'03年6号 No.61

☆作業日あれこれ

みどりのつどいコンサート

 5月・第2土曜日の活動日は、快適な作業日和でした。作業前の観察会のネタに前日より困ってうんうんとうなっていましたが、まずはその観察会からです。最初は外来種のタンポポと在来種のタンポポの生育環境の違いを草原広場で説明しようかと考えたのですが、残念なことに在来種のタンポポが盛りを過ぎて花が終わってしまっておりネタにできませんでした。(外来種は裸地のような厳しい環境に、在来種は草原のような環境にそれぞれ住分けて生育し、外来種が在来種を駆逐するものではないという良い見本が草原広場に展開していたのです。) あれもこれも駄目と悩んだ末の観察会のネタが、この日の萌芽更新エリアの今冬伐った切り株からの萌芽と2年前の萌芽の成長比較でした。2年間で5メートルを超える高さに成長している萌芽には、萌芽更新の優位性とすさまじさを皆さんに感じてもらったことと思います。恒例の観察会に引き続き、この日もいつもの作業が始まりました。
 この日の作業は、4月の続きの竹林整備、林床管理の他に楢炭の取り出しと次回焼成のカシ材の窯入れ、親方はピザ窯建設でした。新しい作業は、草原広場や入口周辺のセイタカアワダチソウとクズ退治で、これから秋までのイタチごっこのような作業です。午後には、竹林整備班がみどりのつどいに向けて竹炭などの遊林会グッズの制作をしました。後日、センターでは竹炭、杉炭、楢炭をそれぞれいくらで販売するかで頭をひねっていました。竹炭は200円/100g、杉炭は100円/1kg、楢炭は150円/1kgに落ち着くのでしょうか。特に楢炭はいい物でダンピング価格なのですが、ホームセンターで販売されているマングローブ炭との対抗上、この価格にせざるを得ません。販路を持てば楢炭として正当な価格で販売できるのでしょうが、やむを得ません。この日の秘められた話題はセンタースタッフのマルのことです。彼は独身貴族の特権で経済力に物言わせて、道具マニアなのですが(オマケ:うしまろ君はオークションマニアで溢れる落札物品をしまう蔵がいるだろうという噂もあります。)、このところチェンソーにはまってしまいマイチェンソーを買ったまでは良かったのですけれど・・・・。同じ買うならとチェンソー用の消音装置(イヤーマフラー)の付いたヘルメットまで買ったのです。赤色で派手な形のそれは、さすがにこの日のチェンソーお披露目の林床管理作業では使えなかったようで、机の上に鎮座したままでした。一人では恥ずかしいと見えて、林床管理作業でチッパーを扱っているうしまろ君に、放り込んだ枝のキックバックに備えて顔面を保護するプロテクターも付いているのでと購入を勧めていますが、どうなるのでしょうか。
  28日の作業日も天候に恵まれましたが、少々暑いくらいでした。この日から今年もタケとの戦いを開始です。今年はタケノコの不作の年で、賄いの材料にも事欠く有様なのですが、竹林の管理上処分しなければならないヤダケのようなひょろひょろのハチクのタケノコは、あちこちで豊作状態です。本日の作業は、健全な太さのハチクで竹林がおおわれるように、これをナギナタモドキの鎌で伐ってしまうことです。午後からは竹林を駆逐してケヤキなどのニレ科の森に戻すエリアで、木本の実生苗にマーキングです。これは生き残っているタケの地下茎から発生する、これもヤダケくらいのタケを刈払機で刈る時に、間違って将来の森になる木を刈ってしまわないように、目印のタケの棒を立てるのです。今年も遊林会の通常の作業日以外に、湖東信用金庫の皆さん、県の造林公社の有志の皆さんから刈払機持参での応援申し出が来ています。このエリアでのタケ撲滅作戦は3年経過しており、発生するタケノコの数は減ったように感じますが、手を抜けば地下茎に養分を蓄えて復活してきます。今年は撲滅7年計画の4年目、真ん中の年に当たります。道は遠いですが、計画終了頃には、タケノコの発生もなくなり、ケヤキなどの実生苗も雑草の高さを超えていることでしょう。作業中、近くのお宮さん森でツツドリが鳴いていたそうで、初夏の活動日でした。翌日には、森でカッコウとホトトギスの鳴き声が聞こえました。

☆ソバ畑のその後

 昨年、ソバを植えるとタケの発生を抑えることが出来るという話を聞いて実験をしましたが、今年のタケノコの発生はどうなるかと気になっていました。(余談:植えたソバの量よりも収穫したソバの量の方が少なかった!) 結果は、確かにソバ畑だったところには、タケノコは発生していません! しかし、畑に開墾する時にタケの地下茎を痛めた効果なのか、それともソバのアエロパシー効果なのか、もう少し観察を続ける必要がありそうです。もちろん今年もソバ畑での実験を、場所を替えて続ける計画です。

6月25日(水)週日活動 森の居酒屋は6月11日午後7時頃〜
6月14日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報

