河辺林通信−−−建部北町の森から  ’99年3月号

★2月の定例作業はどうなったのでしょう

 2月13日は、心配していたとおり2回目の本格的な積雪になってしまいました。雪のために昼頃まで家から出ることができなかった人も多かったと思います。それでも問い合わせの電話が数件ありましたが、「中止やろう?」との問い合わせではなく「やるんやろう?」との確認でした。森の中は15p程度の積雪でしたので、作業はできませんでしたが、新雪におおわれた森のハイキングと自然観察会のために合計7名の子供の心を持った大人が集まりました!

★自然観察会では何を観察したのでしょう?


下から上に続く足跡が見えるでしょうか?
(新雪時の写真で無いので不鮮明)

 まずは雪の中を通い慣れた森の小径を歩いて、いつもの場所へ向かいました。途中でけものの足跡を発見、犬(種類によっては後者もあります。)は縦に2列の足跡が残りますが確認すると1列でしたので、まず、狐か狸と考えられます。
 彼らは、前足を進行方向に向かって直線上に交互に踏み出し、前足でできた足跡に後足をのせていく歩き方をします。巣穴の見当をつけて探してみると足跡の続いている(→この個体は少しずぼらのようです?)使用中の穴が見つかりました。少し無遠慮に巣穴に近づき過ぎて、驚かせてしまったかなと後で反省しています。人間がやって来たので心配になって、今頃引っ越しの準備をしているかも知れません。
 巣穴の観察を終えて先に進んだつもりが自分達の足跡に遭遇−−−同じ所を回ってしまっていた! 山岳用語では、リングワンデルング、この辺の言葉で言うとキツネに化かされたということでしょうか? 狭い森ですが、私は何回も同じような経験がありますし、地元の方からも同様な話を何回か聞いています。平地の藪で太陽の光が届いていない時には特に迷いやすいようです。そんな条件にぴったりの森と天候でした。
 今回の観察会では、ウサギの足跡を見つけようとしたのですが、確信の持てるものは見つかりませんでした。4年前の春には糞や食痕を見つけるのはたやすかったのですが、それから1年半後にはかなり難しくなってしまっていました。今、他の森との連続が断たれた河辺林では、よそから入ってくることもできず、キツネの餌食になって絶滅したのでは想像しています。
 森の西南の端にあるケヤキが多い「ケヤキの林」予定地に行ってみてびっくり。何本ものケヤキが伐採地に倒れてしまい、ケヤキが少なくなっていたことに今頃気が付きました。また、伐採地には他から土が運び込まれたために、森にはなかったセイタカアワダチソウがはびこっていたのですが、隣の森から竹が進入しているのを発見しました。数年後には竹林になってしまいそうです。改めて竹の生命力に脱帽ですが、指をくわえて見逃しはしないぞ! 今年は、タケノコを折って倒して、残りは焼いて食ってしまうぞ!
 それ以外に、今回の観察会ではこの森で確認できていなかったクスノキとクロガネモチの大きな木を発見しました。きっちり調査したつもりですが、落ちはあるものだということとまだまだ新しい木が発見できる可能性が多いようです。

★3月の作業予定や独り言

 2月の作業の前日に、小梶さんから冷凍のしし肉を差し入れしてもらいました。作業はできないだろうと読んでいましたので、そのまま冷凍庫に保存しました。かくして、3月の作業の際には味噌仕立てのボタン鍋が食べられそうです。これでゴボウが手に入れば言うこと無いのですが!
 3月には、キノコの菌打ち、竹林との格闘、竹炭焼き、落葉かき、踏んではいけない植物のマーキング等々、あれもしたいこれもしたいと作業内容が目白押しです。そうそう、トイレの設置も実施しないと・・・・・。こんなにできるのかいなと疑問もあるのですが、参加者の人数と力量に合わせてその時に考えましょう。確実なのは、ボタン鍋で・・・・ということです。キノコの菌打ちの関係で、今回は雨天の場合、翌日の14日(日)に順延します。よろしく!
 間に合えば、3月の作業ではヘルメットを皆さんにお渡ししたいと考えています。毎回、こちらで用意するのもかさばって大変ですから、皆さんで保管して参加するときに持参していただければと考えています。役所の言葉で「貸与」ということになります。ヘルメットなんて、なんかたいそうやなぁという声もありそうですが、安全のためと仲間の証として考えて下さい。そろいのヘルメット、おしゃれじゃないですか!場外から、学生時代を思い出すなぁと言う声も聞こえてきそうです。学生時代とヘルメット、今では、理解を超えた組み合わせでしょうが・・・・。

 16日に写真を撮るために森に入りましたが、4日前にあれだけ積もった雪も田畑や人家近くではすっかり消えてしまいましたし、森の中でもほとんど解けてしまっていました。春がそこまでやって来ているなぁ、野外での活動がますます楽しくなる季節が近いなぁという気持ちでいっぱいになりました。写真は、雪の中で見つけたシャシャンボの新しい葉っぱです。ベニカナメのような鮮やかな紅色です。作業をしている場所の境界でこの森には少ないヤブツバキの木を見つけました。色づき始めたつぼみを着けていましたので、次回の作業時には咲いていることでしょう。

それでは、3月にいつもの場所で、少し早い春を楽しみましょう!


河辺林通信−−−建部北町の森から ’99年3月号



「里山シンポジウム」のお知らせ

 ご存じの方も多いかと思いますが、赤目四十八滝で知られている三重県名張市の「赤目の里山」での活動は、私たちの活動の大先輩にあたります。この度、下記の要領でシンポジウムが開かれます。講演される森山弘氏には、2年前に八日市で開催した「河辺林シンポジウム」にパネリストとして参加していただきました。名張までは、柘植経由で名阪国道を使えばゆっくり走っても2時間までで行けます。興味があれば参加して下さい。
日 時 99年3月7日(日) 午後1時から4時まで(開場12時半)
場 所 名張市総合福祉センター「ふれあい」 近鉄名張駅 歩5分
参加費 無料
内容 講演「自然を守るとはどういうことか」
農業技術研究所 森山 弘 先生
シンポジウム
パネラー 前大阪市立自然史博物館館長 宮武 頼夫 先生
名張みどりと生き物の会 加納 康嗣
赤目の里山を育てる会 伊井野 雄二
       


 3月6日、午後1時より赤目の里山を森山先生と歩く自然観察会も実施されます。午後1時近鉄赤目駅口集合です。いずれも、申し込み不要です。

質問があれば TEL0595−64−0051 エコリゾート赤目の森まで

参加しようとの声が多ければ、ワゴン等の配車も考えます。


(この文は、当室に赤目の里山を育てる会から送付された案内より抜粋しました。)


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