトラノオだらけで美しいお花畑状態になっています。母親と一緒の子どもも参加してクズの蔓をひっぱったり帰化植物を抜いたり、周りへ場所を広げて実施しました。この日のお昼から、いつもの新人一言コーナー(初めて参加した人が自己紹介を兼ねて感想などを話す)に加えて、それぞれの作業リーダーが作業内容を説明するコーナーを設けました。これは自分の参加している作業はわかるけれども、森の中で同時進行している他の作業の内容や問題点を共有できるようにとの考えからです。目論見は成功で、リーダーだけでなくそれぞれの参加者の意見も加えればとの感想も寄せられています。

雨喜びのひとこま 竹馬と竹ポックリ

 お昼をいただいている間に雨脚が強くなり、午後は「雨喜び(アマヨロコビ)」となりました。この言葉は農作業などで使われ、雨で作業などが中止になり楽ができるというような意味で、この言葉を知っているかを皆さんに尋ねると、見事に50代以上の地元の人だけにしかわからず、山番さんからそんな言葉も知らんのかと笑われてしまいました。作業を中止した雨喜びの森では竹馬で遊んだり、タケノコを焼いて味噌で食べたりおしゃべりを楽しんだりと皆さん骨休めです。以前ですと、作業は昼までと決めたかの様に午後は麦ジュースを楽しんでしまう一群がいたのですが、代表の私が飲めなくなってしまってからは全体の消費量も減り、そうした人も見当たりません。この日もかつてそうだった人は見えるのですが、そうしている人はいませんでした。午後の酔いつぶれ組の存在は誰の性だったのかとちょっと反省です。 第4水曜日(6/25)は未明から大雨で、枕元でこりゃ今日はたいした作業はできないなと覚悟をしていましたが、7時頃より雨も上がり作業が出来る状態になったのにはびっくりです。でも湿度も高く参加者は少ないかと思っていると、あの人もこの人もという調子で参加者が増え、20人程になりました。作業は駐車場近くの竹林でのタケノコ処理と後半は森のあらゆるところでタケ退治、環境学習等で発生した葉付きの枝のチッパー(粉砕機)処理、炭焼き材料の集荷、そしてこの日は麻婆茄子、酢豚、キュウリの酢の物などのお昼ご飯準備です。この日も昼食は、活動内容調査と参加するためにやって来た大学院の学生やたまたまオカトラノオの取材にやって来た新聞記者も交え、にぎやかな時間でした。午後もきっちりと続きの作業に従事し、梅雨の晴れ間の作業日を終えました。

☆コウモリの巣箱とヤブカのその後

 昨年、コウモリが大量にカを餌にすることに着目して、ヤブカで悩む森にコウモリの団地を造って移住推進プロジェクトを開始したことは、通信の48号から50号(2002年5〜7月)で紹介しています。1年経ちましたが、森ではコウモリの姿をほとんど見かけず、巣箱も空き家状態です。幸いに入居者がなくてもどこかの様に、債権放棄を求めたり責任者の更迭などをする必要がないので助かってはいます。しかし、森では確実にカの発生が減っている感じで、数年前だとこれからの季節、蚊取り線香無しでは森を歩く気にもなれなかったのですが、今では余程のことがない限りスタッフも蚊取り線香を腰にぶら下げたりはしません。マルと話していると昨年くらいから減ったのではないかと言うのですが、確かに街の暮らししか知らない人が恐怖を感じた様なカの攻撃は昨年くらいから感じなくなっています。理由を考えて見ると、竹林でヤブカの発生源のタケの切株に水が貯まらなくしたことや、水辺が出来てカを餌にする多くのトンボたちが森にやってくる様になったことなどでしょうか。中でもトンボは水辺の工事が完成して一昨年の秋に試験放水をしたとたん、どこからともなくやって来て次々と産卵した光景が思い出されます。今年も森ではギンヤンマをはじめ、多くのトンボたちが飛び交っています。コウモリはまだですが、トンボがカを食べる役割を引き受けてくれているのでしょうか。

7月23日(水)週日活動 森の居酒屋は7月9日午後7時頃〜
7月12日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報

