'01年11号 No.42

★作業日あれこれ

コナラの株に発生したマイタケ

 9月26日の週日作業日はまだ暑い日でしたが、季節は間違いなく秋で森の散策路にはアベマキのドングリをばらまいた状態でした。アキノギンリョウソウを観察した後、前回作業の続きのセイタカアワダチソウ退治に専念しました。この日はBBCテレビの取材があり、ベテランズからは土曜日に来てくれると賑やで若い人も多いのにとの声も出ていましたが、皆さん慣れたものでテレビカメラに臆することもなく自然体で撮影に応じておりました。放映日を前号の通信に記載するのを忘れてしまい反省しております。この日のお昼には竹炭で秋刀魚を焼くことに決めていたのですが、資材草庫の鍵が開かずコンロが取り出せません。そこは食うことと飲むことには努力を惜しまない小生、急遽、地面に石を積んで炉を作り番線で網の代用をし無事に秋刀魚を焼きました。秋刀魚は炭焼きに限る!
 10月定例作業日は、建部地区の自治連合会の各自治会長さんの参加(公民館の呼びかけ:遊林会では個人が基本、組織への参加要請はありません。)などもあり、いつも同様に賑やかな日でした。メイン作業はアラカシの薪づくりとセイタカアワダチソウ退治、水辺ビオトープの周りの草刈等でしたが、一番の話題は食事がとてもすごかったと言うことです。どうすごかったかと言うと、イワナの塩焼き50匹、芋づくりから自家製の刺身蒟蒻(これは酒のあてに抜群)、茄子の漬け物、オーストラリア土産のマンゴーワインや唐辛子の利いたピーナッツ、韓国土産のキムチ、建部北町の婦人会差入れのイモを使った焼き芋、黒豆の枝豆、これまた別のところからの差入れのイモを利用しての芋御飯、そして現地製造もあった薫製、デザートはアケビでした。最後のアケビについては種がいたる所に播かれたようで、生態系が乱されると困っています! でも本心では、草原広場周辺の林との境にアケビのマント群落が成立すれば子ども達も喜ぶのではと考えてもいます。また破れたズボンのポケットに柴栗を入れて森を歩いてもいいよなんてとも言っていますが。(先日、サルと喧嘩して取ってきたという柴栗が届きました!) しかし、この森、クリが無くて平穏なのかも知れません。もしもこの森にクリがあったら、森にやって来る子ども達の中には先生の言うことなど聞かずに木に登って枝を折る子や(そんなに元気な子はもういないのかな?)、何でもかんでもつるを伐ってリースの材料に持って帰ってしまうような方々(・・・・ここのところサネカズラの実が観察できていません・・・・)の栗拾い対応で大変だったかも知れません。

