'01年05号 No.36

★作業日あれこれ

お昼の時間、センターでのミニミニコンサート

 3月28日の作業日には花粉症や祭りの準備などで週日活動日の常連は炭焼名人だけでどうなることやらというスタートでした。この日の作業ではグミの移植と竹薮の整理を予定しておりましたが、最終的に9人の参加があり、なんとか実施できました。林床ではシュンランが咲き始め気持ちの良い季節の始まりだったのですが、2月に続き今回も昼から雨となってしまい、作業は午前中だけでした。愛知川の河原のアキグミを、実をついばみに来る小鳥の観察ができるようにネイチャーセンターの窓から見える場所に移植しましたが、小鳥だけでなく子供達にも気付いて欲しい木です。野鳥の会の外村さんのたっての希望でした。この日の活動には、大阪センチェリー交響楽団のメンバーが二人参加、弓ならぬ鋸を手に雪で折れた竹の後始末に汗を流されていました。この秋にはネイチャーセンターで室内楽の演奏をお願いしています。
 例年、4月の作業日は地域のまつりとの兼ね合いもあり第3土曜日にしていたのですが、今年からは第2土曜日にしました。作業日和のこの日、ネイチャーセンターの冬に備えての薪作りと間伐材の杉丸太の皮むき、ベンチ作りに精を出しましたが、女性の参加も多く鋸で枝の長さを揃え薪を作りセンターの外壁に積み上げる作業は筋肉痛の原因になったのではと心配しています。次回の作業でもタケノコ退治と併行して薪づくりをし、センターの補助熱源に使用する薪ストーブの燃料を積み上げ冬に備えます。
 ソメヤンハサケガスキー氏の陣頭指揮で作られた水団(スイトン)をいただきながらの昼食時、今回は恒例の新人紹介もせずに特別メニューでした。5月26日にコンサートをお願いしている「ホットライン」のメンバーが会場の下見に訪れましたので、急遽センターホールでミニミニコンサートを要請したのです。コカリナ(木製のオカリナ)の演奏と誰もが知っているふるさとや琵琶湖就航の歌には何人もの人が口ずさんでおられました。ホールの音響効果も評判が良く26日が楽しみです。

★キクザキイチゲの花と森の動植物

 落葉樹が葉を落としている間に冬の陽射しを浴びて成長し早春に花を咲かせ種子を付け一年の活動を終えてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかないものや春の妖精)と呼ばれる動植物の仲間があります。(必ずしも落葉樹の森だけに生息するわけではありませんが。) 関東では雑木林保全活動のシンボルにこうした植物であるイチリンソウやカタクリの花が使われたりしています。遊林会の活動では、始めた時より愛知川河辺林を知る者にとっては、イチリンソウやニリンソウと同じアネモネの仲間であるキクザキイチゲがそんなシンボルでしたが、河辺の森では絶滅したと見なしていました。関東のカタクリなどは氷河時代の置き忘れと言われていますが、この地域のキクザキイチゲは上流の本来の生息地(山地)から洪水と共に種子が流れて来た植物で、少なくとも八日市の平地では河辺林にしか見られないようです。昨年、整備をした林床で埋土種子から発芽したと思われる小さな株を見つけた時には小躍りしたものですが、宿根草であるキクザキイチゲは花を咲かせるまでに何年もかかるようで、今年も芽を吹きましたが花を咲かせる力はまだないようです。(その後、この株は今春3輪の花を付け、キクザキイチゲよりは遅れて咲くイチリンソウだったことが判明しました!これまた大発見!)
今回発見のイチリンソウ

