河辺林通信−−−建部北町の森から ’09年6月号  133
 
☆作業日あれこれ
 5月第2土曜日も快晴です。長かった連休の疲れか、上天気の割に雨の日くらいの参加者かなという感じです。しかし、一年に一度や久しぶりの顔などもあり、いつも通り賑やかな作業日です。この日の観察会は、森のスタッフが作った「河辺モリモリ図鑑」をそれぞれ手にして実物を観るという趣向です。この図鑑、この種の本に付きものの△△科○○などという記述はなく、全ページ、森の植物のカラー写真とわかりやすい説明が特徴です。担当はブンチャン、まずは草原広場のアカマツから。「10ページを開いて下さい。・・・・」、去年の枝の先に今年の若枝が伸びていますが、先に雄花や小さな松かさの形をした雌花が付いている物もあります。この森も30数年前に被害に遭い成木は数本しか残っていませんが、かつてはアカマツとドングリの木が目立つエリアが多い森だったのです。さて一同、図鑑の説明を見ながら実物と見比べます。ここで多分面白い展開になるのではと、盆栽お宅と呼んでいるスタッフの藤田に松の盆栽や葉刈りの仕方はと振ると、さすがです。マツの若枝のことをその形状からローソクと言いますが、これを摘んで仕立てることを「みどり摘み」と言い、剪定の基本です。彼は即座に皆様に摘む理由と仕方を説明、一同呆れるやら感心するやら、クマの見込みに間違いはありませんでした。次は草原の中に伐り残している咲き始めたタニウツギの花です。P.23を開くと花や冬にも枝に付いている種の袋や、名前がウツギ(空木)なのにタニウツギは枝の断面が空になっていない写真や説明が飛び込んで来ます。この森では一番華やかな花かも知れないなと思うのですが、残念ながら蕾の状態で開いている花はまだほとんどなく、本の写真に助けられます。草原広場のこれらの木は、かつて刈払機の一網打尽に遭い「大先生唖然事件(06年1月号)」というのがありましたが、それ以降、作業の前にはテープでマーキングして残す木として指示し、毎年見事な花を咲かせてくれています。陽当たりの良いところを好むこの木は、活動を始めた頃には1本たりとも見ることのない木で、種から成長、04年あたりから一斉に咲き始めたのを思い出しました。
 
汗ばむ中での作業、まず竹林整備です。第2駐車場側の竹林で6月から始まる筍との戦いの前に掃除をしようとのことで始めたのですが、そこは凝り性の方ばかり、南側の端までスカット整理、気持ち良い竹林になりました。草原広場では、繁茂しすぎたススキの新芽を刈り取り、もう少し草丈が低くて花が楽しめるオカトラノオなどを増やそうという作戦ですが、クマはススキに駆逐されたメリケンカルカヤが再び息を吹き返すのではと考えています。草原広場の中心となる草本植物は、人の管理下で、オカトラノオ → メリケンカルカヤ → ススキ&オギと遷移しました。来年の初夏には結果が出ることでしょう。交流広場と木道の間には作業区域でありながら10年間手が入らなかったエリアが残されており、林床は一面のアオキ畑状態です。このアオキを刈り取る作業をしたのですが、リーダーならぬドブネズミ殿の「アオキばっかしや。伐っても伐ってもまだあるわetc」とか言う声ばかりが響いておりました。林床にアオキばかりと言うことは、林冠が常緑樹によって覆われ林床の照度が不足しているわけで、多様性を出すためには次の作業でアラカシなどを伐採して陽が届くようにする必要があるかなと考えています。近くでは今だ遊撃部隊がこの冬の雪害で折れて引っかかっている枝の整理をしています。この日は1年ぶりの木樵親方、それに小学生の木樵見習君も加わりパワフルに作業が進んでいました。
 お昼は差入れのモウソウチクの筍を使用した筍御飯に天ぷら、筑前煮がメイン、それにウドやタラの芽、シイタケ、新タマネギと季節性豊かな料理です。この季節、天候が良ければ、皆様、午後も作業をするのが当然という当たり前と言えば当たり前なんですが、暗黙の了解が支配しています。それにこの日はヘムスロイド村御一行様が全員不在、クマの定席であるトラ御用達テーブルの横ではお昼の盛り上がりに欠けたまま、午後の作業に無事に突入です。午後の作業を終えたセンターのデッキでは、新緑の中、薫風を浴びながらゆっくりとくつろぐ一団がありました。たわいのないことを話ながら過ごす一時は、日々の生活の中で忘れてしまった時間の流れでした。
6月24日(水曜日) 週日活動 森の居酒屋は6月10日 午後7時頃〜
6月13日(第2土曜日)9時〜(遅刻可)
主 催 者 : 遊 林 会
連絡先:東近江市 花と緑の推進課 Tel 0748-20-5211 Fax 0748-20-5210 当日連絡先:携帯(丸橋)090-3352-3163
Eメールでも、ご意見をお待ちしています。E-mail:ikimono@e-omi.ne.jp
 第4水曜日は絶好の作業日和で、16人が集まりました。水曜の作業日は9時からいきなり作業を始めることが多いのですが、今ちょうど森にはいろいろな花が咲いているので、みんなモリモリ図鑑を片手に、珍しく観察会から始めることにしました。黄色のキショウブ、薄紫色のセンダン、ピンク色のタニウツギ、白いイボタノキとウツギ、クリーム色のガマズミ、緑白色のイチヤクソウと、実に多様です。観察会はマルが主導しましたが、この日のメインはマルお気に入りのコアイジサイ。その花の色は青とも言えるし紫とも言える不思議な色です。その他にもたくさん伸び始めたオニノヤガラやこの森の整備で復活したハイハマボッスなど短いコースに盛りだくさんでした。しかしみんなを「あっ!」っと言わせたのは花ではなく鳥でした。それは、かわべぇフォトログで既に紹介しているフクロウです。観察会の途中に現れたフクロウの飛翔シーンをみんなが見ることができ、感激でした。
 さて作業の方は2つにわかれて実施です。1つは年末の大雪で折れた枝を薪にする作業、もう1つはどんどん出てきたタケノコ退治です。メインは薪づくりなので、タケノコ退治は2人だけで実施、あとは総出で薪作りにかかりました。お昼はタケノコご飯にタケノコの木の芽和え、森のフキ料理、その他季節の恵みがたくさんです。水曜メンバーは午後からも全開、春先に伐採した不要なタラノキをすべて処分していただきました。
 
