'02年04号 No.47

☆作業日あれこれ

 2月の第4水曜日は環境省の補助金事業(いきものふれあいの里)についての会計検査の日で、私は珍しくスーツを着て市役所におり、皆さんと一緒に作業に参加できませんでした。3時過ぎに現地検査も行われたのですが、検査官が来るという情報が洩れると、皆さんうるさいものにはかかわりたくないとばかりに作業を解散し、我々が森に着いた頃には、逃げ遅れた炭焼き名人他が他の通路から慌ててお帰りになるところでした。この日の作業は、竹を使って落ち葉のストック場所であるカブトムシ保育園を桜の園(?)に作ることと、炭焼き窯建設です。
 3月の定例作業日は、快晴、ポカポカ陽気の春の一日でした。毎年、この時期はキノコの菌打ちがメイン作業です。この作業は女性に人気があり、ほとんどの女性がこちらに従事してしまい、カブトムシ保育園作りなどでは男ばかりとぼやきが出る有様です。でも、常連の名人達に混じって炭焼き窯班で見事にレンガを積む女性の姿もありましたが。この時期は、スギ花粉の飛ぶ最盛期で、そのために常連さんでパスする人も多いのですが、新人の参加も多く、この日の作業も参加者は50人といつも通りでした。

オープニング・セレモニー

☆炭焼き窯完成!

 年明けより炭焼き名人を中心に、いろんな名人(初代炭焼き名人は、レンガ積名人でもありました。)や博士が窯を造ってきましたが、最後は突貫工事でようやく19日の河辺いきものの森開園に間に合いました。前日の夕方、薄暗く、そして寒くなって来た窯の前で蓋になる鉄板に断熱材を巻き付ける作業が最後でした。
 火入れはこの窯の建設費を寄付して下さった八田さんにしてもらおうと決めていたのですが、炭焼き名人は、着けた火が燃え上がらんといかんと鉋持参で木を削ってできた鉋屑で仕掛け作りをされていました。(脱帽!) この仕掛けの威力は抜群で、あっという間に焚き口で火が燃え上がりました。始めての火入れなので窯の様子を見ながら調子をつかむのですが、思ったより鉄板と断熱材で蓋をしている天井へ熱が逃げないことは意外でした。これでは、焼き芋ができない!っていう感じです。設計者の浦田氏から、火の回りが早く焼成に時間はかからんとは聞いていたのですが、確かにその通りで、2立米の炭を焼くのに24時間で密閉できました。その間、夜は勝手に自燃させておきましたので、労力も最初の5時間ほどと終わりの3時間位しか必要ありません。出来上がった炭が問題ですが、これならいける! 問題は、如何にたくさんの焼く原料(原木)材料を確保するかです。
 第4水曜日、3月27日、土砂降りの雨の日に初めての窯出しとなりました。期待と不安でいっぱいの気持ちでみんなとBBCテレビのカメラ(4/9 PM6:45〜)が見守る中、炭焼き名人が窯の鉄板を開けました! あれれれー、炭がない、燃えてもた!それでも、気を取り直して煙道の付近に残っている炭を取り出すと、堅くて金属音がするではないですか。50kの立派な竹炭が生産できました。名人は、歩留まりを良くする次回の作戦を考えておられることでしょう。

