'02年06号 No.49

☆作業日あれこれ

みどりのつどい

 4月第4水曜日は快晴、参加者20人と週日活動日としてはかなり多めでした。松本さん夫婦は火を熾して、皆さんが集まる前からお昼のために朝採り筍のあく抜きに余念がありません。この日の作業は、前回焼いた炭の取り出しと次回準備ですが、今度は森のあちこちに放置されている立ち枯れの杉を炭に焼いてみようと杉材の運び出しと焼ける大きさに切って薪割です。チェンソーの刃を研ぎ研ぎの作業でしたが、人数の力は偉大で、広場近くの杉丸太の3つの山が消えると同時に3回分の炭焼き材料が確保でき、連休初日の週末に名人は黙々と炭焼きを始めました。材料が軽い杉ですので焼き上がった炭も軽く楢炭などと比べれば頼りない感じですが、火付きも良くバーベキューや脱臭、水の浄化などにはもってこいではないでしょうか。
 連休後はジメジメとした日が続き、第2土曜日も前日の天気予報では降雨確率が高く雨だと確信していたのですが、迷うことなく昼食の材料調達を済ませました。雨でも来る人は来るというのが、すっかり遊林会の活動パターンになってしまっており、こうした時に生ものの昼食材料購入を控える必要もなく助かります。通常の作業メニューとは別に雨の日バージョンを考えたりはしていたのですが、翌朝、なんと雨が止んでいるのです。作業開始時には小雨模様の天候でしたが、例によってあるかないかの問い合わせの電話は一本もありません。この日の作業はセイタカアワダチソウの手抜き(手で抜くこと、手を抜くことではない!)がメイン、抜いても抜いても尽きない作業です。その他には、コウモリ・プロジェクト(巣箱作り)の継続、炭焼き窯の入替(焼成の終わった炭を出し、新たに焼く材料を入れる)と炭焼き、杉丸太のベンチ作り(みどりのつどいのコンサート用客席)、そして昼食作りです。この日の作業には炭焼き名人は拠ん所ない事情で欠席、かくして留守を預かる我らが焼くことになったのですが、うまく焼けては名人に失礼とばかりに小事にこだわることなく焼きました。杉材に加えて窯の上部に楢材を入れましたので、結果が楽しみです。1週間後、気になって仕方のない焼き鳥名人とそっと覗いてみると、楢材は堅炭になっていましたが、少し軽いようです。今回は、1年以上乾燥させた薪を流用したので、生木を使用すればもっと上質な炭が焼けるのではないでしょうか。しかし、楢の割木一束15s程度4〜500円、炭にすると3s前後になるでしょうか、輸入のマングローブ炭は小売りで100円/sまでであり、炭焼きの手間を掛けても国際価格に太刀打ちできない、そのまま薪で売った方が高いのです。自然環境の保全に協力するという付加価値を上乗せして売っても倍額が限度かな。脱線!
 今年は春の訪れが早く、5月の作業日にハチクの筍料理が間に合うかと期待していたのですが、少しは発生していましたが、材料のすべてを賄うというわけにはいかず、今年も松本さんのモウソウチクに頼ってしまいました。6月の作業日にはたっぷりと食べていただけると思っているのですが、出尽くしていたりして・・・・。
 5月22日の作業日は、竹林でニョキニョキと出てきたハチクの筍の間引きから始まりました。下草刈り用の長刀擬き(ナギナタモドキ)といっている長い柄のついた鎌を持って、タケに成長させる筍を選択しそれ以外の筍を刈る(! モウソウチクと異なり、ハチクの筍は掘らない!)のです。頃合いの筍はお昼のごちそう材料と参加者のお土産用です。作業小屋では筍のちらし寿司の用意をベテラン組がされています。筍のタイ風カレーも計画されたのですが、材料が調達できず、今回は見送りです。その後は、みどりのつどい前の作業日のため、炭焼き窯の準備、杉丸太を利用してデッキで行われるコンサートの観客席に使用するベンチ作り、販売用の炭の袋詰めなどに専念しました。

