’00年11月号   No.30

★作業日あれこれとドングリ

林床で芽を出しているドングリ

 9月第4水曜日の27日は、天候に恵まれたのですが、9時前に集まったのはこの前の3人と普段は管理人をしてもらっている松本さんだけ、今回もこの前と同じメンバーだけかと心細い思いをしていると、ぼつぼつと参加者が現れ10人を超える人数になりました。この日は、お昼前には南高生の炭焼き見学や、午後には八日市市が友好都市提携をしている中国、常徳市の教育代表団の皆さんが視察に来られるなど賑やかな一日でした。森ではアベマキのドングリが落ち始めており、つやつやとした茶色の堅い実を見つけると嬉しくなってしまうのですが、中国の方々は誰ひとり関心を示されず、理由をあれこれ考えているのですが・・・・。昭和20年代、九州の開拓農家に育った私は、この時期、火山灰地の丘陵地に点在する林でドングリを喜々として拾い集めていました。余談ですが、集めたドングリをせっせと栗鼠のように庭先に埋めるので、春になるとそこら中で芽吹き、木が生えては大変と抜いてまわるのが母の仕事だったそうです。貧しい時代、ドングリは自然のくれたすばらしいおもちゃでした。翌日、生徒の研修に先立って下調べに現れた湖南農業高校の先生方は、ドングリを見るなり「興奮しますね。持って帰ってもよいですか?」と期待した反応がありましたので、少し安心したのですが。この森のあちこちに落ちているドングリが、これからも子供達を興奮させてくれればと思います。14日の作業日には、外国語教育助手として来日されているリン・ドナルドソンさんが参加してくれました。彼女が遊林会の活動を知ったのは、イギリスで参加していたような活動がないかとEメールで本国の団体に照会したところ、九州芸術工科大学の重松敏典氏のアドレスを照会されて、彼女の住んでいる彦根の近くの遊林会の活動を知ることになったそうです。最初に活動の趣旨や常緑樹の森への遷移問題について説明したのですが、彼女と作業を一緒にしていた森女史によれば、日本語で「ほっておくと暗くなって、こんな木ばかりになってしまうから・・・・。」と反復していたとのことです。気になって、イギリスに留学経験のある精華大学の小椋教授に尋ねると、かの地では中高木に育つような常緑樹がないために日本のような常緑樹の森への植生遷移はおこらないとのこと。日本で当然のことが世界では通用しない、文化や貿易摩擦の際によく言われますが、リンさんの参加で植生の世界でも日本の常識が通用しないことを知らされました。
 両日の活動に参加されたZさんは、「中国とイギリス、いやぁ、遊林会の活動も国際的になりましたなぁ!」と感心されることしきり。

★アキノギンリョウソウ、今年は?

 昨年の秋に見つかったアキノギンリョウソウが発生する頃だと森に行くたびに、発生した場所を見ていました。発生地の条件をできるだけ保つように周囲の樹木の除伐を控え保全措置を講じてたのですが、14日の作業日には見つからず心配していたのです。19日に県立大の野間氏が学生を連れて実習に来られた際に、「去年はここに発生したのですが・・・・。」と印の付いた枠の中を示していたら、出てますよとすぐ近くを指され、・・・・山を見ずと言う状態ですね。反省することしきり。皆さん、思いこみには注意しましょう。遊林会の活動では随分融通を利かしてはいるつもりですが、柔軟性のなくなりつつある我が頭を心配しています。(写真は99年11月号に)

★森へのお客様と来年の仕込み

西小3年生 森の工作教室

 京都新聞が主催されている湖灯塾で話す機会を与えていただいた際に近江八幡支局長の井戸氏と知り合いましたが、先日氏から自然や街角の音を通してそのものの本質に迫ったり、作曲にまで結びつける活動をされているイヤー(耳)ゲームの会の主催者、長谷川有機子さんを紹介していただきました。この森で、目が見えるばかりに見えて来ないものを耳を通して知る企画を考えていた私は、渡りに船とばかりに森を案内しながら協力をお願いしてしまいました。お忙しい中ですが、日程が合えばと返事をいただき喜んでいます。今年も、ピアザ淡海で実施(9/30、10/1)された市民活動屋台村に参加しましたが、エコリゾート赤目の伊井野さん、琵琶湖バレイの赤澤さんや栗東町金勝の沢さんにも合いました。沢さんは、「一度、大道芸で慰問に行くしな!」とのこと。赤澤さんは、知事や民主党の鳩山さん、NHKを引っ張ってくるはの大活躍でしたが、琵琶湖バレイからのおすそわけと称したコカリナ(木製のオカリナ?)とヴォーカルのコンサートも開催されており聞き惚れてしまったのです。曲目は、里の秋などの私たちの心にしみいるような歌ばかりで、コンサートが終わるや平尾夫妻と白木さんに河辺の森でも音楽会をとお願いしました。来年は、いろいろ変化に富んだ計画をしています。お楽しみに!

★参加者の生き方?

