’99年11月号

★10月、作業日の報告

 9月の蒸し暑さと比べると、随分、作業日和でしたが、依然、”カ”どもは勢力を保っており虫除けスプレーや香取線香が必需品でした。今回は、若者が少なかったのですが、京都から大学生二人がバイクで参加してくれたり、他町からの女性や地元の方の参加が増えて約40人の参加者があり、毎回40人体制になってきたようです。ちなみに昨年の今頃は20人でした。
 毎回いくつもの作業を用意していますが、従事者がなかったり少ない作業があります。今回は、竹炭焼きがそうでした。今回の担当の城さんは、本で焼く温度や竹の乾燥具合などを調べて研究熱心(淡海生涯学習カレッジ受講のために欠席されている森(昭)さんや珠玖さんもそうですが・・・)なのにびっくりしてしまいます。一番希望者が多いと思ったのですが、みなさん伐採や伐採後の後始末のハードな作業を選択されましたので、某県会議員殿だけが手元を手伝っておりました。わからんものです。午後の薪づくりは、山口さんが扱い慣れたチェンソーでばりばりこなして下さいました。賄い班は、最近ではソロプチストの方々の活躍の場で、今回の栗ご飯の炊きあがりはさすがというレベルでした。(いつも炭化したお焦げができて後始末に泣いていたんです。)今回の作業で、もうひとつ堆肥を作るための囲いができ、合計4個になりました。前回ササを刈った部分では、従事者で考えて残す木を選びながら不要木の伐採を進めました。以前は、少ない面積で集中して作業していましたので結果がすぐに見えたのですが、作業エリアが広がってくるとなかなか全体の作業による結果を見渡せなくなってきました。幸いに、ビデオ記録係の大西さんが作業の様々な場を丁寧に記録されていますので、森のあちこちの変化の記録が残されているかと思うと一安心です。

 森の生産力は予想以上に大きく、春には整理後のすがすがしい姿を見せていた林床も、ひと夏を経て切り株からひこ生えがすさまじい勢いで成長して、一面、緑の有様で春の姿を想像できないような状態です。ドングリの実生から成長したコナラは、ひと夏を経ても数枚の葉を着けて高さ20センチ前後に過ぎませんが、切り株から発生した新芽は1メートル近くにも成長し葉の数も比べものになりません。薪炭林の生産性の面から、萌芽更新の優位性を身をもって語りかけています。この冬には、冬にも葉を落とさない常緑のひこ生えを処理する作業を計画して、再度、すがすがしい春を迎えたいと考えています。


★ギンリョウソウが発生?

 林床の植物の写真を撮影していた井田さんからお呼びがあって現場に行ってみると、怪しき植物があるではありませんか。葉緑素を持たない半透明の白いガラス細工のような植物、ギンリョウソウのようなのですが、発生する時期が初夏頃のそれとは違っているし、そうかといって少し似たナンバンギセルとは違うようだし、近くに寄生するススキもないし・・・・・。最初は狂い咲きのギンリョウソウだろうと考えましたが、念のために詳細な図鑑を調べてみると8〜10月に咲くアキノギンリョウソウという植物があり、果実等を詳しく調べなければ同定できませんが、多分そうだろうという結論に達しました。以前の森を知る灰谷さんに聞いてみると、春にも見たことがあるとのことですので、普通のギンリョウソウもあるようです。いずれの植物も調査リストには該当がありません。

★次回は、キノコの観察会

 前回お知らせしたように11月は、水口子供の森の横山さんをお迎えしてキノコの観察会を実施します。キノコというと、名前よりも食べられるか否かしか問題でない人ばかりでしょうが、その辺のことにも大変お詳しい方です。この際キノコに関する疑問を解決しようという方にとっては、良い機会です。作業の前に手分けして森のキノコを採取して教えてもらいましょう。当然、昼食には食菌をいただきます。なお、マッタケ等の提供も心苦しくありませんので、差入れをしていただいても結構です。





