'02年08号 No.51

☆作業日あれこれ

梅雨の終わりにテングタケ発生

 7月の作業日は午後を、毎年、活動開始のお祝いの日としています。この日は夜半からの雨が続いていましたが、例によって問い合わせの電話は全くありません。既に7時より焼き鳥名人を先頭に地鶏の解体が行われており、私が出てきた時は丸橋や井上などが内臓を処理した鶏をごしごしと洗っていました。誰も人が来なくて無駄になるとは考えてもいないようです。雨が強くなっても作業小屋に入りきらない参加者が集えるように、センターの軒からシートを張り出してと雨に備えた準備も進めました。観察会を実施する時間には小降りとなり、何とか作業ができそうと喜んでいたのですが、今回も、早く観察会を切り上げて作業に移ろうとしたのに、いっこうに参加した皆さんが帰ってきません。泉に続き今月の井上もカラオケマイク独占状態で観察会をやっているようです。帰ってきた時に、思わず雨脚が強くなって作業ができなくなったら、照る照る坊主の代わりに軒からぶら下げると言ってしまいました。この日の作業は午前中だけ、筍処理後に発生した細いタケを伐る竹林整備、タケを撲滅しようとしているエリアに刈り残ったタケを見つけての刈り取り、我が物顔に伸び始めているクズ退治、テングス病の出たタケの伐採と焼却、そして、にぎやかにお昼の準備です。焼き鳥、焼き茄子、酒飲み大将一門の手打ちうどん、ソメヤンハサケガスキー氏得意の焼きそばです。山田親方は、鶏のガラを煮込んで、ぶっかけうどんの次に食べるかけうどんのスープをとっていました。食事の際につき物の冷えた例の物は、冷蔵庫で冷やすだけでは足りそうにありませんでしたが、昨夕、丸橋が禁じ手をやっておりましたので、充分に皆様に届くこととなりました。禁じ手とは主のお留守のハリヨ池にケースごと浸けることなのですが、まぁ、一般利用者にわからないように全体を刈り取った草で覆いカムフラージュをしていましたので、良しとしました。(西瓜を冷やすのにもちょうど良い水温) こうして、5年目に入った活動日の午後が楽しく過ぎ去りました。
 第4水曜日は、梅雨も明けて炎天下の作業になりましたが、スタッフを加えて20人ほどの参加です。この日の作業は、ソバを植える準備、ピザ窯上屋建設、お昼の賄いです。ソバを植えるのは食べるのが目的というよりは、昨年、ソバを植えるとタケを抑えることができたという話を聞いて(河辺林通信2001年10月41号参照)試みることになったのです。丸橋は学生時代に焼き畑に興味を持っていたので、植えるなら焼き畑を試みようと話はエスカレートしています。焼き畑は、夏に燃やす物を伐って乾燥させてから火を付けるのです。今回の作業では、タケとの戦いが続いているフクロウの巣箱を掛けた一角で、草を刈り、燃やした火が外に広がらないように防火帯を設けました。近くに水辺の森の池があり防火や種を播いた後の潅水に使えますので助かります。さぁ、焼き畑はできるのでしょうか、タケ問題では期待した効果はでるのでしょうか、楽しみです。種はK氏が都合してくれました。新ソバで蕎麦切りまではどうなんでしょうね。ソバは、播いてから3ヶ月で収穫できるので、かつて東北では冷害で米作の被害が明らかになってから播いても何とか収穫できる作物として利用されたと聞いたことがあります。その分で考えると11月には収穫できるのですが・・・・。私は蕎麦掻きで結構ですが。しかし、試しに植え付ける面積は1アールほどです、念のため! 種ソバの方がたくさん要ったということにもなるのかも知れません。ソバの話が長くなりましたが、山田親方は例の柱を相手に刻み直しを始め、柱材が足らんと言い出しました。この暑さ、おまけに炭焼き名人の療養が応え、作業の進みは遅々としています。遅くても11月の里山フォーラムでは、たっぷりと皆さんにこの石窯を利用したピザ、パン、タンドリーチキンなどの料理を味わっていただきましょう。毎週水曜日、親方の施工は続いています。皆さんの応援を期待しています。
 この日のお昼は(最近は第4水曜も参加者が充実してきましたので給食をしています。作業の後、ゆっくりといただくお昼は土曜日とは違った楽しさです。)、地元産の夏野菜を中心としたヘルシーな料理です。森の観察時に見つけたミョウガも冷やし素麺の薬味になっています。こうした料理を支えていただいているのが、建部北町の松本さん、福島さんのお二人と佐竹です。いつもいろいろと工夫をされており、これだけを楽しみに参加したくなる人がいてもおかしくはないと思っています。真夏のこの日の午後は、いつものビデオ小父さんが撮影した作業日のビデオ鑑賞会でしたよ。

