'03年5号 No.60

☆作業日あれこれ

この森の自生ジエビネ

 いつもより1週間遅れの作業日は、今にも雨の降り出しそうな天候でしたが、きっちり50人ほどの参加者がありました。この日の作業は、今までは森の奥ばかりで林床管理作業をしていましたが、センター近くの草原広場の周囲にも広げて、センター付近までしか足を踏み入れない利用者にも林床管理作業がわかるようにしようとの意図からです。森の奥から順番に実施する予定でしたので、いずれは作業を始める場所だったのですが、少し前倒し実施ということになりました。竹林では、整理魔(センタースタッフに欲しい性格です)の青年部長を先頭に放置された竹や雪で折れた竹の持ち出し、炭焼き名人はナラ材の薪を詰め込んで堅炭焼成実験、親方はピザ窯の基礎作りにそれぞれ参加者を巻き込んで取り組まれておりました。
 林床管理エリアでは、久々にチッパー・シュレッダーも登場してにぎやかに作業が進められていました。伐り倒したアラカシは長さを揃えて炭焼き原料にする手はずです。もちろん、前日に三平モドキがテープでエリアの囲い込み、残す樹木や注意すべき草本にマーキングをしていたのは言うまでもありません。竹林整備班は機械に頼れず、人力でセンター前のファイァーサークルまで何度も何度も朽ちかけた竹を運んでいました。サークル前では火遊び大好き連が代わる代わる、火の中に竹を放り込んでたき火を楽しんでいましたが、おかげでおきがたくさん貯まってしまい、作業終了後も、風はなく雨も降っていたのですが、もしもの火事が心配でスタッフは帰るに帰れない有様でした。そこで三平モドキが一工夫、籾殻をおきの上に均等に播いて蒸し焼き状態にして一安心となりました。翌日、早朝より雨の中で三平モドキとスーザン(新しいスタッフ)が、わいわい言いながら蒸し焼き状態のおきを広げて残った竹を放り込み、炭焼き窯の調子を見ている炭焼き名人と一緒にたき火を、仕事と言うよりは楽しんでいました。この方達は健全な火遊びです。親方はこの日も一人で賽の河原よろしく、積んでは崩し納得がいくまでピザ窯の石積みにあたっておられました。最後に地蔵さんを据える台のような恵心の作の石積みが完成しました。
 今月は通常の作業日を第3土曜日にしたので、第4水曜日との間が4日間しかなく。炭焼き名人自慢のナラ炭は、結果がとても気になるのですが、まだ窯が熱くて開けることができませんでした。この日は、夜半から雨が降っていたのですが、作業を始める頃には雨も上がり前回の林床管理作業の続き、そして雨の日に残しておいた竹炭の整理が主な作業になりました。昼食班は、いただいたモウソウの筍を中心に季節の料理に余念がありません。その中で餡がハンバーガーのように挟まれた草餅には、笑ってしまいました。新しいスタッフの仕業のようです。作業を始める前の観察会では、カスミザクラ、ウワミズザクラ、イヌザクラの花見としゃれ込んだつもりですが、見上げるサクラの花びらは雨の降り出しそうな空の色に溶け込んでしまい、見えんなーという声ばかりです。

これでもサクラ ウワミズザクラ

穂のようになって咲くウワミズザクラには、これでもサクラの花かいなということになります。イヌザクラは毎年咲く花ではないのですが、今年も咲いてはいないようです。ソメイヨシノやヤマザクラよりも遅いこれらの桜は、4月末が盛りです。保護を目的にした保全作業の結果、少しは元気かなーという感じですが、手を抜けばコナラやアベマキに被圧されて枯れてしまいそうです。(桜は背伸びでは他の木に負けてしまい、充分な太陽の光を受けることができずに枯れてしまうのです。)
 この日の林床管理作業では、伐ったアラカシを整理して炭焼き原料を確保しましたので、次回はアラカシの炭を焼くことになります。名人は次から次に新しい炭焼きに挑戦です。

☆ムササビ目撃情報

 この森に住むほ乳類は、アカネズミ、ヒミズ、モグラ、ノウサギ、イタチ、テン、タヌキ、キツネ、クマ(?)です。大型のシカやイノシシなどは無理ですが、リスとムササビはいるかも知れないと密かな期待をしていました。事務所もこちらに移ったので、雪の日の朝にムササビの食痕を探せないかと思ったりもしていましたが、倒れてしまい果たせずにいたのです。4月23日、作業日にセンター前で休憩中の炭焼き名人と焼き鳥名人が近くの木からセンターの軒へ滑空したイタチ色の獣を目撃しました。調べてみると軒裏に壁との間に一カ所板のない部分があり、付近の鉄骨に爪痕と思われる傷が付いています。この地域では30年程前までは集落の神社境内で、夕方になると拝殿から河辺林へ滑空していくムササビの姿が目撃されて いたのですが、河辺林の連続も絶たれ彼らには住みにくい状況になっていました。今回の目撃情報は昼間という問題はあるのですが、まずムササビに間違いないでしょう。キツネやタヌキ、ノウサギなどは森を越えて移動をしていますので、生存条件が整えば帰ってくるのでそれほど心配がいらないのですが、ムササビやリスは孤立した森では一度絶えてしまうと再び帰ってくるのは極めて困難ですし、一定程度の生息数がいなければやがては絶えてしまいます。その点ではこの森が木々が連続して他の森や山に繋がり、仲間が行き来できる環境が重要です。センターに住み着いたムササビは河辺林の生き残りなのか、それとも他の森から木々を伝ってやって来てくれた新参者なのか気になります。ムササビがやって来るためには、50〜100メートルおきに木があることが必要なようです。たとえば箕作山との間ではそんな条件が満たされているのでしょうか。頭の中で考えてしまいます。電線や電信柱も使ってやって来たのでしょうか。ムササビが目撃されたことはとても嬉しいことですが、この森が置かれているこうしたビオトープ・ネットワークについても改めて考える機会を与えてくれました。