★11月11日、湖国ぐるり里山フォーラム

森のコンサート

 この森の施設は湖沼会議のサテライトステーションに選ばれており、会議関連事業として琵琶湖を取り巻く里山保全活動に関わる仲間が集まってはと考えました。良く言えば走りながら考える、悪く言えば土壇場にならなければ考えないと言うのが私達のスタイルで(それはあんたでけですと丸橋が言っている声が聞こえますが。)、残り10日余りの中であれやこれやの計画を組み立てることになっています。世界湖沼会議に失礼なと言う気もしないではないのですが、やっつけ本番!です。
 しかし、ありがたいもので、こんな風な会議をやりたいのですがと琵琶湖の周りで活動をされている皆さんに声をかけると、しゃーないなと応えてくださいました。活動の先輩として一言をお願いしました大阪自然環境保全協会からも協会の里山セミナー中にも拘わらず、受け持ちの講座が終わり次第、前日の夜に駆けつけるから寝袋を広げられる場所を用意してくれるようにと返事がありました。おつき合いをすると前日から出来上がってしまいそうで少々心配しています。
 滋賀県だけでなく兵庫県も岐阜県も石川県もいくつもの県が里山保全を政策として実施していますが、滋賀県が実施している湖国21世紀記念事業の公募された活動計画で全体の5分の1程の団体が何らかの形で里山に関わっており、県民の間にも関心が高いことがわかります。しかし、個々の活動内容や活動歴も様々でそれぞれが孤立して湖国の里山を何とかしようとしている状況かと思います。今回の「湖国 ぐるり里山フォーラム」では、それぞれの活動や今までにつちかったノウハウ、活動の悩み、そんなことを話し合い、里山保全活動情報交換のためのネットワークを立ち上げることにつなげられないかと考えました。活動を開始してみてわかりましたが、里山保全活動には地域ごとの特性がありテキストのない面もあります。しかし、タケの問題や活動継続のための組織づくりなど共通の事項も数多く存在します。このフォーラムをきっかけにこうした問題の情報バンクを築けないか、そんな提案を遊林会ではしたいと考えています。もちろん今回のフォーラム参加団体は湖国の活動全てを網羅しているわけではないのですが、「始めよう! つながろう! 琵琶湖を取り巻く森を守る仲間」です。
 フォーラムは、遊林会スタイル(?)です。会議の合間にブレイク・タイムを設定、森の自然を歌い上げるアカペラを聴いてください。お昼御飯も外にはどこにも食べる処がありません(予算に糸目を付けない方は駐車場の正面に京風懐石の店があるのですが・・・・・)ので、いつもの活動と同じく仲間同士で同じ釜の飯を食いましょう。最後の締めくくりは訪米ツァーが好評だったバンジョー奏者が皆さんのレベルに合わせて心に語りかけます。楽しみましょう、少し考えましょう、酔っぱらわないでおきましょう!

11月28日(水)週日活動 森の居酒屋は11月7日
11月10日(土)午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-24-5658 Fax 0748-24-0752 当日連絡先:携帯(武藤)090-3729-2344
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:seizo-mu@mx.biwa.ne.jp

★弦楽四重奏コンサートの結果

 これ程極端な結果もありません。最初は申込状況が思わしくなく、極めて贅沢な演奏会になるのかなと覚悟をしていたのですが、当日は収容能力いっぱいの満席でした。聴衆がいっぱいになったということだけではないのです。あらゆる人から好意的な評価をいただいたことも主催者としては嬉しい限りだったのです。ただ一つ聞いた不満は我が部長の「里の秋が聴けなかった!」という感想でした。隣の人にこの曲は知ってる、次はこの曲かと聞いていた部長殿の気持ちですが、わかるなぁ! ストーブに火を入れてのクリスマス・コンサートの要望も多くありましたが、そこはプロの演奏家、繁忙期でちょっと無理のようです。しかし、次回のコンサートを実現させたいと思っています。
 大きな窓から森の見える木造りの展示ホールは、音響効果、舞台設定のいずれも聴衆にも演奏家にも好評です。

★川辺いきものの森情報

 昨年はイカタケやカニノツメの発生で賑やかだったこの森のキノコ情報ですが、今年はキヌガサタケの発生情報を待っていたのですが、ある面ではそれ以上に価値を見いだす人が多い(?)情報が寄せられました。あのマイタケが見つかったのです。マイタケというとミズナラの森という先入観念のために半信半疑で実物を見ると、これはどこから見てもマイタケ、改めて図鑑を調べるとコナラにも発生することがわかり、次の瞬間いかにして食べるかが問題になっていたのは我らの面目躍如と言う感じです。報告しますと、最初は湯がいて三杯酢で、翌日は舞茸ご飯と味噌汁にして標本に残すこともなく消え去りました。東北では、「昨夜、親父がマイタケの出るミズナラの木を教えてくれたからもう長くないなぁー。」とも言うとか。ただ今、発見者の井上君に死に際まで情報を独占しないように発生場所の提供を迫っています。私がこの仕事に就いたとき、この森にあの雪国舞茸の工場誘致をどうするかが問題になっていましたが、まさか自然のマイタケが発生するとは・・・・。この森は奥が深い! (その後、スッポンタケの群落を何ヶ所も発見、食用になるそうですが・・・・)
 9月より、正式ではないのですが週日はセンターを開けています。散策のおりなどに図書コーナーやレンジャールームへの立ち寄りをお待ちしています。ストーブに火を入れることも多くなりました。また、何時もいるわけではないのですが、武藤と丸橋も机を事務室に持ち込み可能な限りセンターで事務を執るようにしています。
 4月から9月までセンターが関わった利用者の人数が4千人弱に達しました。正式にオープンしていないことや当方の案内を要しない自主的な利用者をカウントしていないことを考慮すると、とても大きな数字だと喜んでいます。時は秋、河辺の森には連日、幼稚園や保育園、小学生だけでなく体験学習の八日市高校生や県立大学生、各種の団体が様々なプログラムを体験しにやって来ています。後半の利用者はもっと増えそうです。

