'01年07号 No.38

★作業日あれこれ

雨の中、タケ退治の中学生

 5月の作業日には肩すかしだったタケノコですが、6月9日には太いのや細いのが至る所に姿を現していました。この日が雨で中止になるとタケとの今年の闘いに大きな誤算が生じることになりやきもきしたのですが、当日は快晴で一安心。しかしながら、50人以上の参加者を迎えてもタケとの闘いすべてにケリをつけることはできず、柔らかく腐りやすい今の時期に何とか切り倒そうとあれこれ算段をしている毎日です。その1は、体験学習にやって来る中学生の力も借りてみたい、その2は社会奉仕活動として参加される湖東信用金庫の皆さんに機械刈りを含めてお願いしようということです。ケヤキの林で地下茎から発生した無数のタケノコ、竹林でこのままタケにしたらえらいことになるという本数のタケノコ、タケとの闘いは継続中です。
 今回の作業日には造園技術者協議会、京都精華大学の山部(京都岩倉の学有林を借りて里山保全活動を始めたクラブ)からお客さんが見えました。京都精華大学の学生諸君は、県立大学の諸君と共に放置されたタケを整理し穴窯の燃料としてトラックに積込む作業に最後まで従事してくれ大いに助かったのです。若者よ、ありがとう。一方、イギリスから語学教育助手として来日していたリンはこの日が最後の作業でしたが、1年近くの参加期間中、常に私達の活動が地球的視点でも意味のあることだと感じさせてくれました。彼女にもありがとう。  

★県立淡路景観園芸学校生、実習に

広場に咲くオカトラノオ

 この森の生態系調査を担当した滑ツ境設計の梅原氏は淡路景観園芸学校(大卒者対象、全寮制、2年間、1学年20人の羨ましい学校)の講師も務めておられ、学生を引き連れて野外実習に見えました(5/29)。この森のことを調査段階の話から講義して、今回の仕上げの現地実習は選択科目で参加数がどうなるかということでしたが、20人弱で予想以上の参加者だったそうです。
 氏から公務員を希望する学生も多いので、八日市市での私自身の経験も話してくれるように言われ、役人としての仕事の進め方や可能性についても話すことになりましたが、時代の流れや首長の政策判断もあり、同じようには行かないのが常で参考になったかどうかは疑問です。八日市市が目先のことに捕らわれず長い時間の流れを相手に子供の教育や大人の心を含めた健康のためのこうした事業を実施できたのは市長の決断によること、前例やディスク・ワークに固執せずフィールド至上主義で試行を繰り返した結果として現在があり、しばらく前までは1年後のことは不明であったことなどを話しました。この森が近ければ、同学校の良いフィールドになるのにと残念がられています。
 フィールド実習では、氏からこうした里山保全活動では、高林管理(残存している高木の落葉樹のみを残し中低木の常緑樹を択伐。景観的には好ましい林になるが次世代の木がない。)に流れやすいのだが、この森では萌芽更新の実験エリアを設けるなど森の生態系の循環を考えた管理を心がけているとお褒めの言葉もいただき、滋賀の里山保全活動の情報発信はこの森からという想いを更に強くしています。