☆里山フォーラム参加者募集

 前号で、今年も里山フォーラムを開催することをお知らせしましたが、目的は同様な活動をしている団体や個人との交流と連帯、情報交換です。
 里山フォーラム日程(予定)  (詳細未定、予定変更あり!)
  11月9日(土)
   午前9時〜 定例作業開始、参加歓迎
   午後6時〜 フォーラム前夜祭開始、参加費2千円程度
        夕食付き、コンサート、野焼き、情報交換
  11月10日(日)
   午前10時〜 パネルディスカッション
           活動の諸問題を語ろう(仮題)
         秋の森の交流会
 趣旨に賛同できる団体や個人の参加や問い合わせをお待ちしています。(詳細は未定ですので、俺んとこも参加するぜーという連絡だけでも結構です。)

8月10日(土)午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(武藤)090-3729-2344
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

★河辺いきものの森情報

観察会 水辺のいきものをさがそう!

 夏休みのイベントで「早朝の虫たちをさがそう!」他、合計7回の教室を企画しましたが、すぐに定員200人をオーバーしてしまい、このところ連日、電話がかかってくる度にお断りをしなければなりません。来年は回数や企画を増やす必要がありそうです。今年もこれではいけないと、夏休み中、新たに誰でも楽しめる事業を追加、週毎に問題を変える森のクイズ・ラリーをすることにしました。出題側は、合計60問のクイズと森の中を歩き回って探す上級者用問題を考えなければならず、それはそれで大変です。夏休みに入ったばかりの森は蒸し暑く、予約のあった子ども会以外には訪れる子ども達もまだまばらです(7/20)。しかし、早速にクイズ・ラリーに挑戦して上級者問題に進む子がいますが、困った現象も出ています。上級者問題は、森の中を歩き回って写真と同じ風景を見つけるとか、1本で5m以上のクズの蔓を採ってくるとか、セイタカアワダチソウ10本を抜いてくるといった内容です。しかし、写真と同じ場所を探す問題などでは歩き回りもせず、どこにあるかと訊ねるばかりでこちらの意図している森に触れることをしてくれない子もいます。すぐに答えを期待して、森を歩かずに事務室をうろうろするばかりの子を見ていると、現在の子ども達の象徴なのかなと感じてしまいます。そうかと思うと、親子でやって来ていい成績を残したので聞いてみると、5月の連休時の全問正解者で記憶に残っている親子であったりして、きっちりとこちらの趣旨を楽しんでくれている利用者もあります。なお、始まった早朝観察会ではカブトムシ採りモードになってしまって、つかめなければ暴動が起きそうだったと表現していましたが、担当はこれではと問題点を整理して2回目に生かそうとしています。子ども達の夏の虫の王者はカブトムシのようですが、それ以外の様々な早朝に関わりのあるセミなどの昆虫へと観察内容をシフトするようです。

