'03年4号 No.59

☆作業日あれこれ

今年も咲いたシュンラン

 3月8日の作業日は夜半に枕辺で、雨と風の音を聞きながらも落ち着いていられる幸せをかみしめていました。通常こうした活動では悪天候に際しては行事ができるかできないかでやきもきしてしまいます。5年間、作業日を中止したことは一度もありませんが、土砂降りの雨で参加者も少なく作業ももちろんできず、観察会だけにして前日仕込んだ昼食材料を無駄にしたことがかつてはありました。でも、作業小屋ができてからは雨の日には雨の日向きの作業があるし、濡れた身体を乾かせる場ができたので、雨でも参加者が激減することはなく、いつもにぎやかです。ですから外は嵐でも、担当者は高枕で休めるのです。この日も雨にも拘わらず、炭焼き名人は新しい試みで早朝より点火して日没までに焼き上げる(今までは24時間必要)のだと、皆さんが来られるまでに既に火入れ済みでした。この日の作業参加者は炭焼き名人だけということはもちろんなく、椎茸の菌打ち、ピザ窯の基礎工事、一年経過したので更新用の竹を利用した名札作り、そして雨の合間を見ての萌芽林の下草の手入れ、落ち葉掻きと、雨のためにいつもより少し少ない30人余りの参加者でしたが、盛りだくさんの内容でした。
 第4水曜日、26日は春の訪れを素直に喜びたくなる天候で、まずはキクザキイチゲの観察から始めました。この森の再生作業を経て発見された春植物のキクザキイチゲやイチリンソウは、希少性や可憐さから活動のシンボルのような花です。今年も例年より1週間程度早く開花を始めました。どうしてもこうした花々に目が行きますが、ありふれたタチツボスミレも保全活動の結果、増えたもので野の花の美しさも愛おしみたいですね。さて作業の方ですが、炭焼き名人は早朝から前回同様竹炭焼きです。本日のメインは草原広場の草刈りです。この森では草原も人が関わって適切な管理をしなければ生物多様性が維持できないと考えており、立ち枯れ状態の草を刈り陽当たりを確保して様々な植物が育つようにする作業です。放置すればいずれは森になってしまいます。10人程での刈り取りで軽トラックに10台近くの草が発生し、春休みで遊びに来ていた子ども達もワアワア言いながら応援して、ファイアー・サークルで燃やしていました。火遊びは大人も子どもも興奮させるようですね。草原はすっかりきれいになってしまい、中で弁当を広げる人も出るのではとの心配を口にするメンバーもいました。この日のお昼は、お彼岸ですのできな粉と餡のぼた餅や差し入れの甘エビの掻き揚げなどで、いつもながらの楽しい昼食風景でした。いつもホームページの最新の作業風景の写真に昼食風景が出てしまい、これが作業なのか、作業もせずに食べているだけに見えるではないかと苦言を呈したこともあるのですが、作業の後、和気藹々としゃべり食べる様子は一番遊林会の作業日にふさわしい風景ではあります。午後ももちろん作業に奮闘し、作業日和の春の日は過ぎて行きました。

☆新方式の炭焼き結果

 今回、炭焼き名人が竹炭焼きの時間短縮を実験しましたが、結果は大成功。朝7時過ぎに点火、皆が集まる9時頃には既に全体に火が回る勢いでした。作業中は、親方のピザ窯工事を手伝う余裕です。煙の色も順調に変化し、4時半頃には無色透明になり、朝に点火、夕方に焼成完了という思惑通りです。気になるのは、焼け具合ですが、後日、石部町での河川水質浄化実験に提供するために窯を開けてみると、名人、満足の出来です。これからは翌日に及ぶことなく、一日で焼成できそうです。只今、泉は炭焼き見習い中で、チョコチョコと火口を覗いてみたりしています。名人の研究熱心さにはかないませんが、技術の伝承もされているようです。最近、竹炭の焼成が続きましたので、一度楢炭を焼いてくださいとお願いしています。火付きの良い杉炭と火持ちの良い楢炭をセットにして、里山の環境保護に協力するバーベキュー用炭として販売してはどうかと考えています。 

☆春がいっぱい

 朝の森のパトロールが日課になっていますが、目に付くのは、タチツボスミレ、キクザキイチゲ、シュンラン、ヤブツバキの花などです。イチリンソウやジエビネはつぼみが膨らみモミジの林では出潮が目立ち始めました。ヤマザクラもまもなく咲くでしょう。カスミザクラはもう一息です。水辺ではコブナやメダカの学校が見られますし、カルガモもやって来ています。巣箱にはシジュウカラが出入りしています。
 3月末の状態ですので、通信がお手元に届く頃はもっと春がいっぱいです。皆様も身近な野山に春を見つけに行かれては。

4月23日(水)週日活動 森の居酒屋は4月16日午後7時頃〜
今月は第3土曜日 4月19日(土)午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森情報