この森には、ヤマザクラは1本残るのみ、あとはカスミザクラ

☆ふくろうの巣箱

 この森では、今年になってから朝にフクロウを見かけることが幾度かあり、通いのフクロウがいるようです。定住せずに通ってくるのは住宅難(大きな樹洞がない)のためでしょうが、夜の間にやって来て枝などに居残っていると、明るくなった森でカラスに夜の敵とばかりといじめられています(モビング)。フクロウがやって来るのは、林床管理作業で大きなフクロウが飛び回る(滑空する)障害物が少なくなり、アカネズミなどをハンティングできるようにようになったからと考えています。しかし、定住できずに夜が明けると主役交代でカラスにいじめられていては、フクロウにとって安住の地ではありません。そこで、フクロウ用の大きな巣箱を置こうと計画し、鯨や犬小屋作りで定評のある大工おじさんに頼んで作ってもらったのですが、大きくてなかなか樹に掛けられず、作業小屋の前に置いたままになっていました。9日の作業日に思い切って据え付けようとはしごを持ち出し、かつてのトイレ近くのケヤキの幹で三叉になっているところ(高さ7m位)に何とか担ぎ上げたのですが、高所で充分な足場が確保できず、落ちないように固定するのが精一杯でした。月曜日の朝、現場付近で丸橋がカラスに追われるフクロウらしき大きな鳥と蹴飛ばされたように樹の叉でひっくり返っている巣箱を見つけました。高所であの重い巣箱を動かす鳥はフクロウ以外にはちょっと考えられず、早速、下見にやって来て巣箱の入り口に停まったらゴロンとこけてしまってびっくりしたのでは想像しています。高所できちんと取り付ける作業をする、これは小さい頃、幾度も木から落ちた経験や岩場でバランスを失って落ちた私には過ぎたことで、悩んでしまいました。木登り名人のwさんに頼むということも浮かんだのですが、岸壁に巣を作るイヌワシの保護活動の経験もあるロッククライミングに堪能な獣医殿のことを思い出し、依頼しました。
 その後、獣医殿は私のザイル確保で無事に(スリップされたら確保は保証の限りにあらず)フクロウのねぐらを取り付けてくれました。後はフクロウの不動産屋に新居有りの広告を出すばかりです。

4月24日(水)週日活動 森の居酒屋は4月10日
4月13日(土)午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会
連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-24-5658 Fax 0748-24-0752 当日連絡先:携帯(武藤)090-3729-2344
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

★河辺いきものの森情報

 3月19日、「河辺いきものの森」は、正式にオープンしました。当日は快晴、私が関係すると雨どころか大雪や台風までやって来たのですが、「湖国ぐるり里山フォーラム」以来、流れが変わったようです。春休み前に急遽、オープンしようと決めましたので、いたらぬ所はその性にできると妙に安心しています。セルフ・ガイド用のパンフレットや絵葉書は間に合わず、後日のことになりました。恒久的な展示以外のこちらで準備する展示は、丸橋がこれまた突貫工事で何とか体裁を取り繕いましたが、充実はこれからのことです。オープンして最初の休日、春分の日は親子連れが、森の中を回ってクイズに答えるグリーンアドベンチャーに挑戦していました。その内、徹底的に森を歩かなければ答えられない問題を作って見ようと思います。設問は必ずしも自然に関するものでなくても、森に親しむことができればよいだろうと考えています。子ども達が答えを探すために森の中を歩きまわる姿を楽しみにしています。来園者をそれとなく見ていると、どこに行って良いかわからず、センター付近を覗いて帰ってしまう人もいます。どこに行ったらよいかわからない人のために、対策を講じる必要を感じています。
 オープンしたての河辺の森は、20日は北小の3年生、21日は建部公民館のウォーキング、22日はロータリークラブといった団体の利用を除くと、NHKのほんまもんに出てくる熊野のお店のようで、人の出はぼちぼちです。しかし、確実にリピーターになりそうな子ども達がいますので、次第に増えていくことでしょう。自然体験とは自然の中での遊びだと考えてみましょう。
 その後、春休みに入った森は、連日、親子連れ、孫を連れた方、老夫婦、子ども達だけのグループといった方々の利用で賑わい出しました。週日でも100人に近い利用者があります。休日は倍以上の利用者がありますから、こうした施設としては記録的な利用者数になるのではと思っています。
 組織につきものの人事異動が発令されました。これまでこの森に関わってきた岡本、黄地、山本が、施設完成と共に異動しました。花と緑の推進室は、今まで公園の建設と管理もしていましたが分離して、自然保護や緑化推進、それと河辺の森の運営管理のみを受け持つことになりました。スタッフは古狸になった私(武藤)、丸橋、横山(新人)の3人です。絶対数が少ないために大変ですが、これからの河辺の森運営管理の基礎を固めたいと考えております。皆様の応援をお願いします。