 今まで愛知川河辺林の何カ所かで生息状況を観察をしているのですが、毎年、ほとんどの所で群落数が減少しています。今年は例年より2週間早く開花したのですが、あるところでは探し回って1群落しか見つけることができず、前年の群落跡には繁殖力旺盛なササが茂っているという状況でした。里山でのササの勢力拡大と呑み込まれれていく植物の現状をお知らせする意味で春の話題として新聞に記事提供をし、3紙に記載されましたので覚えておられる方もいらっしゃることと思います。しかしです、その日の仕事を終えて立ち寄った県立大生(アラカシの生息数を確認するように依頼している学生→15年程度でローテンションする場合の毎年の伐採量を推定するため)が、広げていた写真を見て、「これ、あの森で咲いてましたよ!」と何の感動もなく言い放ったのです!特徴を確認して間違いないなぁと思い、翌朝、興奮醒めやらぬ思いで現場に出かけた次第です。教えられた場所に群落を確認、河辺の森で再びキクザキイチゲの花を見ることができました。作業後の森では、タチツボスミレをはじめとして多くの植物が眠りから覚めたり埋土種子から発芽していますが、キクザキイチゲの再発見は河辺林のシンボルとしてその中でも嬉しいニュースです。息も絶え絶えに生き残っていた群落が、昨冬の整備によって早春の陽射しを浴びることができるようになり、力を付けて花を咲かせたようです。人の利用によって増えた落葉樹の森は、冬と夏に棲み分けた動植物が生息できるようになり、豊かな生態系を形成してきたのだと常々言っていますが、またひとつ裏付けられたと思います。
 余談:34号でノウサギの足跡についての記事を載せましたが、3月26日、西村治さんが草むらから駆けだしたノウサギを目撃しました。その他にも、外村さんによって日本で一番小さな鳥であるキクイタダキ(菊頂)の目撃情報も寄せられています。ムササビやリスもいないかなぁーと思っているのですが。ネイチャーセンターが活動を始めれば雪の日や夜間に観察する機会が増えて、これらの動物の生息が確認できるかも知れません。

5月23日(水) 週日活動を実施!
5月12日(土)午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-24-5658 Fax 0748-24-0752 当日連絡先:携帯(武藤)090-3729-2344
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:seizo-mu@mx.biwa.ne.jp

★人づてに聞いた森のこと

 昨年の黄葉の終わり頃の晴れた日に、退院をして自宅療養中の父親を、気が晴れればとこの森に連れて来られた方があります。森林観察デッキには、闘病のために弱った体では登ることはできなかったそうですが、自身も心得があり南高生の作った竹垣に感心されたりゆっくりと初冬の森を歩くことを楽しまれ、元気になればこの森で何かお手伝いをしたいなぁとおっしゃっていたそうです。最近、訃報と共に知りました。
 この森では平地で移動が楽であることを活かして、最初から老人の方や障害をお持ちの方が自然にふれるディ・サービスの場として利用されることを考えていました。ゆっくりと歩いたり車椅子で森の中(すべてのエリアではありませんが、多くの部分)を散歩して里山の自然にふれることが可能です。ネイチャーセンターの展示ホールでは冬には薪ストーブを利用しますが、燃える火を見ながらストーブの守(薪の管理など)をするようなこともお手伝いして欲しいなぁと考えています。子供達には新たに自然にふれ学ぶ場の提供ですが、年輩の方々には自然にふれることで元気になっていただく場だと思っています。この森での遊林会の活動は、自然体験や保全だけではなく、人を活かすものでもあります。
 紹介させていただいた方のお話を聞いた時に、よくぞ連れて来て下さったという感激、整備の進んだ森で回復されて再び利用・お手伝いをしていただきたかったという無念の気持ち、そして、方針は間違ってはいないという思いを強くしました。寂しいけれど、そのように感じていただけたのが嬉しい話です。先日の作業日、かなわなかった父親に代わって娘さんが参加され、改めて父親への想いを感じておられたようです。

★「河辺いきものの森」情報

 4月は人事異動の季節ですが、皆様のご支援のおかげで事務職の私ですが、この職について7年目の春を迎えることができました。川合棟梁が我室の兼務を外れ建築主事の道に専念することになった以外には誰も動かず、問題児達の引き取りをする課がなかったのではとの話もありますが。5月中旬には、室の一部をネイチャーセンターに移して、より皆様の近くで活動しますので、お立ち寄り下さい。遂に窓際から窓の外へとの声も有ります。

