'07年1号 No.104

☆2007年を迎えて

   遊林会の活動も2007年には10年目に入ります。「継続は力なり」をモットーにして来た遊林会の一区切りの年です。振り返って思い出すのは1月の作業時に擦れ違った木登名人こと若吉保一氏の姿です。「朝に道を聞かば、夕に死すも可なり」を地でいく出来事でした。遊林会に関わる者の多くが、生きてきた時間より残された時間の方が少ないと思われますが、限られた時間、氏の如くに楽しみ地球や社会によい生き方をしたいものです。遊林会の活動は、常に皆様のそのための活動でありたいものです。


紅葉の観察会

 

☆作業日あれこれ

    2006年最後の第2土曜日は残念ながら雨でした。何も施設がなかった頃は晴れの日が続き、幸運を感謝したのものですが、雨でも苦労する事の無くなった最近はかえって雨が多いなと思います。この日は午後は忘年会に備え、三平モドキに乗せていってもらおうと電話をしたのですが、圏外のコールです。仕方がないのでクマはポケットにスキットルを偲ばせて自転車で森に…。タイヤの小さな自転車は、変速機がついていてもこぐのは大変です。雨の中、そこまでして飲まなくても良いだろうというのが常識でしょうが、そこが酒好きな人間の性です。実は三平モドキは早くに出勤して観察会の資料作りをしていたのですが、それを聞いたクマは、ネイチャー・センターで圏外になるような会社の電話は辞めてしまえと悪態をついてしまいました(反省)。
 その三平モドキの観察会からですが、紅葉(黄葉)の仕組みについて。葉には緑色で光合成に必要なクロロフィルと黄色のカロチノイド、生体防御のためのタンニンが含まれていますが、普段は緑色が勝っているので葉の色は緑色です。黄葉するためには何が必要か。まず冷え込みだそうです。これにより木の葉は養分を木本体とやりとりする事を遮断して落葉の準備を開始し、その後、クロロフィルが破壊されて残された黄色のカロチノイドの色が出て黄葉します。次に紅葉する葉ですが、そのためには8度以下の冷え込みと充分な日の光が必要です。光合成で形成された糖が木本体とは遮断されているので葉の中で赤い色のアントキアンに変化するのです。次に茶色あるいは褐色の葉ですが、これに必要なのは夜と昼の温度差でタンニンだけが破壊されずに残ってこれらの色を出すのです。雨のため作業小屋で話を聞いた後、モミジの林に少し遅れた紅葉を見に出かける途中、真冬の林床でのみ飛び交うフユシャクガ(冬尺蛾)の仲間の観察です。この蛾は飛ぶのはオスだけでメスは羽が退化し飛べません。また、オス、メスとも口がなく成虫になると餌を採りません。オスは林床を這うメスを求めて飛び回り、メスは飛ばずにひたすら生殖のためだけにエネルギーを使うという厳しい冬の環境に適合した種類です。オスの姿に結婚前のフトン屋を見るようだとの声が…大笑いでした。


カンパ〜イ

   12月の作業は午前中だけなのですが、雨のために大幅に予定を変更。野外作業を中止して忘年会に備える体制です。シェルターの下では、誰がどの作業に従事しているかを知らせる竹製の名札作りです。
 炭焼窯周辺では、名人を中心に販売用竹酢液の瓶詰作業です。窯については、次回の作業で竹チップの焼成を依頼されていますので窯詰めは無し。名人は、多くの人に囲まれて、今日は楽やったとご満悦でした。
 その横では大先生が忘年会に火がないのは寂しいと雨で濡れたファイァー・サークルで定番のない陶芸家連を助っ人に火おこしです。雨の中でも焚き火が燃えて盛り上がります。

 お昼は作業小屋で餅つき開始。つき手は力自慢のヘムスロイド村御一行様、取り巻く野次馬から拍手喝采を浴びながらの餅つきです。途中は、つき手初体験の若い女性や中学生も交え、和やかな雰囲気の内に終了、つき上がれば、女性陣総出で、おろし、あんころ、きな粉各餅に加工。例年、三平モドキとヘムスロイド村突撃隊長とどちらが数を食べるか話題になるのですが、定年間近の突撃隊長が30個をぺろりと平らげ断トツです。午後は森守堂で囲炉裏を囲んでの延長戦、ビデオ鑑賞、クリスマス・コンサートに飾る大きなツリー作りなど、それぞれが楽しみながら時間が過ぎていました。このところノン・アルコール・ビールをお召しになる大先生、お昼寝タイムを返上して、ビデオを熱心に鑑賞です。囲炉裏端の仕切り役は元青年部長、ホームページには楽しそうに語らう面々の姿がアップされています。”雨の作業日、また楽しからずや”です。

