’00年8月号 No.27
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ササダケモドキの繁茂 |
6月の第4水曜日、週日活動の日のことです。前日から梅雨の雨が降り続き、当日の朝も雨、最初は念のために現場に行こうかと考えていたのですが、「市民主役の環境学習推進事業」の書類作成を済ませてしまおうとディスク・ワークに専念していました。電話です。「森の中にいますにゃ、鎌があったらタケの始末ができると言うとんですけど・・・・。」炭焼き名人からです。現場では、雨の中、新人を含む3人の侍がタゲゴン退治の武器を待ちかねておられました。脱帽!
7月の第2土曜日は、台風の襲来が心配される有様で、前日に準備を済ませはしたのですが・・・。行事の度、今まで大雪や台風を呼んできた私ですが、自称晴れ男のオーチさんの勢いの方が強かったようで、当日は一本の問い合わせ電話もない天候となりました。作業では5月からに引き続き、タケとの戦いに主力を注ぐことになりました。タケノコに代えてササタケモドキ状態で来年の敗者復活戦を狙うタケの根に、今年最後(?
詳しい生態が不明でいつ頃まで新しい芽を出すのかわからない)のつもりで攻撃をしかけました。今回は作業効率を高めるため刈払機を導入しました。今後もササの排除などに使用予定ですが、植物を一網打尽的に駆除してしまうことや安全面のこともあり、慎重な対応が必要です。参考までに今年のタケとの戦いを列挙すると、
5月13日 定例活動日、5月24日 週日作業日
南高緑地デザイン科 6月6,17日 各25人
6月10日 定例活動日、6月28日 週日作業日
造林公社刈払機使用 6月29日,7月6日各5人
7月8日 定例活動日
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合歓(ネム)の花 |
これ以外にも子供たちによるタケノコ退治2回や、私の気のついた時の作業もあります。タケの生命力、恐るべしです。
お知らせしていましたように、7月の定例作業日は遊林会活動が3年目に入った記念パーティ(?)でした。材料一式、鉄板、調理道具持参、作務衣姿で参上されたソメヤンハサケガスキー氏自信の焼きぞば、火遊びには強い黒川、片山組の焼き鳥、焼きトウモロコシ、少し多めに用意したほろ苦い麦茶を賄いに、3年目に入ったお祝いのひとときを緑陰で過ごしました。7月の作業は暑いので作業は午前中、午後は麦茶ブレークとすることに昨年からしていますが、今回の午後は気持ち良い風が渡り作業日和でした。来年も4年目を祝いましょう。
前回の仮説についての続きです。明治の始めに発生したアカマツばかりだったのかということですが、「疑問に思っているんやけど、あの森にはアカマツの若い木はなかったんやろか?」、「そりゃな、アカマツは木を伐ったら生えるけんど、育ってしもたらもうアカマツは生えんで、なかったわな。」と、まことに生態学的に正しい答えが返ってきて、仮説の正しさが裏付けられました。もっとも、同じ市内でも扇状地の沖野ヶ原や古琵琶湖層の粘土に覆われた布引丘陵では、土壌の乾燥や痩せ地にあった樹木としてアカマツが更新するように管理され、市の代表的な景観であるアカマツの森が広がっていたわけですので、この森ではアカマツを更新木として求めなかったということになります。
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遊林会現場事務所 |
豆の手にハギを使う話です。ふつう誰でも考えるのはメダケやシノベダケなどの細くて長いタケですが、どうしてハギだったのか理解に苦しみました。改めて聞いてみると、「考えてみぃや、豆の蔓は上の方で何本にも分かれるんで、タケならその分だけ絡む手を用意せんならん、ハギなら上の方が枝分かれしているんで一本でええ。それにハギは軽いしなぁ、どの家でも冬の始めに刈って納屋にしもといたもんや。」ということです。園芸植物としてみた場合でも、ハギは落葉の時期に刈ってしまう習いであり、ハギ自体の生産力を落とすことにならないわけで理にかなった利用方法です。
京都大学生態学研究センターからアジア地域の環境保全に関するエコフロンティアという雑誌が発行されています。市役所の他の課に送付されていたのですが、内容に惹かれて回覧されたのを機に私物化しておりました。4号の目次から拾うと、「アジア・モンスーン気候の中に位置する琵琶湖の環境史」、「川と河辺林」、「二つの長良川河口堰建設反対運動」etc。そんなある日、事務局から電話がありました。なんと、里山保全活動の実践者の立場で座談会に出ないかとの誘いです。身の程も知らず二つ返事で了承したものの他のメンバーはそうそうたる方々ばかり、少々安請け合いを反省した次第です。そうは思っても、約束の日はやって来るわけで心重く出かけた次第です。