★近江鉄道新駅のこと

 6月議会に五個荘・八日市間にこの森へのアプローチに便利な新駅設置を、子ども達の環境学習のために遊林会有志が請願されましたことについては河辺林通信で既に触れていますが、継続審議になった後、9月議会で賛成多数で採択されました。市では、このことを受けて新駅について様々な点から検討をするので遊林会からも検討のための人を出すように要請があります。

★連続講座「里山七彩」余話

 里山七彩も10月12日の荻野先生の講座をもって終了しました。後半は当方の広報に問題があったのか当初ほどの受講者がなく、今後の反省事項と考えています。→どこにお金があるのか問題はあるのですが、これからもこうした講座の開催を考えています!
 計画の6回目は、都立桜ヶ丘公園の里山管理ボランティア活動に携わってこられた明治大学の倉本先生の講義でした。昨年が活動開始後10年目でこの間のまとめのお話でしたが、数々の反省や継続をしなかったボランティア(桜ヶ丘公園ではメンバーは毎年度登録が必要)への理由の調査など、綿密な記録と分析は我らの活動のもっとも弱いところで、これができれば遊林会も全国レベルだなと苦笑しています。絶えず現場を検証しての作業見直しや作業計画の立案の重要性を今までの反省の上に述べられました。質問の時間では、この活動にとって重要なこのことを遊林会では誰がしているのだという声が挙がりました。もっともな質問です。ほとんどの作業内容を今までは花と緑の推進室(or武藤)で考えていたのですが、これを現在、合議制に移行しようというのが、森の居酒屋の試みです。森の居酒屋は、月例作業のある週の水曜日の夜、作業小屋にて開店しています。倉本先生の話の中で改めて気付いたことは、桜ヶ丘公園の里山管理の対象面積は2f、我々の作業対象面積はどう少なく見積もっても10f以上、この点では河辺の森の遊林会は頑張っているぜぇ!
 荻野先生の講義は、視点を日本の里山から世界の森林の状況に目を向けるのにタイのマングローブ林の問題を中心に進みました。海浜に沿って成立するマングローブ林は地域住民に魚介類などの食糧や燃料を与えてくれる豊かな森林で、日本の里山以上の生産性と必要性が今もあります。しかし、日本への輸出を目的としたエビの養殖場がこうしたマングローブ林を破壊して造られています。正当な許可を得ずに造られたこうした養殖場の経営者と地域住民の戦いの経過、勝利した住民がその跡を元のマングローブ林に復元しようとする試みの紹介、その活動を通しての地域住民のしたたかさと生活の中に森が生きているタイの状況にのめり込まれたように感じる先生のお話でした。また、我々が利用するために破壊し、復元が困難だと聞いている熱帯雨林の植林再生について100年以上の歴史があることも紹介されました。
 この連続講座は、愛知川沿いの小さな森から世界の人と自然(森林)の関わりを考えることを目的として始めましたが、最終講座はそれにふさわしいものとなりました。さぁ、次の企画を考えましょう。

★11月の作業日の昼食メニュー

 悩んだときは焼き鳥にかやく御飯というパターンもありますが、只今検討中。差入れ歓迎!

11月11日(日)午前10時〜 湖国 ぐるり里山フォーラム 湖国の仲間、全員集合! ネイチャーセンターにて
発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会ホームページは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yuurin/index.html 森の見所や河辺林通信バックナンバーも


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