   第4水曜日の活動は年末のため1週繰り上げ第3水曜日に行いました。参加者は20名余りあって最近では平日の活動日が盛り上がりを見せています。18年本当の最後の活動は、肌寒い空気の中を2班に分かれて始まりました。ひとつは、炭焼窯に県から依頼された竹のチップを詰める作業です。これは竹林を整備して出た竹を粉々に砕いた後に炭に焼き、出来た物を播いて堤防の草の生育を抑えるという実験です。このため窯にチップを入れる段階でどの位の量が減るのか調べるため重さを量りながらの詰め込みです。初めての試みと燃えやすい物である事から注意をしながら入れて400kg。出来上がりが楽しみです。もうひとつの作業は、最近発見されたナラ枯れの木の処分です。森の真ん中にある小屋の裏に立ち枯れ状態の木を発見したのです。早期対応で少しでも広がりを食い止めようと伐って薪に割ります。(続きは後段で詳しく…)食は、エビ大根、遊林会名物炊き込みご飯、味噌汁、白菜と豚の煮たもの、天ぷら5品をいただきました。本来なら美味しい食事をあてに午後からは忘年会モードのはずですが、薪割りの続きと伐った木の枝葉をチッパーにかけてナラ枯れ対策に万全を期しました。また、草原広場でも草刈りをおこない充実した午後の活動になりました。

 1月24日(水) 第四水曜日 森の居酒屋は1月10日 午後7時頃〜
1月13日(第2土曜) 午前9時(遅刻可)より 作業開始
主 催 者 : 遊 林 会

連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@po.bcap.co.jp

☆河辺いきものの森スタッフルーム情報

     こだわりを持つ事がこだわりの様なマルは、秋の繁忙期が終わるのを待つやいなやデジタルカメラ欲しい欲しい病が発病し、うん十万円の一眼レフのカメラとレンズ2本をご購入しました。もともとアナログカメラでも散財しているマルはデジカメでも欲望にブレーキが効かず某カメラ屋の上客です。カメラを手に入れると早速に試運転のため休みの日に誰かさんをモデルに撮影会を敢行しています。昼休みの休憩時間もカメラと重い三脚を担いで森に出かけます。いつまで続くのか楽しみです。せっかくの機会ですのでプロ級の機材で写真を撮って欲しい人はひと声かけて下さい。腕の方はプロ級かどうかは保証できませんがそれなりに撮れるはずです。カメラを手に入れたからには通信やホームページ用の写真が充実するはずです。結果を期待していて下さい。スタッフの間では「先にデジタルカメラを購入されたデジカメマニアが次はいつ購入するか」でもちきりです。確か既に6、7台お持ちだとか…。日進月歩の日本の技術革新を実機で確かめ続ける奇特なスタッフの面々です。     

☆森のクリスマスコンサート

     毎回コンサートでは告知の遅さがネックになって皆様にご迷惑をかけています。それでも楽しみにしていただいている方は大勢いてくださって満員の聴衆をお迎えしておこなう事ができました。今回は初めてホルンも加わって音の厚みも増し、いつもと違った感じでモーツァルトやベートーベン、クリスマスソングを楽しみました。参加されたみなさんは素晴らしい演奏を堪能された事と思います。  ところで常連様ならご存知ですが、コンサートの終盤には毎回プロの音楽家の皆さんにあわせて手づくりの楽器やおもちゃの楽器で森のスタッフが協演するのが恒例になっていて毎回スッタフには緊張が走ります。いつもコンサートの仕切りをお願いしているセンチュリーの清水さんから今回は鈴での伴奏を依頼されたので、共演者の3名を厳正なるクジで選びました。当日は練習で早く来られた清水さんに相談すると「森のスタッフで一番新人の課長さんひとりにやってもらおう」と決断がされました。さすがに音楽家は体育会系です。クジ順も年齢も関係なく有無も言わせず、鶴の一声で決まりました。かくして古川課長ひとりで出演する事ととなりました。次は来春(5月下旬)の予定です。お楽しみに。    

☆恐れていたナラ枯れ発見、反撃を!

     12月最後の作業日に立ち枯れていたコナラを伐採し、三平モドキが幹の中を調べると5ミリ足らずの昆虫・カシノナガキクイムシが見つかりました。このことにより、この立ち枯れは、この昆虫が育てる菌類によるもの、南下を恐れていたナラ枯れである可能性が極めて大きくなりました。多分、来年にはこの地域の多くの雑木林では、コナラやクリが夏に枯れた姿をさらすことでしょう。(枯れるのは、ミズナラ、コナラ、クリ、ブナなど) 有効な対策は人海戦術しかなく、事実上、この地域への蔓延を防ぐことはできないでしょう。しかし、この森は別です。老木の伐採と萌芽による若い幹への更新や、昆虫が入り込んだ形跡を見つけ出して穴を詰めるなどの対策を講じることにより被害を最小限に抑えるつもりをしています。年明けから3ヶ月間、コナラを伐ることになりますが、面として伐らないと萌芽しても他の木に被圧されて育ちませんので、守るエリアを決めてコナラ以外の木も伐らなければなりません。6月末から7月初めには、残されたコナラの幹のチェックと開けた穴の詰め栓をすれば有効だと考えられます。この記事を読まれた方の多くの応援をお願いします。多分、県内における初めての反撃作戦になるだろうと思われます。    

☆1月の作業日、午後は新年会か?

     ナラ枯れを発見した今ではこんなことも言ってられないかもしれませんが、今年も熱意を持って、でも楽しくやりましょう。1月は、雑煮です。鏡餅の持ち寄りを期待しています。    
   容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!

発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
遊林会URLは http://www.bcap.co.jp/ikimono/yurin/ or ”遊林会”で検索  あなたの思いを掲示板へ


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