★「河辺いきものの森」情報


ツルニンジンの花

 するぞするぞと言っているばかりで少しも変わらない建部の森にも、もうすぐ私たちの活動以外に造成や森林整備の工事が始まる予定です。ネイチャーセンターや広場の造成は現在、活動している所の東側です。私たちが、自然を慈しむように活動している横で、限られたエリア(進入路、広場、ネイチャセンター部分)ですが重機が森の破壊者のように振る舞う姿に心痛む方も多いのではと心配しています。森林整備についても、あんなに多くの人と金をつぎ込んでできるのなら、自分達の活動は何なんだと疑問を持たれる方もあるだろうと考えてしまいます。行政にできるのは一時の粗作業だけで、森を活かす継続した細やかな作業は期待できません。遊林会の継続した活動がなければ、”前に一度森の掃除をしよったなぁ”ということにしかならないでしょう。例えば、竹林の整備をしても来年の春にタケノコの利用や処分をする者がなければということを考えていただければ想像できると思います。昨年作業をしたところでも、アラカシやアオキ、ヤマハゼなどの萌芽が、去年なんかしたのかいというばかりに元気です。遊林会の活動が保証されてこそ行政は森を整備することができるのです。(この辺りは、花と緑の推進室の職員として語ってしまっています。)
 造成は、竹藪の除去という形で進められますが、事前に樹木の調査をしており、主だった木をリストアップして残す形で設計しています。建物については、樹木に対するダメージが一番少ないと考えられる場所に配置していますが、全く自然の破壊がないわけではありません。しかし、より多くの人々、特に子供達が自然を体験し、本当の意味での自然を理解しその重要性を体で感じるための仕掛けとして考えています。
 遊林会の食事や子供たちの工作のできる作業小屋も建設を予定しています。

★258まつり参加

 昨年の258まつりでも、遊林会は、市役所の正面玄関の前でパネル展示や遊林会グッズの販売をしていました。今年も何かを考えています。焼き鳥という話もありますし、・・・・。とりあえず、今年も活動のPRはします。昨年と同じ所-----市役所の正面(県事務所側)玄関-----でやってます。立ち寄りや、お手伝いをお待ちしています。来年は遊林会グッズの充実をしたいですね。  

★県立大学、野間研究室の学生、八日市の河辺林へ

 8月の作業報告でお知らせしました県立大学の野間さんが、研究室の学生諸君をフィールド調査に連れてこられました。10月5日のことです。他の愛知川の川辺林にも足を延ばしましたが、他の地域の予想以上の荒廃に驚くばかりでした。地元の保護活動が立ち上がっていると思っていた地域でも目も当てられないような有様で、アネモネの仲間のキクザキイチゲやイチリンソウの今後が案じられます。県立大学の学生諸君については、自分の調査地域にしようというような動きもあるようです。期待するとともに支援もしたいと考えています。  

★川辺いきものの森のマスコットを

 「川辺いきものの森」では、親しみやすいマスコット・キャラクターを考え始めました。森林性の可愛いアカネズミ、フクロウ、ケヤキの頑固オヤジなどを考えています。しかし、かつてはフクロウの住んでいた木もありましたが今は通い中ですし、ケヤキもこの森一番の大木は昨年の台風で倒れてしまい、共に誇大広告になりかねないなぁという気もします。いいアイデァがあれば提案をお待ちしています。  

★その他

 10月23日の土曜日に八日市県事務所管内の緑の少年団の交流会があり、大勢の子供たちがドングリ拾いにやって来ました。アベマキの大きなドングリを目を輝かせて拾っていました。あの年頃、森でドングリを拾ってヤジロベェーやコマを作って遊んだ日々を懐かしく思い出す人も多いのではないでしょうか。私の場合は、秋にドングリを拾って開拓農家の庭先のあちこちに埋めていましたので、母が春はドングリの芽吹いたのを抜いて歩くのが仕事だった言っていたことを思い出しました。子供の頃、あのつやつやして大きなドングリは宝物でしたね。  次回、11月にはガールスカウトの団員が参加します。また、ドングリやキノコに目を輝かせる子供たちの顔が見られることと思います。  

★多くの人からカンパを戴いています

 様々な形で多くの人から活動の都度、心遣いを戴いています。Mさん、Tさんをはじめとしてありがとうございます。


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