’01年03号   No.34

★作業日あれこれ、1月と2月

 今年始めての活動日は1月13日、1日ずれると大雪でしたが気持ちよい天候で、モミジの林に集中した作業は快調に進みました。一人で何人分もの存在感のある女子県大生や瀬田キャンパス内の森の利用を考えている龍谷大学の金子さん、ネイチャーゲームの会の辻田さん、ソロプチミストから参加されていたご婦人方などの新しいメンバーも交えて賑やかに作業を終えました。中には前日の新年会の延長モード状態で自分が食べることもできない昼食を向かい酒の缶ビール片手に調理されていた御仁もいらっしゃいました。今回は地鶏を早朝から潰して持参された方があり、経験のためと称して前述の県立大生に捌かせて、焼鳥や出汁、笹身のたたきなどにしておいしくいただいてしまいました。午後は新年会モードになることもなく薪作りやモミジの林の大掃除を続けました。
 2月の活動では、いつも食事やミーティングをしている場所の隣、作業路を隔てた川よりのエリアで全面的な伐採を始めました。コナラやアベマキの年輪を調べ萌芽更新のデーター採取をするためです。現在のやり方では、落葉樹の高木だけを残すことになり(放置された里山では落葉樹は高木しか存在しない。)、昔の山よりはコナラやクヌギなどは高く太くなっています。比較のために本来の森の景観を一部でも取り戻してみようとの思惑もあります。予定地の1/3程の伐採を終えましたが、年輪から推察すると木々の年齢は35年以上前、60年前よりは新しいことが判明しました。想像していたよりは最近まで、この森が利用されていた事実が明らかになっています。昭和40年代半ばまでこの森の木が伐られ萌芽更新をしていたのです。建部北町の参加者、松本さんによれば30年代後半に嫁いできた時には薪や落ち葉で炊事をしていたので事実と一致するとのことでした。このエリアでは伐採前の毎木調査をしており、今後、樹齢と萌芽の関係や成長過程が明らかになるでしょう。

★炭焼き窯製作と愛知川上流の森

 今年はネイチャーセンターの前庭近くに炭焼き窯を製作する計画ですが、既に炭焼き名人は多賀町の制作中の窯見学以降も独自にBBCテレビで紹介された近江町の窯の製作を聞き取りに出かけたり、キノコ博士も図書館で参考書を探したりと研究中です。他の方も何人か研究中の方を聞いていますので、皆さん、製作開始時にはよろしくお願いします。この辺のことはセンターが使えるようになったらミーティングをしようと思っています。呼びかけますので興味のある方はご参加下さい。炭焼き窯の上屋については、建築士の川合君(棟梁の息子)から工事でやると大変ですので私が作りますと頼もしいお言葉を聞いております。それはとても助かるのですが、この森には上屋の建築にふさわしい丸太がありません。そんなおり、愛知川の上流には間伐もできずに放置されている造林地もあるのではないか、お手伝いをして材料をいただくのはいかがなものだろうという考えが浮かんできました。上流の森を守る視点も大事と考えていましたので、一石三鳥くらいのアイディアではないでしょうか。間伐の時期と木材の必要な時期が一致しないのですが、実現に向けて調整したいと考えています。

★1/24週日作業でウサギの生息を確認

 森の中に積雪の残る24日の作業日には、さすがにこの時期になると参加者は少なくゆったりとした気持ちで前回の作業で運び出した木の薪への加工を実施しましたが、昼食後、森の観察をしようと観察路を歩いて足跡や積雪で折れた木の枝などを見て回ることにしたのです。降り始めの20日にラッカム博士一行と歩いて以来でしたが、森の中には人や犬と思われる足跡に混じって特徴のある足跡がありました。炭焼き名人が、「チョンチョンパーと言うてたけど、これはウサギの足跡やで! こんな風に前足が2カ所チョンチョン、そして後足を同時に地面に着けるのでパーや・・・・・。」と解説、なーる程という具合です。翌日、デジカメの写真を見た西村治さん、迷うことなく「ウサギの足跡や!」。我々よりも自然と親しく暮らしていた人たちの当たり前の知識に脱帽です。