☆今年も始まるタケとの戦いを前に

ハチクの筍
収穫は掘るのではなく刈り採ります

 ケヤキの林や草原広場の周囲には、今年もヤダケくらいの細いタケノコが発生してきました。こいつを刈らねば、いずれ養分を蓄えて元の太い筍を発生させるので、今までの努力が水泡に帰してしまいます。今年も戦いを始めるゾーという時に県の林業サイドからタケの研修会の通知があり、こりゃ敵を知るのに良い機会と出かけました。  講師は竹文化振興協会の渡邊政俊氏、タケに関する愛情がにじみ出ており、氏には失礼なのですが、余りの想いに思わず苦笑することもありました。しかし、タケ一筋の氏から得ることは多く、今後の管理に役立ちそうです。モウソウチクとマダケが中心の話で、ハチクとは少々異なるかもしれませんが、その1は、タケの根には寿命があり、10年までとのこと。そうすると新しいタケの根が生じていなければ、どんなに長くても我々の戦いは7年後には終わるということです。その2は、最初の年に筍を刈ると今度はタケの根の節からササ状態のタケを出して光合成を行い栄養を蓄えようとする生命戦略に驚かされましたが、これらは根に予め用意された芽から発生し、芽は再生されないのでこうしたタケの戦略は芽の数を消耗させることになり、いずれは発生する筍の芽がなくなるとのことです。まだありました、タケは新しい根から筍が出るのではなく、数年経った根から発生するとのことです。ということは、今、発生している筍には、今年、初めて発生する根からの物がかなり含まれており、既に古い根には光合成を絶つ兵糧責め作戦でかなりダメージを与えているのかもしれません。

 敵を知れば希望が出てくる、確実にダメージを与え、長くても7年後には兵糧責め作戦でタケに勝てるのです。

6月26日(水)週日活動 森の居酒屋は6月5日
6月8日(土)午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-24-5658 Fax 0748-24-0752 当日連絡先:携帯(武藤)090-3729-2344
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

★河辺いきものの森情報

 5月の連休中、新緑真っ盛りの森は、身近な自然を愛でる人とスタッフの作成したグリーン・アドベンチャー(地図を片手に森の中を回って質問に答えるクイズ・ラリー)を楽しむ親子連れで賑わっていました。こうしたゲームがなければ森(自然)に親しめないようになってしまっては困るのですが、手軽で有効な入門方法として力を入れています。その時々や相手に会わせて問題を考えるスタッフの努力には管理者として感心しています。
 継続的な自然観察会の開催や、今の見所を紹介する「TODAY'S MAP」コーナーでの情報提供にも力を入れています。森に来られたら、センター入口の同コーナーを是非ご覧下さい。

★ハリヨとコウモリのその後

 コウモリの巣箱の話は大工おじさん他の作業で実現し、水路沿いの木々の枝に取り付けられています。カナダでの結果は6割程度の入居率だったそうですので、30個の巣箱を取り付ければ、1ケ月20万匹近くのカを減らせるのではと捕らぬ狸の皮算用をしています。森の黄昏時にコウモリが空を飛んでいないかと目を凝らす日々です。
 ハリヨ・プロジェクトは、只今休止状態ですが、下流の生息している地域と話し合い、池の中の生息環境を整えて水温の下がる秋以降に実現をしようと考えています。

★セイタカアワダチソウとこの森

 昨夏よりセイタカアワダチソウとの格闘を始めていますが、今年は2ケ月繰り上げての作業です。やりながらも、全部抜けるのかという問題、次にひょっとすると余計にはびこらしてしまうのではないかという問題を感じています。帰化植物であるこのセイタカアワダチソウは、宿根で根から発芽を抑制する化学物質を出して他の植物を排斥して繁茂するのですが、最終的には自身もこの物質のために負けてしまう性質があります。結果としてかつて造成地などであれほど猛威をふるったこの花も今ではほとんど見ることがなくなっています。ですから、少し長いスパンで見れば、目くじらを立てずに成り行きに任せて好きなだけ生えた後、自然消滅を待つという方法もあるのではないでしょうか。かえって中途半端に間引いて、ダラダラと生存させると長い期間こいつとつき合わなければならないのではないかという気もします。しかし、森を管理する立場からは、こいつを引き抜いて抑えておけば、その間に2番手、3番手の植物が繁茂して日光をさえぎり、地中に残った根から出てきた芽の成長を阻止し、一面に黄色い花を付ける草原にならないのではと考えるのです。森の周囲の道路際などにもこいつを見かけることができますから、風で飛ぶこいつの種子が森に進入するのを阻止することは事実上不可能です(1本に5万粒とも、発芽率も極めて高い)。ならば、種子が発芽できない条件を整える、ひとつは自分の出す化学物質を土中に充満させる、もうひとつは種子に陽が当たらないように在来の草が生えている環境にする(皮肉なことに一番有効なのは、退治をしているクズを蔓延させることなのです!)という選択があります。