今年の見事なオカトラノオの群生

 晴れた放課後には子ども達が森にやってきますが、この時期のお目当てはカブトムシやクワガタ探しです。時期が早いので出ていませんが、油断をしていると悪ガキ共はカブトムシの保育園を掘り返して幼虫をあさったり、朽ち木を砕いて中のクワガタを採ったりします。これはルール違反で注意をしますが、馬の耳に念仏で悪ガキ共に軽くあしらわれたりもします。こうした時は、名前だけではない山の番長こと山番さん・うるさいおっさんの出番です。そうかと思うと工作がしたくてやってくる子ども達もいます。切り出しナイフや錐・鋸などを使って何かを作るのを楽しみに来るのですが、こうした子ども達が来ると森は学童保育所状態で、三平モドキやマルなどが指導員ならず友達か家来の様に使われています。森の学童保育所の開園でも考えようかと思ってしまいます。しかし、問題がないわけではありません。子ども達はナイフなどの道具が身近になく、こうした時間に相手をしてくれる大人もいないので、森ではなくスタッフを目当てに来るわけです。私達の子どもの頃は自分のナイフを所有していろんなことに使いましたし、そこかしこに暇と言ってはなんですが、子どもを見ている大人がいました。ナイフを持たない子ども達は道具を使って物を創り出す工夫や能力を失っており、器用ではない自分が見ても惨憺たる有様で、これでは技術立国日本の将来はどうなるんやと思います。少数の不幸な事故のためにナイフを持つ楽しみを奪われてしまった現代の子ども達は、危険を過剰に回避する社会の被害者だとも言えます。誕生日などにナイフをプレゼントするような親や子どもの相手をする暇な大人が現れるまで、スタッフはこうした対応から逃れられそうにありません。もっとも遊林会若手にも、小さい頃にこうしたことを充分にできなかったためでしょうか、高価なカスタム・ナイフを持ち歩いて落としたり、刃物購入ツァーを企画したりしているのもいます。子どもとナイフは、古くて新しい問題です。

☆森を出発点にサイクリング

 この森の利用者の滞在時間は、クイズラリーにはまり込んでしまったというような親子連れを除けば、自然に興味を持って歩く人で2時間、ちょっと来てみたという人で1時間位でしょうか。せっかく来ていただいたこうした方々に、何か他の魅力も提供して、地域での滞在時間を伸ばせないかと感じています。遠くから来られた方々に平坦な湖東平野を巡る魅力あるサイクリング・コースを提案すれば、環境にも優しく身体にも良いと喜んでもらえ、地域としてもありがたいことではないでしょうか。そのために必要なレンタサイクルや地図作りを遊林会で取り組んではと思っています。将来は近江鉄道の駅での乗り捨ても可能にすれば鉄道利用者増にもなります。軌道に乗れば遊林会の財務基盤の確立の面からも良い話です。こんな計画いかがでしょうか。

☆今年も強力な助っ人

 毎年、タケとの戦いが始まると援軍が現れます。今年で4年目になる下草刈プロ集団の県造林公社の有志グループは刈払機持参で、竹林だったエリアで竹林の復活を目論む細いタケノコやタケを徹底的に刈ってくれました(6/20)。もちろんこのエリアは遊林会の活動でも機械刈りをしているのですが、面積が広大で実生苗を残しながらの作業なので通常の作業より手間がかかり、応援はとても助かります。湖東信用金庫の皆さんも3年目で、こちらも使い慣れた刈払機持参組が10人程と手作業支援組50人余りで、人手の必要な除草作業に従事して下さいました(6/7)。また、今年も湖東信用金庫さんからは寄付をいただきましたので、この資金を元にクリスマス・コンサートを開催する計画です。ありがとうございました。おかげさまで広大なタケ撲滅ゾーンの今年の一巡目の作業を終えることができました。

☆7月の作業日は6年目の記念日

 毎年、暑さの厳しくなるこの月の作業日は午前中で作業を終え、午後はゆっくり時間をかけて交流時間としています。お昼にはビールがおいしくなりそうな物を用意するのがいつものならいです。差し入れや一芸の披露も大歓迎です。昨年は冷蔵庫で冷やせないビールがハリヨ池に浸けられていました!気を付けて欲しいことは、飲酒運転です。飲まない人に同乗してくるか、自転車、バス、迎えに来てもらうなどの方策を考えて下さい。2時過ぎからはレクチャー・ルームで映画上映2本立ても開催予定、昼寝も鼾が邪魔にならない限りは結構です。

汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html あなたの思いを掲示板へ


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