 この森に私が初めてやって来た6年前にはウサギの糞や食痕を身近に見ることができたのですが、2年後には探して探してようやく糞を1個見つけるような有様で、その後は見つけることができませんでした。昨年の春も食痕らしきものは見つけたのですが、糞を見つけることはできず、作業のメニューに糞を見つけたら連絡をと書いたりしていたのです。キツネも生息しており、この森では駆逐されて他の森から入ってくることもできず絶滅したものと推察していました。ウサギの足跡はお墓の方向に続いており、その当たりからこの森の外へ出たようです。近くには排水路沿いに幅10bもないような細長い森が下流の森へと連続していますが、生物にとっての異動通路、ビオトープ・ネットワークの一環として機能していることを想像させてくれます。あの森をなくしてはならない、あんなに頼りなげで向こうが透けて見える程の厚さしかないけれど、生物の移動通路としての重要性を心に刻んでおきましょう。足跡のウサギはこの森の主なのかそれとも移動してきたよそ者なのか不明ですが、この森での遊林会の活動により草地や餌になる高さのアラカシ、アオキの萌芽が出現して、かつての薄暗い森よりも食糧事情が好転したのは確かです。

2月28日(水) 3月28日(水) 週日活動を実施!
3月10日(土)午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:八日市市 花と緑の推進室 Tel 0748-24-5658 Fax 0748-24-0752 当日連絡先:携帯(武藤)090-3729-2344
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:seizo-mu@mx.biwa.ne.jp

★「河辺いきものの森」情報

 今年度の工事も追い込みの時期になり、センターの様子は1日ごと変化します。丸橋は中央のホール部分に立って展示計画を現場で確認していますが、私はどこに自分の机を置こうかと能天気状態です。オーチ先生は市道からセンターまでの除雪に悩んでいたりしますが、晴れた日にセンターの中から外を見て新緑や紅葉の時期を想像したのでしょうか、「あそこでは今みたいな感じの仕事にはならんわー、勤務体系を変えて時間をゆっくり流さんといかん。」とかおっしゃっていました。
 既に作業小屋や資材草庫は完成し引き渡しを受けましたが、隣のセンターが工事中ですし電気も水道も使用できませんので、使用開始は4月以降にします。雨が降っても忘年会や作業○周年記念の実施を心配する必要もなくなり雨男の私は一安心です。問題はこれからどの場所で食事をしようかということです。

★ラッカム博士講演会後記&これから

 雨男の面目躍如、予想通り1月20日はお昼前から大雪となり会場に辿り着くも帰りの道を心配して引き返す人も出るほどでした。しかし、動員に頼らない遊林会の行事では中止の必要もなく時間通りに始めてびっくり、席が足りずにパイプ椅子を急遽用意する程の盛況です。会員の皆様と紹介記事を記載してくださった各新聞社の方々のお陰です。
 博士は事前にスライドやOHPのチェックを自分でしなければ納得されず、講演に対する意気込みが伝わって来ました。カントリーヘッジの話こそあまり出ませんでしたが、イギリスの森の歴史、人や動物(シカやウサギ)との関わりなどをスライドなどを多用してわかりやすく説明されました。その中で改めて驚いたことは500年とか600年に渡っての森の歴史が残っているという事実です。博士は、講演前に河辺の森を視察されたのですが、その際、この森の記録はどのくらいさかのぼれるかと尋ねられました。その時にはよく意味が理解できなかったのですが、講演を聴いてなぜあの質問をされたのかが理解できました。あの森は明治の始め、約130年くらい前までのことしかわかっていません。講演を聴いておられた精華大学の小椋教授は京都の森林の歴史を古絵図などから明らかにする研究をされています。一度、日本の人里近くの森の歴史をお話していただけるようにお願いしてみます。次は、イギリスから日本へ、今回の講演を足掛かりにして、今年はネイチャーセンターから様々な森に関わる催しを計画する予定です。お楽しみに。