 場所によって管理方法を変えようと考えています。入口からセンター周辺、木道沿い、草原広場では手抜きにより他の植物の繁茂を促す、広大な面積の竹林伐採跡では黄色い花が目立たない程度には管理するものの、ひたすら自らの毒素で自滅するのを待つという作戦です。生理を知るとセイタカアワダチソウには、そんなに目くじらを立てなくてもいいんだと思えるのです。いずれの場所でも本当の脅威は、あのクズです。こればかりは見つけ次第にたぐり寄せ刈り取ってダメージを与えるしか方法がなく(薬品を使用しても、別の株や新しい種が蔓延りますので一時的でしかありません)、未来永劫、陽当たりの良い林縁や草地ではクズ退治が続きます。それともうひとつ、よく考えると意外な伏兵がいるのです。そいつは、ずーっと日本にいましたよ、皆さんから野菊といわれてかわいがられていますよって、言っています。そう、ハルジオン、ヒメジョオンです。彼らはセイタカアワダチソウと同様に種子でも張り巡らした根でも仲間を増やし、しかも自らの毒素で自滅することもありません。それで、すっかり日本の植生の中に割り込んでしまっており、我々が帰化植物であることを忘れてしまうほどなのですから。森の植生管理の上で、当面、この森で、はびこり過ぎを注意する植物は、セイタカアワダチソウ、クズ、ハルジオン、ヒメジョオン、ヨウシュヤマゴボウだと考えています。

余談:アメリカから日本に進入したセイタカアワダチソウとの戦いは先が見えています。しかし、逆に日本からアメリカへ進出して猛威をふるっているクズとの戦いは、こうしたことから考えると終わりがなく、ちょっと日本人としては痛快な気もするのですが、本当に気の毒な次第です。

★みどりのつどいあれこれ

 みどりのつどいは、前夜祭の弦楽4重奏コンサートから始まりました。ホールの展示物を移動してのこのコンサートは、センタースタッフの演奏参加の余興(?)もあり好評でした。当日は大凧まつりと同時開催で、どうなることかと心配していましたが、遊林会の皆さんの応援で無事に終えることができました。人が溢れるように大勢来れば良いという施設ではないので、今回くらいがちょうど良いような気もしているのですが、いかがでしょう。内容はもう少し検討が必要かと考えています。
 一番心配したのは、ゴミの散乱、筍の被害などで森が荒れることでしたが、ほとんどゴミも見当たらず、昼食材料の筍調達に竹林に入ったスタッフが、参加者から注意される始末でした! 皆さんのマナーに脱帽!

★河辺林通信は49号に

 河辺林通信は今回で49号、毎月発行ですから5年目に入ったことになります。5年目に入った記念行事は毎年7月にしており、今年もそのようにする予定ですが、回を重ねて来たことを素直に喜んでいます。最初は次回の活動のお知らせだったのですが、少しずつエッセイのような文章が加わり現在のスタイルになりました。ほとんど、読者からの反応はないのですが、読んでいただいている方は多いようでちょっと安心と言う感じです。

★6月作業日は、今度こそハチクの筍

 佐竹は毎回、活動日や居酒屋、みどりのつどいが筍料理で閉口しているようですが、今回が最後の筍三昧です。ハチクの筍は、一般的な食味ではモウソウチクよりも上だとのデーターもあります。筍を使ったタイ風カレーを計画しています。Myスプーン、My皿の持参にご協力を!

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html あなたの思いを掲示板へ


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