気持ちよく帰ってきたのですが、それは自分の責任を果たせたということではなく、「森と景観」(仮題)というテーマでの座談会に出席された皆さんの発言が非常に興味深く、学ぶことが多かったことによる満足からです。要点を書いてみたのですが、紙面の都合で内容をお知らせできないのがとても残念です。
エコフロンティアの次回の発行は10月です。私自身の発言は寂しい限りですが、森を巡る4人の先生のお話には興味が尽きません。発行されましたら、希望者にはコピーをお渡ししようと考えています。
7月より、遊林会に事務局スタッフを置くとともに、河辺いきもの森の正面入り口から入った所に現場事務所を設置しています。事務局スタッフは、当面、夏休み期間に身近な自然に市民の皆さんが親しんでもらえるようなプログラムを計画中です。施設の完成はまだですが、森を使った観察会を実施します。たとえば、早朝に蝉の羽化の観察とラジオ体操といった出勤前に観察会なんてことも思案中のようです。幼少の頃を思い出しますね。現場事務所では地元の自治会長さんに推薦をしていただいたMさんが、訪れる人の案内や森のパトロール、刈払機やナギナタモドキを手に管理に従事されてます。ただし、毎日の勤務ではありませんのでいつでも会えるわけではありませんが、常時、人の目と手が入るということで森の管理面では心強い限りです。いずれの費用も、緊急雇用創出(市民主役の環境学習推進)事業の適用を受けて実施しています。
森の中では、いよいよ今年度の事業が始まります。水辺の森の測量、防火水槽2基の工事、ネイチャーセンターの建設などです。9月には、ネイチャーセンターの常勤職員も採用される予定です。
場所は変わりますが、福祉センター裏の50年森では、昨年、JCの皆さんによってツリーハウスなどの森の遊び場作りがされました。JCとしての関わりが終わり荒れかけていたのですが、今年になって南小の子供達が、僕達の手で遊び場を直そうと言い出し、担任から支援要請がありました。面白いやないかとはせ参じる者が多く、子供達の役割別グループ長として成り行きを楽しんでいるようです。森を舞台に進む授業のこれからが楽しみです。第2、第3の50年森を!
先日、ヘムスロイド村の村松氏を訪ねると突然の提案です。「竹薮に放ったままのタケを整理せんと! 整理したら? うちの窯で竹を使うて焼いたら? 竹で焼いたらどうなるのかわからんけど面白いと思う、竹薮の整理はできるし、258まつりで作品を売ったらいいしさ。」、窯の火の管理は、2昼夜の徹夜になるので及び腰で、「竹はよう燃えるんで温度が上がり過ぎて窯を傷めるかもしれんし、珪素の影響がどうでるかもわからんし・・・・・。」と、極めて消極的に応えているんですが、彼は「窯の傷みなんか心配いらん。そうしとき!」と強引であります。悩んでおります。一部でも野積の竹が処理できればそれはありがたいのですが、窯で焼くには最低4〜5人で40時間程度の作業が必要です。作品の窯入れ等を考えると金曜日から日曜日の夕方くらいまでの日程になりますが、みなさん、どうされますか? やりたいという人は、私まで連絡して下さい。必要な人員が確保できれば実行を考えます。もちろん、実際にやるまでには弟子入りではないですが、彼の作品を焼く窯の火入れにつき合って手順を知る必要があります。
毎回、ビデオカメラを持って森の隅々まで撮影されているのは大西さんです。毎月のテープは当方が預かっています。それとは別に、今回、遊林会の活動を15分ほどの短編に編集されました。幾度かのチェックの後に完成した今回の作品は、遊林会の四期を通じての活動をお知らせするのに最適のものになりました。(映像編集用のパソコンを購入して、格闘されたようです。)図書館の二階の風倒木コーナーに置かしてもらおうと考えています。コーヒー(本格コーヒー100円!!)を召し上がりながら鑑賞されてはいかがでしょうか?
緊急雇用創出事業については市を通して業務を受託しています。前号でNPO化の方向を示しましたが、国の会計検査対象でもあるこの事業の収支について、今までの方式を改めNPO化した場合の監事に当たる人物に金庫番を依頼し、経理のチェック体制を整備することにします。徐々に合議制についても進める予定です。
忘年会や記念パーティと書く度、あの反戦爺の黒瀬さんが、体で参加できんのでとバイクで金一封を持って当室を訪問されます。いつまでも96歳ではないだろうから、ひょっとしたら97歳? ありがとうございます。