★夏の水辺と水路のこと

 ところで、森の一番の人気スポットはどこだと思いますか。季節や年齢によって異なるでしょうが、今一番人気は、カブトムシのつかめる木というのもあるでしょうが、多くの子どもにとっては水辺です。子ども達の遊び場を意識してセンター付近で水路を2カ所膨らませて水深15センチほどの水溜まりにしています。シート防水の上に工事で発生した土壌や砂利を利用して自然な池に仕上げており、水路が広くなっているここでは流れているのがわからない程度の水流になっています。下の池では、こうしたゆっくりとした水流が適していたようで放流したメダカが産卵を繰り返し大中小のメダカが入り交じって泳いでいます。メダカの発生を助けているのは、見た目にはあまり歓迎できないアオミドロの仲間が一部に発生して卵を産みつける絶好の場になっているためのようです。しかし、水辺が子ども達の人気スポットだということは、こうしたメダカなどをおとなしく見ているということではありません。彼らは、水辺を見ると靴下を脱いで(リアルに書くとこうなります、我々の時代には靴下なんて履いてなかったんですが、今はこうです!)、水に入って遊び始めるのです。石を裏返したり、場合によっては石を投げたり、遂には池の入口や出口の水路を石で堰き止める腕白坊主も出てきます。もちろん、必要以上の干渉はしません。考えてみれば、私の小さい頃にも蒲鉾板などにゴム動力のスクリューを付けた船を作っても、浮かべて遊ぶ場がなくて困っていましたから、こうした浅くて広い安全な水面は少なかったのです。この水辺だけで遊ぼうと子ども達がこの森に来る、そんなことがあっても良いのでしょうね。
 メダカ以外の生物もこの水路沿いには目立つようになっています。まず、あの近畿地方から絶滅扱いだったハイハマボッス、これまた埋土種子から発生したタコノアシ、残されていた宿根や球根から発生したと考えられるイチリンソウ、今年はまだ花が咲かずに正体不明のショウブ(ノショウブを期待していますが、ハナショウブとの見解の方が多く、来年、紫あるいは黄、どちらの色の花が咲くのか?)、水を流したとたんに発生したセリとにぎやかです。乾燥が進む森に水が流れ、子ども達だけでなくこうして生物にも潤いを与えているのを実感できます。魚類もメダカ以外にK氏がせっせと放流したカワムツ、フナなどが大きくなって下流の池で泳ぐ姿を見ることができるようになりました。アカトンボと見間違うショウジョトンボ、ギンヤンマなども水路沿いを飛んでいますし、カワセミが下の池にほとんど毎日やって来てダイビングをしています。もちろんカエル、そしてそれを追いかけているシマヘビも見かけました。
 そうなると最上流のハリヨ池のその後が気になりますが、現在、水草で悩んでいます。柿田川湧水で有名なバイカモ(梅花藻)を能登川の垣見地区からいただいてきたのですが、池では流水のスピードが遅く藻類が付着してしまい、毎朝、洗わなければならない状態です。こうして人力で藻類を抑えるか、それとも現在の流速に適応できる水草を繁茂させてハリヨの隠れ家と餌となる水生動物が増える環境づくりをするか、悩んでいます。
 水辺のビオトープとして瀬や淵を配置し、元からあった土を多用して整備したこの水路は、子ども達の良き遊び場となり、かつ文字通り様々な生物が生息できる環境となりつつあります。

★センターと空調とエネルギー問題

 この冬、展示ホールでは薪ストーブ以外には暖房設備を使用していません。夏が来てセンターの空調を使用する時期になり、展示ホールはルーフファン使用で空気の入れ換えで済ませるとしても、事務室などはいつから冷房を始めようかと考えていました。あの梅雨時の湿度が高くべとつく時期にも誰もスイッチを入れようとしません。私などは昼間大いに汗をかいて夕食のビールがうまくて困る状態だったのですが、他のスタッフはそんなこともないだろうし、いつになったら入れるのかと思っていました。話してみるとフィールドに出るのが仕事なので、室内で快適に過ごすと外に出ることが億劫になって仕事に差し支えるし、出入りする際の温度差が体に悪いだろう、それに少しはエネルギーの節約もしようというようなことです。私が勤め始めた頃は職場には空調がなくこれが当たり前だったのですが、空調が当たり前で快適な生活に慣れてしまっている彼らも意外にやるもんです。

★8月作業日も半ドン、午後は?

 真夏の作業日は、午前中だけです。お昼をゆっくりいただきます。夏野菜の煮付けや、冷や汁を検討中。午後はビデオ鑑賞&ノンベェ・コミュニケーション(チョット短めに)。

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yuurin/index.html あなたの思いを掲示板へ


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