5月28日(水)週日活動 森の居酒屋は5月7日午後7時頃〜
5月10日(土) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報

 この森にかろうじて残されていたヂエビネを増やし、盗掘の害にも耐える数を確保して皆さんに見てもらおうと、県の農業試験場に培地培養で増殖をお願いしていました。数年越しの取り組みの結果充分な数の苗が生産され、もうすぐ森に戻されてきます。しばらくの間は、意外にこまめなうしまろ君が世話をした後、木道沿いに皆さんに鑑賞してもらえるように植栽する計画です。開花は2年後になると思います。お楽しみに。(この森には、動植物を無制限に入れるものではありません。ヂ゙エビネは乱獲のために壊滅的な被害を受けていたので、絶滅を防ぐために手だてを講じ、絶対数を確保し希少性をなくし復活させるものです。)

☆遊林会ホームページ、コンクール入賞

 (社)全国林業改良普及協会という団体主催の広報コンクールのホームページ部門19作品中、2位の優秀賞に遊林会のホームページが選ばれました。受賞理由には、ホームページの特性を生かした親しみやすい生きたメディアになっているとあります。ただし、各ページのデザインがバラバラであることや画面展開に時間がかかるなどの指摘もされており、評価はシビアです。  遊林会のホームページは、新しくなければ情報ではない、見て楽しくなければホームページではないというモットーの下に運営しており、受賞はこのことが評価されたものと素直に喜んでいます。指摘事項は、ホームページとして洗練されていないということのようで苦笑です。今後、ページデザインや各ホームページとの相互リンクについて検討を加えて、より親しみやすいホームページにしたいと考えています。アクセス数は、判で押したように1ヶ月千件、常連さんばかりと言う感じだったのですが、4月は、入賞のおかげでしょうか、このペースを上回りそうです。

☆今年も前夜祭はコンサート

 5月25日は隣の愛知川河川敷を舞台に大凧まつりが開催されますが、昨年より同時期にみどりの集いを河辺の森で実施しています。前夜祭の弦楽四重奏のコンサートが好評でしたが、今年もクラリネットを加えてモーツァルトの曲を中心に開催します。(5月24日 土曜日 午後7時開演 チケット¥800)  また、翌日の25日はみどりの集いを実施しますので、遊林会の参加者、応援を期待しています。よろしく。

☆新メンバー紹介

 前月の通信では事務職は只今募集中とありましたが、相応しい人物がやって来ました。直前までハワイで暮らしていた愛称スーザン、諏訪です。あの雨の日にファイァーサークルの前で火遊びをしていた女性です。年齢不詳ですが、?0年前に通っていた高校のプレートの付いた自転車で通勤しています。専門は石屋ですので、愛知川の岩石標本の作成と人間の化石の私に興味を持ってもらうことが希望です。  一方、新しい指導員の中嶋は、八ヶ岳山麓でヤマネを追いかけていたようで、ケモノ、ヘビ、カエルなども大好きで死骸や糞をものともせずにさわっています。今も拾ったヒミズの死骸を冷凍庫に保存するしないで、三平モドキともめています。三平モドキは真剣に反対しています。ナカジ(中嶋)は、「どうしてこの人、こんなにむきになるんだろう」とキョトンとしています。こちらも年齢不詳の女性です。水産資源が専門だったようですが、魚の捌き方は忘れたと言ってますから、だいぶ前に卒業したようです。  二人の新人を迎えてレンジャールームは、黄色い声の飛び交う空間となり、三平モドキは時折耳をふさいでムンクの叫びのような表情をしています。

☆5月の昼食は、筍づくしの始まり!

 この森のタケはハチクですので、筍の発生は5月の作業には例年間に合いません。でも、いつものように山番さんが隣の自分の山で収穫したモウソウチクの筍を差し入れてくださる(勝手に決めています!)でしょうから、昼食は筍づくしです。筍ご飯、木の芽あえ、汁物、煮物、天ぷらなどとメニューが浮かんできます。
  汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html あなたの思いを掲示板へ


▲前の号 | 河辺林通信トップ | 次の号▼

| ホームに戻る |