★ハリヨ復活プロジェクト

 いきものの森に来ると最初に目に入るのが、地下水を汲み上げて放流しているハリヨ池です。ご丁寧にハリヨの巣作りの様子までカラーで解説しています。皆さん、真剣な眼差しで水面を見ておられますが、残念ながら、まだ主のハリヨはいないのです。かつてこの地域では、ハリヨは子どもでも簡単に釣れる魚で、ハリンパと呼んでどちらかというと蔑視の対象にもなっていたような魚です。しかしながらハリヨの生息に必要な流れの強くない冷い水(条件に当てはまるのは、湧水)の場所がなくなり、この40年の間にこの地域(八日市)からは絶滅しました。トゲウオ科のこの魚は興味深い巣作りの習性や変わった姿、生息地が非常に少なくなっていることなどから、話題になることの多い魚です。下流域の五個荘町や能登川町では現在も生息しており、地域で保護もされています。ハリヨ池は、当初、県内の他地域からの移入を計画していましたが、条件を整え何とか同じ水系のハリヨの系統を移入できないかと考えています。水草や水底の土壌などをハリヨの生息に適した環境に整え、湧水の豊富だったかつてのこの地域の環境の象徴として、ハリヨ池に復活させる、そんなプロジェクトを中心になって推進していただける方はありませんでしょうか。こちらの熱意があれば、下流域の皆さんの協力も得られ、移入も実現すると思います。ハリヨ・プロジェクト、メンバー募集!

★森の居酒屋で相談したこと

 3月6日の森の居酒屋では、月例作業日の内容だけでなく、里山保全活動から出発した遊林会が、今では様々な活動をしていることの確認と今後の方針を協議しました。主な内容は次のようなことです。

☆活動をする内に河辺いきものの森の管理に市と共同 で従事していること。
☆独自に環境教育プログラムを実施していること。
☆今後、ネイチャーセンターの利用者の便宜を図るためにグッズの販売やサービスを提供しようとしていること。
☆遊林会のNPO法人化を来年度内に行うこと。そのための設立総会を夏に実施すること。それに併せて経理方法を変更する必要(複式簿記に)があること。

 森の居酒屋は、遊林会の活動について協議する場でもあるのです! 少し理屈っぽい居酒屋ですね。でも、居酒屋と名にある限りは居酒屋です。遊林会の活動に意見のある人は、参加費(1,000〜1,500円位)が必要ですが誰でも参加できます。作業小屋の物置に火気厳禁とあるのは大量のアルコールがあるからだと、まことしやかな噂もあるようですが、あれは作業道具に必要な混合油があるからです。お間違いのないように?!

★讃岐うどん

 サケノミ大将一門による讃岐うどん(溜り醤油をかけただけのぶっかけうどんと味噌と酒かすで煮込んだ切り込みうどん)のお昼はとても好評でしたが、人数が多く湯がきたてを、即、いただくということができず、とてもおいしかったのですが、本当はあれ以上においしかっただろうにと残念です。忘年会や真夏の作業日で昼から作業のないときに、いただくものをいただいた後にゆっくりと茹で上がるのを待っていただきたいものです。また、お願いしまーす!

★4月作業日は、野草天ぷらとすいとん

 森ではタラノメが既に出ており、作業日には旬が過ぎていることでしょう。私は、巡視の時にタラノメを採るようにしていますが、それは、勝手に採る人達が多くなるとエスカレートして、管理している様々な物を採取してもよいという風潮が広がることが怖いからです。今年は、タケノコも止山風に竹林の回りをテープで囲わなければいけないかと考えています。話が脱線しましたが、野草がなければ何かの天ぷらにしましょう。

発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/index.html あなたの思いを掲示板へ


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