’99年12月号

★11月はこんな案配


 森の中は、木の葉も色づき始め虫たちも店じまいをし作業の汗も心地よく、3月頃と共に一番作業の楽しい時期かと思います。約束していましたように、11月の作業は、日本有数のキノコの専門家の横山さんの指導でキノコの観察会でオープンしました。それぞれ森の中でキノコを探そうということになったら、蜘蛛の子を散らすという言葉がありますが、まさにそんな具合で目に入るところには誰もいない状態でした。1時間ほどして参加者が森の中を隅から隅までかけずり回って採取したキノコを、シートの上に広げ、先生に見てもらうわけです。天候の影響もありどれくらいの種類が集まるか心配していたのですが、アリャとかオーとかいうキノコが並べられ、先生の解説を真剣に聞いていました。
 教訓! 食べられキノコの見分け方には、縦に裂けるとかナメクジが食っているとかの俗説のような王道はない。キノコごとに食べられるかどうかを知らなければいけない!
  集まったキノコの中には、1本で何人もの致死量を持つドクツルタケもあり、改めて危険性と隣り合わせの現実を知らされました。きのこ食べたや死ぬのは怖いし・・・・・。昼食には、昨年もたくさん採れたオオイチョウダケとスギヒラタケ、ムラサキシメジをバター炒めにしました。先生は、松林でキノコの観察会をすることが多く建部の森のような雑木林のキノコに観察会で出会うことは少ないそうです。皆さんは、一番関心の高い食べられるキノコを見つけられたでしょうか?
 前回より、雑木林再生の新しい問題として伐採した常緑樹のひこ生えの生命力対策(かつてはいつも下生えを伐っていたので立派な常緑樹の根株は無かった。)をあげていましたが、今回、ガールスカウトの団員が一部のひこ生えを伐りました。いつも通る道の両側ですがさっぱりしましたので、次回の作業では全面的に取り入れる予定です。ひこ生え対策は、毎年ひこ生えを伐って株の生命力を抑えて枯らしてしまうのが、毎年作業が必要だけれども、適当ではないでしょうか。伐った株に除草剤を塗布して枯らしてしまうという方法もあるのですが。

 

★陶芸家村松氏、薪を語る


 せっかく自然が生産してくれた薪の有効利用に悩んでいた現状を救ってくれた湖東町ヘムスロイド村に穴窯を築いている陶芸家の村松氏が、今回は作業に参加してくれました。陶芸と薪の関係を縄文式土器の昔から現代まで解説し、古陶の地肌にこだわる氏らしく、雑木と赤松の薪の違いと雑木の灰の面白さを説いておられました。その後、今回もアラカシを中心に薪づくりに励みましたが、県立大学生に薪割りコーチをしていた御仁がいました。皆様の期待に反して、意外に鮮やかな手つきで学生諸君に見本を示して、口だけではないのだと見物人一同感心する一幕もありました。薪は軽自動車1杯分になりましたよ。
 村松氏から、野焼き(カマを作らないで大きなたき火をしてその中に焼く物を入れて焼く方法)をすれば、小さな枝や枯れて薪にならないような物も使えるからやらないかと提案をされています。縄文式土器の方法ですが、一度やってみたいという誘惑に駆られています。「河辺いきものの森」では、みんなに忘れられてしまっでいますが、木を燃料という面からも注目する方針ですので、こんな試みも取り入れたいですね。

 

★次回は、忘年会?

 昨年の12月には作業を休もうと計画していたのですが、参加者に引きづられる形で実施してしまいました。今年は、11月の作業の際に忘年会をとの声が何人もからあがっていました。こんな話にはすぐにのってしまいます。一生懸命、考えたんです。


作業はもちろんします。おでん種の差し入れ歓迎、大根、ジャガイモは茹でておいていただけるともっと嬉しいです。雨で作業中止ならどうするか? 山田親方は、”おでんは前の日から準備するし、後始末をせんことには・・・・。”と、忘年会だけはするのだという意気込みです。そんなわけで雨の日は、市役所の駐車場にお集まり下さい。どこかで(市役所の車庫や緑町の地下道などとんでもない場所が候補に挙がっています。)やりましょう。帰りの足には要注意。




★炭焼きやキノコのこと

 11月に焼き芋をした炭焼きの結果は・・・・・。当日の主任の珠玖さんの言によれば、最初の焚き付けの火の勢いが弱かったのが炭化しないで竹が残った原因ではないかとのことでした。高い温度で還元状態で焼くことが基本だそうです。転んでもただでは起きないではないのですが、一見、煤竹風になった竹の利用法を、珠玖さんは只今検討中です。
 10月の活動時の炭焼き主任は城さんでしたが、窯を開けた後、菌があまり回っていないと判断して森の中に放置していたヒラタケのほだ木を土に埋め藁をかぶして下さいました。これらのほだ木からは、次から次へとヒラタケが発生しています。多分、12月の活動時にもヒラタケ(シメジとして売られているキノコ)を見ることができるのではないでしょうか。