★間伐材の運搬

 炭焼窯やおくどさんの上屋建設のための材料を上流の植林地の間伐を手伝って戴こうという崇高な活動計画が、善意の皆様の申し出によって不要になってしまったのですが(詳細は35号参照)、山に放置された間伐材の運び出しは必要で、自称青年部長とK氏他の参加で実施しました。番外の活動日に、花粉症で大きなマスクをした部長は、スギ花粉の本場に出かけるとも知らずに現れました。(気の毒!) 間伐材なんか柱にするのには細いでと言っていたオーチ殿も、直径30センチ近くの間伐材が切り倒したままになっている現場を見るや、林業を取り巻く現状(柱になる木でも山で腐らせるより仕方のない木材価格の低迷→運び出しても費用が回収できない)を理解されたようで、その後はもっぱら運び出しやすい細い木を選んで運んでいたとか・・・・・(軟弱!)。いずれにせよ、間伐材は運ばれて炭焼窯建設予定地に。4月14日の作業日に杉皮むきを実施し、後は川合棟梁の仕事を待つばかりです。

★梅の花は誰が咲かせたのか?

 入口近くのユニット・ハウスの近くのケヤキの合間にウメの花が咲いているのをご存知でしょうか。昨年は竹薮の中から救い出した直後であり、ちらほらとしか花を付けなかったのですが、今年は満開状態でハウスの住人、松本さんと梅干しにしようか梅酒にしようかと相談しています。(結論は、造るのが簡単な梅酒→これを捕らぬ狸の皮算用と言います!) でも考えてみると、この貧弱なウメを植えたのは誰なんでしょうか? 森の中には他にもカキがかなりの本数ありますが、これは人間がおやつに持ち込んで種を捨てた可能性もありますが、ウメは生では食用にしませんのでゴミとして捨てたか(森の中のもう1本のウメはゴミ捨て場になっていたところなのでその可能性が大)、それとも他の誰かが持ち込んだと考えられます。その犯人の容疑がかなり高いのは、雑食性のタヌキです。夜にあちこち徘徊して人家近くで季節季節のごちそうをおなかに入れて森に帰り、いわゆるタヌキの貯め糞(同じ所で糞をする習性があるのでこう言います。そんな場所を見つけるといろんな食べられる植物の芽が出ています。)として種子が排出されて芽を出した可能性です。ユニット・ハウスの前で杉丸太のベンチに腰掛けてウメの花見をしていると、そんなことを考えます。もちろん、キツネやタヌキは今もこの森の住人で足跡を見かけますから、また森のどこかでザクロやキンカン、イチョウなどが芽を吹くかも知れません。

★5月26日(土)みどりのつどい

 昨年まで4月29日前後に布施公園で実施していました「みどりのつどい」をリニューアルし、今年から大凧まつり前日に河辺いきものの森で開催します。実行委員会の皆さんに諮らなければなりませんが、内容も少し工夫を加えて河辺林で実施する意味があるようなものにする予定です。多くの方々に身近な自然を感じていただけるようなホットラインの皆さんのコンサートもその一企画です。センターの利用開始を記念した餅つき(餅撒きをとの声もあるのですが、私はおろし餅で一杯派)、里山問題を考えるタケノコの採取と料理、できればリサイクルの視点からのガレージセール(ただ今、旅館新角の閉店に伴う物品の提供を依頼中!)、バザー、花苗の配布などを計画中です。ボランティア・スタッフを募集しますのでよろしく。多くの人の参加を期待していますので、周りの人にお知らせいただけると幸いです。

★5月の昼食は、勿、タケノコづくしです

 5月の作業は、これからしばらく続く今年のタケとの戦いの開始です。あの場所ではササタケモドキ刈り、こちらではタケノコ退治ということになります。結果として作業日の昼食は、タケノコの田楽、天ぷら、ご飯、味噌汁、何でもかんでもタケノコ、食べてタケゴン退治! お帰りの際にはタケノコのお土産付きです!

ホットラインのCD「森の詩」の販売をしています。全14曲収録 税込価格1,000円
(コカリナ演奏、曲目 ふるさと、荒城の月、琵琶湖就航の歌、大きな古時計、となりのトトロ、星に願いを等)

発行者:八日市市緑町10-5 八日市市役所 花と緑の推進室内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-24-5658


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