河辺林通信−−−建部北町の森から ’99年6月号

★5月のお昼は?

 森は新緑の盛りです。梢では残された木々の柔らかい緑の葉がすっかり空を覆い、4月まで降り注いでいた陽の光も今では木漏れ日となって柔らかい日差しです。そんな様子を思い浮かべると、いつもの森のベンチでのんびりしていたいなという気がしてしまいます。
 今回は、前回任命した板長が拠ん所ない事情で欠席してしまいました。中村氏も所用のために休むということでしたので、誰に押しつけようかと悩んでいると、孝行息子の北川氏がご母堂を連れて来られました。万歳! 早速お願いして賄い方を、ご令息には火の番を務めてもらいました。(時々、竹の節を抜かないで燃やしていたので爆発音がしていました。)今回のメニューは、タケノコと餃子の入ったすいとん(小麦粉の団子入りのナベ)です。ついでに差し入れのあったモウソウダケのタケノコの煮付けも鮮やかに完成されました。ありがとうございました。
 すいとんとおにぎりの昼食に、今回はカントリーミュジックのバンド付きでした。ポークビーンズの方が似合いますなぁ。大人どもは食べるのと飲むのに忙しくあまり反応がないので、バンドの連中はガールスカウトの一角へ! こちらは拍手も盛大で気をよくしていました。ライブ付の食事だったんですが!彼らは、
 

”『森からの贈りもの』〜Forest Message〜
ネイチャーライブ 6月6日(日)午後1時開場
八日市文芸会館にて”

の宣伝にやってきた青年会議所のメンバーです。もうすぐ五十年森を題材にした絵本やCDもできます。版下を見ましたが楽しいものでした。遊林会の活動と目的を同じくする彼らの活動に、エールを送りたい思います。
 次回は、タケノコご飯に挑戦の予定です。昔の釜で炊いてみたいと考えています。味付名人、飯炊名人を募集します。火吹き竹がいるかな? 

★ガールスカウト、2回目の参加

 前回は、北小の児童、4月25日の日曜日には青年会議所の主催する「森のトムソーヤ教室」の子供達、今回はガールスカウトの団員がやって来ました。春を迎えた林床では、あちこちでアベマキやコナラのドングリの実生が芽を吹いています。このままでは作業時に踏まれたり下草刈りの際に刈られてしまうことになり、残す手だてを考えていました。今回、ガールスカウトの団員たちが、ドングリの実生を探して赤いペンキを塗った竹の目印を打ち込んでくれました。目印を付けてもすべての苗が残るわけでもありません。今後の成長や淘汰を継続して観察するように提案しています。その内の一本でも現在のアベマキやコナラの更新木となればと思っています。毎年、春に繰り返したい作業です。

★こんな作業もしています!

 毎回、何カ所かに分かれてそれぞれの作業を実施していますが、懸口井(カケグチノユ)と呼ばれた今は水の流れていない河床を掘る一団がいます。市役所の青年部の連中です。最初は、穴掘りのスコップで、今回は穴を広げて人が入れる大きさにして1メートル半まで掘り進みましたが、まだ水は出ません。ここまできた以上、意地でも何とか水が出るまで掘り進むのだと作戦を練り直すそうです。掘った土を上げるための滑車や壁が崩れないように枠をすること、参加者を増やすことのようです。上流のボーリング調査では、河床から2mのくらいの所まで水が湧いていましたのでもうすぐなのでしょうか? 水が出ると飲み水は別としても汚れた食器の片づけなどに助かります。たのむで!

★永い眠りから覚めたのか?

 昨年に林床管理作業を実施して明るくなった林床では、春を迎えてドングリの実生以外にも、今まであまり目立たなかった植物が芽を出し始めたようです。球根で細々と生き延びていたカンゾウやユリの仲間、長い間土の中で出番を待っていたキクの仲間などです。カンゾウは昨年に作業を終えた林床で何カ所か緑の絨毯のように新芽を出しています。(4月に少しをあえ物にして食べましたが、砂糖を入れたように甘かったですね。実家が醤油屋だった珠玖さんが、かつては醤油の味に深みを出すためにカンゾウの干したのを購入していた話をされていました。・・・余談) 何とか生きていた球根や種(埋蔵種子といいます。)が活躍を始めたのでしょうか。来年の春には、モチツツジの花やグミの実もなるようになるのではと楽しみにしています。作業の合間に森の様子を目に留めておきましょう。これからの変化を新鮮に感じることができますよ。今は見えないけれど、生存条件が整えば蘇る球根や種が、薄暗い森の土には隠されていますよ。