 9月の週日作業日のお昼時、10人ほどが食事をしながら米価の低迷の話から1日に何合の米を炊くかという話になりました。3合で2日、2合で1日、一番多い人で1日5合というようなことで、非常に米の消費量が少なく(私も夫婦だけの所帯でおまけに夕食の主食はビールですので・・・・。)、気になって家族構成をみんなで話し合うと、全員が夫婦2人だけか1人所帯、例外は母親と同居の3人所帯が1軒のみ。こうしてボランティア活動に参加される方々の意識や生き方を見たように感じです。週日活動の参加者は60歳以上の方がほとんどですが、この地域ではまだこの年代は現在40歳前後の息子や娘が家を継ぐのが当たり前、同居が当たり前という考え方が大半だったと思います。この地域で判断すれば、この年代の人口の割合では子供夫婦と同居の人口の方が多いのではと考えますが、こうしたボランティア活動に参加される方々は、逆に少ない割合の同居していない方々の方が圧倒的に多いのではないのだろうかということです。念のために、高齢者施策担当に確認すると同居の割合が65歳以上では7割だそうで、この仮説は成立しそうです。やはり、同居されている方々の非自立的な生き方と同居されていない方々の自立的な生き方の違いが目立ち、介護保険などの施策についてもこのことが問題なのだそうです。
 将来、この森でディサービスを実施する可能性も考えていますが、口の悪いオーチ君は、私が森のディサービスの運営責任者になるか一番若いサービスの受け手になるかは、今後の酒量によるでしょうねなどと自分のことはさておいて言っています。森でのディサービスは、自然の音や風、季節の移ろいなどからの働きかけが非常に良い結果をもたらすそうです。「ボランティア参加者の皆さんは、優先的に将来でディサービスに受け入れします!」なんて言ったら、「わしらは日頃から体力と知力を維持するように心掛けており、世話になることなどないじゃろう。」と返ってきそうですね。皆さん、あの反戦爺の黒瀬さんを手本に生きましょう。

★「河辺いきものの森」情報

 建築の基礎工事が終わり、これからは建物の概容が現れ始めます。やはりわくわくします。ネイチャーセンターの展示についても、コンペの審査会が終わり遊林会の活動や人と森の関わりなどにも視点をおいた方向で概容が決まりつつあります。炭焼き窯の建設も資金の手当てができましたので検討が必要になりますが、これについては有志の方に建設作業協力をお願いすることになると思います。よろしく。実際の建設は来年度です。

★山桜(?)救出作戦

 この森で、春の桜が少ないと感じたことはありませんか。森の周辺ではカスミザクラやウワミズザクラが咲いているのを見ることもあるのですが、森の中ではほとんど花を見かけません。木を伐る作業をしたことのある人は、立ち枯れになっている桜や、弱々しく生きている桜を見られたことがあるでしょう。森の木を薪炭に利用していた時代ならそこそこの大きさで伐って燃料にするはずのコナラやアベマキが大木に成長し、それらの高くなる速さに勝てず追い越されて陽の光を充分に受けることができず、花を付ける力もなくなり最終的には枯れてしまうようです。このままでは、林床管理作業をしてもコナラやアベマキを残すようにしており、桜に対する条件は変わりませんので、桜の受難は続くことになります。提案です。桜の救出作戦を展開しましょう。なんか迷彩服を着ているスタッフの某君が喜びそうな作業で、その点では気が進まないのですが、桜の責任ではありません。お墓の近くに高さ約15m、幹の直径30pほどの桜がありますが、下枝は枯れこの春も花を付けませんでした。前述の小椋教授の見立てではかなり弱っており、大胆に周囲の木を除けてやっても厳しいかも知れないということですが、このままではこの森の桜がなくなってしまいますので作業をしましょう。周りで受光を妨げているコナラやアベマキを大胆に伐って椎茸のほだ木に利用すると共に、若木でないので難しいでしょうが萌芽更新を図ります。大きな花木を里山のシンボルに!

★河と山を考える催し、11月12日に

 予告していました通り、12日に河と森に親しみ、下流の琵琶湖を考える催しを実施します。実際は、子供達に森の秋を楽しんでもらえたらという思いです。好評だったキノコの観察会も実施します。ソメヤンハサケガスキー氏は秋の季節感ある鍋料理を思案中です。前日の仕込み&当日のお手伝いをはじめ皆様の参加をお待ちしています。参加だけなら10時スタートです。

★多くの人に感謝

 遊林会の活動は多くの人に支えられています。先日の活動日にはソメヤンハサケガスキー氏が環境問題啓発のために日本一周を実施し、板長の欠けた分をソロプチミストの皆さんで昼食を無事に用意してくださいました。ライオンズクラブの方々も支援を検討するために見学に見えたりと、当初より支援していただいている八日市南ロータリークラブの皆様をはじめとしたこうした団体の奉仕活動に感謝しております。もう一つお知らせしなければならないことがあります。市内の企業から派遣されて参加されているK氏とすれ違った際に、「これ、僕の飲み代ですわぁ。」と封筒を渡されました。もらい癖の付いている私は、ありがとうと受け取ったのですが、後日、開けてみるとまとまった金額が入っていました。この分では浴びるほど飲むつもりなのかなと思ったりしながらも、とても感謝しています。それ以外にも、炭焼き窯の建設費を寄付してくださった方があります。重ね重ねありがとうございます。

★その他

 11月3日、258まつりに例年の通り、市役所正面玄関付近で啓発活動(?)と活動方法の検討会を実施します。ご用とお急ぎのない方はお立ち寄り下さい。
 11月のお昼はキノコご飯と何かにしましょう。差し入れ何でも歓迎。


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