 せっかくの施設ですから、利用者が少ない日などはこれでいいのかなと言う気になってしまいますが、嬉しくなる日もあります。先日の日曜日もそうでした。天候に恵まれて午後には家族連れで大にぎわいです。バギーを押した若夫婦や父親を連れて来た子ども、ウォーキングの服装をした老夫婦が思い思いに森を散策している姿を見かけると、この森を残せて良かったなぁとしみじみ感じます。そんな時、展示ホールに出てさりげなくToday's Mapの前で解説をしたり、見所を伝えたりするのも楽しい仕事です。オープンした時には、日曜日などはホールに出て案内をしようと心掛けていたのですが、いつの間にか事務室に引っ込んでしまい、出ることが少なくなっています。初心を忘れてはいけないなぁとかつての気持を思い出しています。多くの人に、普通の感覚からすれば何もないこの森の楽しみ方を知っていただけるように解説することの大事さを改めて感じています。この森は、植物も鳥も蝶もマニアにとっては充分に面白いのですが、そんな面白さの一部でも一般の多くの方々に伝えられたら嬉しいですね。

☆ショウブの花の色は? 

水路沿いに咲くキショウブ

  昨年、整備工事も完成し、水路に水を流し始めると、水路沿いにショウブと思われる植物が生えて来ました。もちろん植えたわけではなく、かつての水路沿いに細々と生き残っていた物(生態系調査の際には水路跡も歩きましたが、全く気が付きませんでした。)が勢いを取り戻したらしく、これもまたハイハマボッスやトラノオなどと同じく環境が整えば復活する見本として喜んでいました。アヤメ科のショウブには在来種の紫の花のノハナショウブと帰化植物で黄色の花のキショウブがあり、密かにその時より在来種のノハナショウブ(近畿版RDB記載種)を期待していたのです。昨年は株に力を蓄えるだけで花を咲かせることはできず、今年を待っていました。膨らみ始めたつぼみを断ち割って、色を確認したいくらいな気になっていたのですが、漸く花が咲きました!残念、ありふれたキショウブでした。正確には花の時期もノハナショウブの方が一ヶ月程遅く、冷静になればつぼみが膨らみ始めた時点でわかっていたのですが、それでも花の色を見るまではと思いを断ち切れなかったのです。しかし、水路沿いに生息域を拡大し始めたこの花も、この森に水路が流れていた歴史を語る生き証人として大事にしてやりたいと思います。(花の色が知りたくて、昔の森を知る人にも聞いていたのですが、森の水路沿いに咲くショウブの昔の姿を知る人には会えませんでした。)

☆みどりのつどいあれこれ

 前夜祭のコンサートから始まった今年のみどりのつどいは、今年も天候に恵まれました。コンサートのチケットは、宣伝らしい宣伝をしていないのですが、いつものように売り切れました。展示物を移動しての会場作りは大変なのですが、展示ホールでの演奏は音の響きも良く、皆さんに好評です。4回目になった今回は弦楽4重奏にクラリネットを加えてのモーツアルトのクラリネット協奏曲がメインでした。メンバーともすっかりうち解け、次回のクリスマス・コンサートが話題になっていました。翌日の本日は、大凧の飛翔もこの風なら大丈夫という暑くも寒くない絶好の天候で幕開きです。炭焼き名人は、アラカシの炭焼きを当日中に終わらせるために、我々よりも早く森に来て窯に火を入れ、7時過ぎには既にスタンバイです。炭焼き窯の前は、竹炭、杉炭、楢炭、竹酢液などの遊林会グッズの販売コーナーです。昨年は商品は竹炭だけであまり売れなかったのですが、今年は品揃えを豊富にして何とか売ろうとの作戦です。前日に三平モドキは、1年寝かせた竹酢液の上澄みを濾紙で2段濾過をし、500ccのペットボトルに詰め、ラベルを張ってそれらしく商品にしていました。勢い余ってファイアーサークルで野焼きした土器に、アベマキの実生を植えて売ろうとの商品まで登場です。まつりが始まっても最初は人の出が悪く、身内ばかりが楽しむまつりになるのかいなと思っているとボチボチ人も現れ、熱心な売り子にも恵まれて、遊林会グッズは売れ出したのです。ふたを開けてみると売上高は1回分の定例活動資金くらいになり、首をかしげるやら喜ぶやらという有様です。しかし、アベマキの実生を植えたお手製の土器は少しも売れず、興味を持った人も、どんな木になるのかとの質問に、センターの前にある大木を示すと、それでお終いでした。土器だけの状態なら売れたかもという言葉まで出る始末です。取り敢えず、意外に炭関連商品が売れることがわかり、今後の遊林会グッズの方向に明るい情報となりました。大凧まつりと同時開催のみどりのつどいを訪れた人は約3千人、森の収容力に丁度良いくらいの人数で、クイズラリー、緑化相談、寄植教室、花苗の配布、新エネ・グループの焼きそば販売、そして今年も好評だった平尾夫妻のコカリナ・コンサートなどが開催されました。まつりが終わり後片づけも済んで暗くなった森では、炭焼き名人ばかりが煙突の煙の色を眺めながら、密閉するタイミングを見計らっておられました。お帰りは11時を過ぎたようです。

☆6月の昼食はもちろん筍づくし?

   今年は不作ですが、なんとかなるでしょう。最近、デザートに凝るようになり、スタッフはクサイチゴを使用した一品を何とかしたいと言っていますが・・・・。  汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html あなたの思いを掲示板へ


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