★雑木の薪が穴窯の燃料に

 作業で伐採した木の利用ができずに、堆肥囲いの中に入れたり積んだままになったりしており、有効な利用方法がないかと考えていました。
 湖東町のヘムスロイド村(陶芸、鋳物、ガラス、木工等の芸術家の工房が集まった村)に、焼成時の作品の変化を求めて(登り窯の子分の)穴窯を造っている陶芸家がいます。燃料には、当然、火力の大きい松割木を使用するのだろうと話したら、かつての焼物は松ではなくて雑木を燃料に使用していたそうで、その方が変化が面白いように思うとのことでした。彼は、私が思うに「売らない陶芸家!」です。私が見て欲しくなるような良いものができると、飽き足らなくなって他の作風にうつってしまいます。だから私が見るに、彼は定番になる作品があったにもかかわらず売れる定番の作品を作りません。未だ作品を追求する作家で、「生活に困ったら親子3人やっかいになるから頼むよ。又、カァチャンに怒られるな。」が口癖です。でも、穴窯での焼成を目指しての試作の品は、そろそろ終着点かなと思える枯れた自然釉の品(現時点では穴窯で焼成していないので自然釉風の作品)です。くすねたぐい飲みは、古陶を感じさせる逸品です。
 彼の紹介が本意ではありません。(遊林会の参加者にも私の好きな作品を焼いておられる奥川さんがおられます。作品は、図書館の2階の喫茶コーナーにあります。奥川さんのカップを指定して100円で飲めますよ。) 林床管理作業で発生した不要の雑木を薪にして森の外へ運び出し、穴窯の燃料に提供する。見返りにそれように作ってもらった作品を受け取る。バーター取引を頼みました。「いいよ!」の一言で受けてもらえました。遊林会グッズとして、賛助会員の方に進呈する、もしくは活動資金のために販売するというのはどうでしょう。不要で伐採した木ですが、燃料として役に立つのであれば木にとっても本望と思います。林床管理作業で伐採した雑木が焼物に姿を変える! それが遊林会の継続の力になる。うまく行って欲しい話です。以上のようなわけで、作業の中で、不要木の有効な処理方法として薪づくりに励みたいと考えています。

★ほんまかいな?

 5月8日の作業の参加者は、ガールスカウトを別にして約30人、前2回と比べると少し少ない人数でしたが、年齢や性別については、女性の参加も多く20代から70代までいつものようにバラエティにとんでいました。毎回、新しい仲間も増えています。それでも、もう少し毎回新しい仲間が増えればと欲張っています。北川氏がいかにも頼もしそうに、「若い女の子を増やすわ。そうすりゃ黙ってても人は増えるわ。任しといて」と言ってます。嬉しくて信じたくなる話です! 期待していましょう。介護保険の導入について飛び回る策士には、妙案があるのでしょう。皆さん、信じましょう。

★大凧まつりには、花と緑のブースへ

 5月の第4日曜(今年は23日)は、「大凧まつり」です。花と緑の推進室では、緑化推進の一環として、毎年ブースを設けています。こんな風に言うと大層ですが、実際は顔見知りの皆さんを捕まえてのコミュニケーションの場と心得ております。無料ゲストハウスと心得ておられる方も多く、それなりのにぎわいです。焼き肉とビールも用意しています。完璧に焼けた竹炭の押しつけ販売もして「遊林会」のPRもするつもりです。遊林会員の販売員としての参加も歓迎します。「大凧まつり」にお出かけの際には、花と緑のブースを探して下さい。いずれは、ミニ観察会などを実施して河辺林への誘いの機会としたいと考えています。皆様のお越しをお待ちしています。

★6月の作業は、1周年記念だけど

 昨年、6月の雨の日に5人で始めた作業も1年目を迎えます。真夏には手を抜こうとしたけれど皆さんの声援で8月には朝7時から実施したことや、12月や1月は休もうと考えたのに参加者の”次はぜんざいにしようとか雑煮にしよう”との声に押されて休めなかったおかげで、毎月、作業が実施できました。振り返って考えるに、つくづく参加者に引っ張られての継続だったなぁと言う気がします。1年が経過しましたが、作業プログラムはまだまだこれから試行錯誤の中で充実していく状態だと考えています。今回は、野鳥の会の外村さんにお願いして、小鳥の鳴き声の観察会を取り入れました。これからも新しい作業や観察会を取り入れて行く予定です。希望があれば連絡を願います。1周年記念の野外パーティ(?)は、熱くて作業ができなくなる頃にどうかと考えています。

★次回の作業は

 6月には、ハチクのタケノコが発生しているはずです。竹の駆除を兼ねてのタケノコ掘りも計画しています。タケノコ田楽はどうでしょうか。(地元の方には竹林の拡大を防ぐためにタケノコを採ると話していますが、不必要な誤解を防ぐために遊林会の作業日以外には採取しないで下さい。) 作業をするとなぜか作業の方向が左側にふれてしまいますが、6月には元に戻して竹林を目指して奥へ進みましょう。その他には、薪づくり、竹炭焼き、井戸掘りなどを予定しています。雨が心配ですが多くの方の参加をお待ちしています。

※注意 いつもの駐車スペースが排水路工事のために使用できません。東側の鉄工所周辺に駐車をお願いします。


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