 

★「河辺いきものの森」情報

 担当者は、事業の進捗が気になって夜明けに目が覚めて眠れないんだと言っていましたが、地権者の皆さんの協力のおかげでようやく工事入札までこぎ着けました。駐車場やネイチャーセンター予定地と進入道路、草原広場の造成工事、いろんな意見の聞こえてくる森林観察デッキの施工業者が決定しました。事業対象区域では木の位置や種類を調査して、可能な限り残す努力をしています。先日も、地権者の方々にこの区域の立ち会いをしていただいたのですが、植えておいた杉は立ち枯れ、竹など無かったところが一面の竹林という予想外の荒れ方に驚かれたようです。森林観察デッキについては、高さ12メートルということで展望台のように感じる方から自然破壊だとの意見を寄せられていますが、この森ではこの高さでは展望は利きません。落葉樹のコナラ、アベマキ、ケヤキなどは20メートルを超えていますし、人の留守の間にのさばった竹どもも高さ15メートル近くに達しており、デッキの眼下にはアラカシの緑の湖が広がって鈴鹿や湖東平野の展望を妨げることでしょう。人に放置された森林の階層構造と植生遷移の現実を視覚に訴え、今後の自然保護の方法を見学者に考えさせる施設として重要視しています。里山の自然に関わってこられた大勢の人から羨ましがられると同時に期待されている施設です。
 それぞれの工事の際には、充分に施工業者に自然への配慮と現場での指示を徹底するように通知していますが、おしかりを受けることも発生するのではと担当はまた夜も眠れないで心配しています。(それにしては、よく酒を飲むなぁ! ・・・・ストレスだそうです。)
 続いて事業で林床管理を今年度に実施するところは、森の周辺に連なる竹林です。間引いて残すところと竹林であることを止めるところがあります。トイレを設置している部分などは後者になります。東と南のいずれの入り口にもある竹林は前者です。間引いて残すところは、来年度以降、タケノコの管理が必要になるでしょう。そうしないと数年で元の鬱蒼とした竹藪になっていまいそうです。来年はタケノコ刈り(モウソウチクではありませんので掘るということにはなりません。)を盛大にしましょう。田楽、煮物・・・・・。

★野間研究室のトラップ設置

 キノコ探しで森に入った方から、丸いネットが仕掛けてあるのはなんだろうと質問が出ています。これは、鳥が運ぶ種子の調査をされている県立大学・野間研究室の仕掛けたトラップです。作業時には1カ所だけでしたが、最終的には条件の違う3カ所に設置される予定です。何にも入ってないとさびしいだろうからといろんな物を入れたりしないで下さい。森の植生が異なると運ばれてくる種子が違うのかどうかの研究だと聞いています。

★活動を紹介しました

 滋賀総研の主催する第1回の総研サロン「里山を活かした交流空間の創造」が、11/24に開かれました。話題提供は、栗東町の「こんぜ桃源郷」で他地域との交流活動をされている澤さんからで、自然の保全と交流のどちらに重きを置くかによって、少し遊林会とスタンスは異なりましたが、共に里山を活動の場にして活かそうという目的は共通です。こちらの活動も紹介して、今後、交流をしないかという話になりましたよ。
 京都新聞八幡支局では、文化振興と情報交換・交流を目的に「湖灯塾」という講演会を開いておられます。この度、当方にお呼びがかかり、皆様に連絡するのは恥ずかしくそーっと出かけたんです。少ない聴取者の中に例の県会議員夫妻の顔が見えており、少し肴にしてしまったのですが・・・・・。京都新聞様、ありがとうございました。2回も顔写真入りで記事にして活動を紹介していただけると同時に活動資金を下さいました。12月の忘年会はお任せ下さい!
 今、あらゆるところで里山に関して話題になることが多いようです。私達の活動は昨年始めたばかりですが、それでも実際の活動をしている団体が少なく注目されつつあります。楽しく食事をする事を含めて継続した活動の質で応えていきたいと思います。次回は忘年会です!

★ビデオを見たい人へ

 大西さんがいつもビデオ撮影をされていますが、テロップや音楽をを入れたりして、さすがという作品になっています。問題は、少し私の登場が多いと言うことですが、見たい方は、花と緑の推進室まで。


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