草焼きを手伝う子供

 正式にオープンして一年が過ぎ去り、気がつけばまた春休みです。この間、遊林会と市のスタッフはとにかく走り続けてきました。春休み中は木工や染め物などの体験教室、誰でもいつでも参加できる森のクイズラリーを開催していますが、気になることもあります。夏休みの体験教室もそうなのですが、参加申込者が小学校の低学年ばかりで5・6年生の参加がほとんど見られないことなのです。今も子ども達の会話を聞いていると、「4年生になったら、もうこの森に来られへんのや、勉強せなあかんのや・・・・。」どうもこれはこの子だけのことではなさそうで、子ども達は自主規制や親の要望に添う形で森から遠ざかっているようなのです。私達は自然に触れることで子ども達の健全な情緒の発達を願っているのですが、道は遠そうです。でも、スタッフは低学年から親しんで、高学年になっても森にやって来る子ども達がいずれ出現するだろうと期待しています。クイズラリーは、春休みや夏休みなどに1週間単位で問題を差し替えています。森の中を歩いてクイズを解き森に触れる機会提供をしているのですが、森がどこかへ行ってしまって走り回ってクイズだけを解いている子どもも見受けます。制限時間を設けて早く帰って来た子は、減点にしようかと冗談も言いたくなります。そうかと思うと、親子で4〜5時間もかけて上級者問題(森を歩き回って指定されたマクロの風景を探す)を解いている組や、他市町からやって来る常連もいます。泉は1週間ごとのクイズラリーの問題制作や、クイズに飽きた子ども達に遊んでもらうことになってしまい、少々お疲れ気味です。
 我々は充分にはこのフィールドを利用するプログラムを開発できているとは言えませんし、利用者もセンターだけを見て帰る人もあり、ふさわしい利用方法が理解されているとは言い難いケースもあります。学校には広報に努めているのですが、この施設の存在を知らない子ども達も多いのです。走り続けてきた森の運営ですが、今しばらくはこうした現実を直視しながらも、やはり走り続けることになりそうです。 

☆連続講座いろいろ

 2002年度の里山七彩も今月で最終回。室田先生の里山の経済学から水辺環境、移入種、福祉、外来種、市民活動、生物多様性問題など、様々なジャンルで話をしてもらいましたが、最終回は視野を広げ「アジアの森と人」というテーマで締めくくりました。講師は東京大学の井上真先生。この森にも足を運んでおられ、森のクマ達とお酒を酌み交わしたこともある先生です。スタッフ佐竹が初の司会進行役で少し暴走?したこともあり、笑いもある、和やかな雰囲気で進みました。内容はまずアジアの森林の現状について。森の消失による難民化、火入れによる森林火災、ヤシ油は本当に「地球に優しい」のか?そして次はどうやって森を維持していくのか、ということに話は進みました。その問題を解く鍵は「関わり主義」というキーワードにありました。森との関わりは立場により様々なので、関わりを無視して全ての利害関係者を対等に扱うのではなく、その森に関わりの深さを軸に考えること。「よそもの」はよそものとして森に関わっていく「関わり主義」を大事にし、地域住民は森を閉ざすのではなく、「開かれた地域主義」としてそれぞれ森に関わるべき、という言葉はまさに遊林会の現状と同じだなと感心しながら聞いていました。この森はよくあるような整備・保護された公園ではなく、木を伐らなければ森を守れない森です。このような森では「関わり主義」でないと森は維持できません。スタッフ泉は「よそもの」ですが、「かかわり主義」、実践します!
 そして今年も里山七催を予定していますが、講師陣の割には聴衆が少ない、という意見がありました。これだけの講師陣は貴重です。お越しをお待ちしております。(泉) 

☆クマから一言、二言 

 皆さんに心配をしていただきましたが、半年ぶりに河辺林通信の記事を書けるようになりました。倒れた時、休刊だと覚悟した通信が、他のスタッフの手で発行されたことを知った時は感激しました。その時は、パソコンのキーも打てるようになるかどうかわからない状態だったのです。胃潰瘍による大量吐血と転倒、頸椎損傷による両手足麻痺とリハビリ、胃ガン手術と慌ただしい半年が過ぎ去りました。身体には障害が残っていますが、パソコンのキー操作や車の運転はできるようになり、春の訪れとともに今以上に回復するのではと期待しています。今は、こうして記事を書けることが喜びです。でもこれからは一人で書くのではなく、療養中、河辺林通信を続けてくれたスタッフにも参加してもらおうと思ってます。久しぶりの記事には勘が戻らず、いつもの感じが出せずに苦労しています。 

☆森のスタッフの異動  

 4月は異動の季節、市役所から忘れ去られたクマもいますが、この森のスタッフにも異動がありました。武藤(クマ)、横山(うしまろ)、丸橋(マル)、西村(センセー)、泉((釣吉)三平モドキ)、松本(山番さん−山の番長)は居残り組、そして新人は、安村(市職員)、中島です。パート・スタッフは、井上、佐竹です。事務職は只今募集中です。

☆4月の昼食は、野草の天ぷら? 

 今月は作業日を第3土曜日にしたので、タラの芽やヤブカンゾウの和え物は食べられそうにありませんが、なんとかなるでしょう。
汁物を入れる容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html あなたの思いを掲示板へ


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