★本邦初の試み、日程決定

 前号でお知らせしていました竹薮内に放置されて見苦しい状態のタケを整理し穴窯の燃料に使用して窯を焼く日程が決定しました。6月29日(金)に火入れ、この日は村松氏がひとりで窯と焼き物をいたわるようにゆっくりと温度を上げていきます。明くる30日(土)早朝より順調に温度を上げた窯を温度計を見ながら人海戦術で1200度程度まで上昇させ一昼夜維持します。そのためには、焚き口に置くだけで勢いよく燃え出すタケを燃え尽きるまでにバケツリレーの要領で次から次に燃料として供給しなければなりません。果たして燃料は足りるのか、温度を上げるだけの火力が竹薮で腐りかけていたタケにあるのか、初めての試みだけに不明なことばかりです。9日の作業で運び込んだタケの量は2tトラック4台分、森で運び出せる状態になっているのが3台分、どうも全部運び出したとしても不足しそうな感じなのです。足りない場合は泥縄状態で新たなタケの調達作業をするのか、それとも本邦初のタケだけを燃料にした焼き物を諦めて薪で追い炊きをするのか、悩むところです。
 村松氏の作風とあわさってタケだけを燃料にした作品に味が出れば、里山の厄介者のタケを今後、資源として大量に有効に利用できます。竹薮は里近くの集荷に便利なところに立地していることが多く、竹林全体を皆伐しても翌年には再生しますので量の確保も容易です。今回は択伐ではなく竹薮の中に放置された物を整理しながらの作業になっていますので労力を要しますが、竹薮の端から皆伐で進めば労力は比べものにならない程、軽減されます。木材と違い重量も重くないので人力による集荷も簡単ですが、その分、熱量を得るためには量が必要です。村松氏は、タケを燃やす長さに切ったり、作品の制作(しゃーないな、遊林会に頼まれているぐい飲みも食器も作っとくワー)にと奮闘中です。
 6月30日から翌日まで来られる時間に協力してくださる方を募集します。場所は、湖東町ヘムスロイド村、30日朝から応援が必要です。宿泊施設もあり仮眠もできます。  

6月27日(水)、7月25日(水) 週日活動を実施!
7月14日(土)午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-24-5658 Fax 0748-24-0752 当日連絡先:携帯(武藤)090-3729-2344
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:seizo-mu@mx.biwa.ne.jp

★ササの花

 この森の北東の角、八千代橋近くにササが生えており、昨年も刈り払い作業をして草丈を抑えていますが、今年はどうしようかと現場に出かけるとササの花が咲いているではありませんか。そこで悩んでしまいました。このササ、結実するまでに刈り込んで完全に根絶やしにする機会(花が咲けば地下茎を含めて枯れてしまう)と捉えるか、それとも実をばらまかせて再び種子から挑戦する機会を与えて様子を見るかです。温情を加えた場合、種子を餌にしてアカネズミなどの異常発生の原因となり、タケの種子を食べ尽くしたところで萌芽更新中の苗などをかじって被害を与えるのではとも心配してしまいます。とは言っても、どうしたわけか花が咲いているのは一カ所だけで他のエリアでは今のところ開花の兆しはなく、種子の生産量も大したことないかなという状態ですし、春になってもいたるところに秋のドングリが残っていることからも餌は余っているという感じもあります(今後は、伐採によるアラカシの減少、子ども達の持ち帰る圧力増大の問題もあり、餌になるドングリは確実に減少しますが)。一方、どうしてすべてのエリアで開花しないのかという問題もあります(対岸の湖東町でも開花を発見)。次回の里山七彩の講義は、タケの専門家の井鷺さんです。質問をしようと楽しみにしています。
 いずれにせよ、観察路より川よりの部分は放置してこの森唯一のササの茂ったエリアにしようかとも考えていましたので、少々予定が狂いそうです。

★「河辺いきものの森」情報

 この森への交通手段として近江鉄道の臨時停車場のことにも前号でふれていますが、6月市議会に遊林会有志による新駅設置の請願書が提出されています。果たしてどれだけの利用があるのかが問題になるかと思われますが、それは鉄道を利用して児童生徒がやって来るという需要を喚起できるだけの魅力と主張のある体験プログラムを我々が提案できるか否かということだと思います。それは、駅設置実現の有無に関わらずしなければならないことです。やるべき事をやるしかない!
 ついに大型冷蔵庫とこの地域特有の二段式の水屋が新角さんから作業小屋にやって来ました。次回からビールを冷やす労力が不要になりますし、瓶ビールも冷やせます。リサイクルされますが使い捨てのアルミ缶に引っかかるものを感じていましたし、お互いに瓶ビールを注ぎ合ってコミュニケーションも広がるだろうと楽しみにしています。そういいながらも我が家では瓶がかさばるために缶ビールなんですけれども。来月からは瓶ビール(某メーカーから発泡酒の瓶も発売されており、正確には瓶ビール擬き)で大いに・・・・のお知らせです。コップ持参の方が増えれば紙コップの節約にもなります。よろしく。

