’00年10月号 No.29
8月第4水曜日だった23日は地蔵盆の始まりの日(最近では直前の土日に変更する町内も増えているらしいが。)でそちらに人手を取られたことや、残暑の真っ最中のためか、参加者は今までで一番少ない記録となりました。3人は目にものを見せてくれるはとばかりに頑張って、炭焼き名人がそんな機械を扱ったこともないという土井さんに草刈機の使い方を指導、3台の草刈機で北の奥のタケとお墓近くのササ刈りに精を出しました。「左手が明日は筋肉痛ですよ。」という言葉に、「いやー大丈夫ですわぁ。何ともないですよ。」と草刈り新人は元気に応えておられましたが・・・・。
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秋の七草、クズ(葛)の花 |
9月9日、重陽の節句の作業日はいつもながらに雨の予報を覆して、少々暑いものの作業日和でした。最近のタケ退治一辺倒の作業から解放されて、お墓近くのモミジ林での常緑樹除伐やケヤキ実生のマークと周辺の除草、2ヶ月ぶりの炭焼きなど変化のある作業になりました。食材持参のソメヤンハサケガスキー氏調理のスイトン(メリケン粉の団子汁)に、戦後の食糧難時代のスイトンはこんなええ味はせんかったとのまともな感想や、結構おいしいもん食べてたんやないかと見当違いの感想を言う者もいてわいわいがやがやとスイトンを賞味しました。ソロプチの皆さんの焼ナス、冬瓜のダイエット味噌汁、カボチャの天ぷらも好評で麦茶(?)にあいましたが、重陽の節句に因んで食用菊を取り寄せた風流人(黒川氏)のおかげでいただいた不老(不労とか不良の字の方が適当との意見有り)長寿の薬(菊花を浮かべた日本酒)は応えました。長生き爺さんにあやかって名付けられたオールドパーも飲み過ぎれば不老長寿どころではないみたいな話ですわ。そういえばテネシーの地酒も応えました。こんな話を書くと作業はしているのかと心配する人もいるでしょうが、大丈夫です、みんないい汗流してましたから。
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珍しいハイハマボッスの花(拡大写真) |
整備作業と毎月の活動の結果、至る所で埋土種子が目を覚ましたり、細々と生きていた球根や宿根が動き出しています。森さんがフィールドの隅々まで歩き回って目を光らせ、場合によっては、♪これこれお山のスギノコ〜
てな具合で催促して歩いているのではと疑うほどいろいろなものを見つけ出しています。赤いテープやトラロープを見たら要注意。地味な草ばかりですので、よほどのマニアでない限り採られる心配はないのですが、踏んだり刈ってしまう心配があるのです。日差しの強さや土壌の乾燥、水の流れなどの微妙な環境の変化に対応して植物が目を覚まし、近畿地方で絶滅したと考えられていたハイハマボッスやレッドデーターブック記載植物などが何種類も補足調査で発見され、調査担当者からは充分配慮して工事や作業をするように強い注文が出ています。事業担当のオーチ係長は工程や整備区域の調整が必要で、夢にハイハマボッスが浮かんでくるとわめいています。でも、最近、頭の物が薄くなったという話もあり、フィールドの植物以前に留意すべきものがありそうな気がしますが。幸いにハイハマボッスについては極めて多くの個体が広範囲に生育していることや、種子も採取でき保全が確実に計れそうです。
新しい植物の生育の確認は、整備前に質の高い生態系調査を実施し整備着手後も補足調査をしていることの結果として、自画自賛しています。オーチ係長のように苦しみもしていますが、これらの植物の生育は生態系の豊かだった里山の再生・保全方法としての作業や整備の正しさの証明だと考えています。今後もこうした調査を継続する予定です。
今年のタケとの試合の決着もまだ着いていないのですが、来年のことを考えています!(「大したもんだよ、現状に埋没しとるだけかと思とったら、先のことまで考えるなんて!」というお褒めの言葉が聞こえてきそうです。・・・・そんなことないか。)
手を緩めることのない闇雲な格闘が今年でしたが、来年は少し敵の出方を窺おうかと考えています。タケノコについては徹底的に除去した後、今年と同じように手当たり次第にササタケモドキを刈る場所と夏の終わりに1度だけササタケモドキを刈る部分に分けて翌年の生育の比較をしてはということです。差がそれほどなければ労力を軽減しようと考えたのです。しかし、環境設計の梅原氏の話では、タケは冬でもわずかといえ栄養を蓄えるとのこと。うーん、参ったな。敵ながらあっぱれと言う心境です。もう少し考えます。
※付録 タケを成仏させる焼物作りの燃料に使う話、1名の応募があったのと、私事ですが介護を要する犬が亡くなり、時間の融通がつくのでやります。