★湖国21世紀記念事業と遊林会

 湖国21世紀記念事業協会で「夢〜舞(む〜ぶ)めんと滋賀 湖国21世紀記念事業」を募集されているのはご存知でしょうか。遊林会事務局では、その中の「水といのちの活動」として「”みず・やま・ひと”つながるひろがるプロジェクト」と名付けた事業を申請しました。内容は、私たちの活動を広く呼びかけるためのシンボル的なスッテカーの製作と身近な森の美しさを訴える小さな絵本づくりです。先日、協会より活動認定書が交付・採択され、事務局には「滋賀からはじまる新しいメーブメント」と書いた幟も届きました。(イメージキャラクターのウォータンの着ぐるみを借りようとワクワクしている山本に、旗差物の要領で作業時には背中にくくりつけて参加するように言っています。) 申請時にはいずれの作品も公募で行こうと決めていたのですが、採択の是非を決めるヒヤリング時に出版物の質を問われてしまい、申請総額1,100千円の中ではやりくりが厳しくなり、公募の謝礼等の支出をカットせざるを得なくなりました。ステッカーは事務局でイラストレーターと相談して製作しようと決めました。絵本については、葉書の大きさで各シーズン3〜4枚で森の四季を心に語りかけようと考えています。増す刷りした分をネイチャーセンターで遊林会グッズとして、本としても一枚ずつでも販売もできますし・・・・・。こちらは作品を公募する予定です。
 21世紀記念事業には市町村もそれぞれ独自に取り組みますが、八日市市ではこちらも「河辺の森から始める21世紀事業」として、河辺いきもの森と遊林会がらみでその多くを実施する計画です。詳細については新年度予算の発表後にお知らせしますが、財政厳しき中で市長の熱意が伝わってくる予算になっています。

★資金協力者への遊林会からの感謝

 河辺いきものの森の整備について図鑑などの蔵書購入費や炭焼窯建設資金、そして毎月の遊林会活動に大きな資金的支援をして下さった方がいらっしゃいます。陶芸作家、村松氏に河辺の森の薪を使用して焼いた作品の提供をお願いして、遊林会からの感謝の気持ちをお伝えしました。一輪挿しにもなる灰釉の酒器はとても好評でした。ラッカム博士にも灰釉のぐいのみを記念に進呈しましたが、あの森の薪で焼いた器を喜んでいただけました。今後も適宜、提供をお願いします。

★遊林会活動を閉塞させないために

 毎月、活動日には今日始めての人がいるかなと見回します。いらっしゃると嬉しくなります。お昼の時に慣例の自己紹介のおしゃべりをしていただく人が見つかったというだけでなく、参加者の人数が多くてもいつもの人ばかりで、そんな状態が続くようになると、外から新しい人が参加できにくい雰囲気になるのではとの心配からです。遊林会の活動をよくあるような仲間内だけで部外者が関わりにくいような組織にはしたくないからです。新しい人を見つけたら閉鎖的、排他的にならずに作業や食事の輪の中に積極的に迎えましょう。遊林会は、いつも新人を歓迎します。気軽に親しい人に出入り自由な作業への参加を勧めてください。
 遊林会は今年中にNPO法人設立申請をする予定ですが、活動への参加は会員であることを求めず、会員は様々な活動を計画し実施する遊林会という組織の構成員(支援者)として位置づけようと考えています。
 こんなことを書いたのは、現在の活動に閉鎖的な現象が見られるからということでは全くありません。健全な内に支援者の皆様の心の内に留めておいていただき、会の心がより広がるように書きました。

★3月の昼食は、何にしましょうか?

 野菜の煮付けと釜飯にしましょうか? 材料になりそうな物の差し入れ歓迎です。


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