★森の居酒屋顛末と開店通知

 前号で作業日前の水曜日の夜に作業検討会議を開催してはと呼びかけたのは御存知でしょう。6月6日もそれに該当する日で、丸橋と「誰か来るんじゃないでしょうか、でも、来月からと思ってもらえるでしょうね、ちょっと気になりますけれどー。」、「冷蔵庫もないし、何にもできんから、今回はパス、パス。」と言っていたのですが・・・・。9日の作業日、青年部長から「あの日はどうしたんですか!? 酒無しの検討会議も良いかと饅頭を用意して森に来てみれば真っ暗で寂しい想いをしましたよー。」と厳しいお言葉をいただいてしまいました。言葉もありません。7月11日(水)から始めてみます、次の作業の検討会議。問題点を共有し、作業がスムーズに運ぶ会議にしていきたいと考えています。くれぐれも活動継続のために帰りの手段を考えてください。紙面では管理者の立場として申し上げられませんが、寝袋持参の方法もあるとか言っている人がいます。

★連続講座「里山七彩」余話

 6月1日の小椋先生の講座、平日の夜に何人来てくれるのかと不安でしたが、蓋を開けてみるとちょうど用意した椅子の数だけ受講者がありました。スタッフを入れて60人です。湖北町や野洲町、それに第1回目の講座を担当された野間先生も県立大生とともに受講され、この講座に対する関心と内容の深さを実感しました。
 京都のまちを描いた絵図の信憑性を同時代の絵師達の絵を比べて証明した後、絵図に現れた比叡山の山の端の形が物語る木々の低さ、今は樹木に隠れて見えない大文字送り火近くの滝が見えたという事実などから周りの山々の植生への言及は疑問の余地がありません。比叡山や大文字の山肌が草地あるいは灌木程度の植生しかなかったという事実は、ある程度は知っていてもここまで見事に説明されると鮮やかさに声も出ません。京都の町の暮らしがいかに燃料としての木々を必要としていたか、そのことが周りの山の景観を現在からは想像もできない禿げ山にしていたという事実、しかし、こうした人的圧力がなくなればいつの間にか質はともかくほとんどの場合緑深い山になってしまう日本の気候や土壌は日本の常識、世界の非常識でしょうか。
 次回の里山七彩は、6月22日午後7時より井鷺先生の「里山と竹を考える」、作業日前の7月13日は小池先生の「資源としての里山」です。
 某大学関係者から、この連続講座を「これはまるで僕のための講座です!」との言葉をいただき、それぞれの講師の方々の力のおかげなのですが、企画した立場として素直に喜んでいます。日本の片隅の小さな団体の主催事業ですが、里山を通り一遍のお話で片づけずに掘り下げた講座として評価をして下さる方があります。

★活動4年目、雨でも集まれ7月作業日

 毎年、夏真っ盛りの7、8月の作業は午前中に限っています。今年もタケとの戦いの結末は気になるのですが、例年通りにします。7月の午後は活動開始○年記念としていつもより徹底的にコミュニケーションを深める日です。
7月作業日、午後はパーティ・モード
ところで何を料理するのか食べるのか? 悩んでいます。暑いときですが、おでんでいこうか、それとも・・・・、もう少し悩みます。

8月の午後はまじめに昼寝をしてからこれからの遊林会について協議でもしませんか。NPO法人設立、活動内容、会費のことなどについて相談したいのです。

村松卓 タケで焼き締めた穴窯作品展 ネイチャーセンター展示ホールにて 7月13〜15日
発行者:八日市市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211


▲前の号 | 河辺林通信トップ | 次の号▼

| ホームに戻る |