前号で視察が相次いでいることをお知らせしましたが、視察の動機もいろいろなこと(本来の視察先の付け足しなど)を忘れて丁寧な対応(?)をしてオーチ殿に注意されることも・・・・。けれど、町長を先頭に見えた近江町の皆さんは具体的なフィールドを念頭においてどうしようかと考えながらの視察でしたから、質問も鋭く悩みに共感することもありました。オーチと私が「わかってる!」と一番感心したのは、お土産が缶ビール1ケースだったことです。「いやぁ、そんなに参加者が多いんだったら、もっと持ってきたら良かったですなぁ。」、近江町の皆さんはさすがです。私は高校時代のマドンナが近江町出身でして、それ以来、近江町に好意を持っているんですが、今回、更に思いを強くしました! それにしても30年以上前の彼女のことが改めて気になります。・・・・脱線。
視察者の中にはサントリーエージングセラー(あなたの呑んでるサントリーウィスキーには、あの山崎や白州以外にも八日市で熟成させた原酒も含まれているんですよ。)内の植生管理についてアドバイスをされている東京農大の濱野先生のように樹木が専門の方も見えました。先生からは樹木について多くのことを教わり、今後の活動に生かせると感謝しています。また、布引丘陵にあるサントリーの森は乾燥した場所の植生、河辺の森は水分の充分にあるところの植生であり、同じ地域の異なる性格の森として対照的に捉えることの面白さを指摘されました。なーるほど。
9月6日にネイチャーセンターの起工式を終え、いよいよ中心施設の建設が始まります。起工式では、別途業者主催で行われた地鎮祭の神主の祝詞をはじめとして、市長、市議会議長、中島県議、自然保護課長、そして遊林会の西沢県議、西村治氏の皆さんからは、通常の形式的な挨拶に留まるところなく、それぞれの期待と心のこもった施設を望む言葉が続きました。
一方、花と緑の推進室にもそれを支える職員の配属が9月1日付でありました。今までも活動に顔を見せていた丸橋君がその職員ですが、厳正な市の職員採用試験(上級職その2)を優秀な成績でパスして採用されました。(今までの遊林会活動参加と採用とは関係ありません。) 当面はネイチャーセンターの展示や運用の計画に力を入れてもらいますが、遊林会の活動にも深く関わってもらおうと考えています。
建築工事担当の建築士、3人目のヒゲ、川合君は7日の夜にアキレス腱を切断したのですが、数日で現場復帰を果たしてくれました。
毎月の作業時に、その時々の作業メニューを選んでもらうようにしていますが、問題点もあります。継続して同じ作業を続け質を高めたい人、定例の活動日以外にも作業をしたい人、そんな人の要求に応えられないことです。たとえば、枯れ木を使ったベンチ作りなんかですが、専門的に技術を極めて作品の質を高めイベントなんかで販売するなどのもう少し積極的に参加したいと思う人の活動を保障できないかということです。いずれネイチャーセンターが完成し職員を配置するようになれば、定例作業日に関わらず道具や機械の貸与、作業場所の提供が可能になり活動を充実できるのですが、そんな時に必要なのはグループ化とまとめ役の方の存在です。充分ではありませんが、現場事務所もあります。必要な方には鍵をお渡しします。炭焼きのように定例作業日以外のグループによる活動を支援したいと思いますので、計画してみてください。
東近江環境保全ネットワークという河を中心に上・中・下流で環境を考える団体が集まった組織が誕生しています。夏に永源寺町でイワナ塩焼き付きの愛知川清掃作業を実施されたのを覚えておられる方もあると思います。次は中流域で河を考える機会を提供するということになるんですが、中流域では遊林会が中心になってやってみましょう。事務局では、11月の11・12日に、いつもの作業やキノコ・愛知川の自然観察会、木片や竹のクラフト、芋煮、焼芋等をしようかと検討しています。他の団体にも参加を呼びかけ、河と山と秋を感じ、自然に感謝できるような催しにしたいものです。丸橋が窓口担当をします。
10月の活動時には詳しい話と当日までの協力者を募りますので、11月には協力と参加をお願いします。
河辺の森の東、愛知川に面した滋賀学園高校の野球場の隣に農地の排水を吸い込む調整池があります。20年前まではここも河辺林の一部でしたが、この池は夏や冬の渇水時にも水は枯れることもなく、最近では大物狙いの魚釣りで賑わっています。調整池ですから流れ込んだ排水を地下浸透させる役割で造られ、もちろんその機能を充分に果たし、豪雨にあふれることもなく、かといって涸れることもなく水をいつも湛えており、愛知川の豊かな地下の流れが露出していると考えています。豪雨で流れ込んだ水は地下の愛知川に運ばれて琵琶湖に、そんなことを考えさせてくれる川合寺町の調整池です。河辺林は地下を流れる愛知川の上に浮かんでいる、普段、水の見えない愛知川ですが、調整池を通して大きさと水量と琵琶湖が見えるようです。
今回は特に多くの方からご支援をいただきました。現金やビール、賄い材料の差入れをいただいています。ありがとうございます。
10月のお昼は新米の芋ご飯と何かにします。ヒラタケやシイタケがそろそろ発生する頃なんですが・・・。