 
☆みどりのつどいとコンサート
 毎年恒例、みどりのつどいの前夜祭のコンサートですが、今回は大阪センチュリー交響楽団のメンバーにその仲間たちを加えた4人による、森では初めて、打楽器のみのコンサートとなりました。正直、始まるまでは不安?のあるコンサートでしたが、終わってみれば、いつもと違う、とても楽しいコンサートでした。プログラムも1曲目の出演方法を始め、この日のために作られたと思われる曲(奏者作曲・森リズム)や、雰囲気たっぷり、雨音をBGMにしたリンゴ追分、ラストの打楽器らしい曲(エル・クンバンチェロ)、みんなで歌ったアンコールの琵琶湖周航の歌など、10曲以上、たくさんの工夫をしていただき、お客さんも楽しんでおられたと思います。常連のお客さんの何人かが「今日のは楽しかったね〜気分がスッとした!」という意味のことを、言っていただきました。
 一方5月31日のみどりのつどいは、心配されていた天気もインフルエンザも落ち着いて、無事に開催されました。大凧も森からはっきりと見えるくらい雄々しく空を舞っておりました。ホットラインのコンサートも盲導犬が一匹参加、コカリナだけでなく、ボーカルの曲も数曲お披露目、大変にぎやかなつどいになりました。
 
☆河辺いきものの森情報
 第4水曜日の作業日にみんなで飛翔シーンを見ることができたフクロウですが、その週末30日には2度目の対面を果たし、ついに写真に収めることができました(前ページ写真)。その時の様子はかわべぇフォトログに記した通りですが、おそらく親子の3羽だったと思われます。この森には巣にできるような洞がある大木がないので、おそらくハンティングだけに来ているものと思いますが、それができるのも里山保全作業で林床をすっきりしていて滑空しやすいからでしょう。もちろん、フクロウが襲うネズミなどのエサがたくさんあることも関係しているはずです。残念ながらその後、姿を見ることはできずにいますが、もっと遅い時間に森にやってきているのではないでしょうか。そういえば、5月20日にはサンコウチョウの鳴き声も聞いたのですが、こちらはついに姿を確認できませんでした。来年に持ち越しです!
 
☆スタッフルーム情報
 5月の始めはGW。たくさん来られる子ども達のためにしっかりと準備をしていたのですが、今年はわりに人数が少なく、不完全燃焼な感じです。そのかわり、県外の方が多く見られたので、スタッフたちは高速道路が1,000円になったから、近くの人は森に来ないのか!と色々と推理をしておりました。
 さて、そんな肩すかしに浸る間もなく、県から委託を受けている「やまのこ」事業の第一次ピークが始まりました。毎日のように市内外の4年生達が森を訪れます。インフルエンザの件では、対象区域外でしたので、いつもどおり。それぞれの学校の子どもに合わせた内容になっているので、準備が大変です。また、今年からモリモリ図鑑を使った新しいプログラムにも挑戦しており、頭を悩ます日々です。でも、子ども達の「今日は楽しかったわ〜」という言葉を聞いては、改めて元気をもらい、日々頑張っているスタッフです。そして、同じ名前ですが、市からの委託を受けて行っている、「やまの子」(こor子)キャンプ事業も始まりました。これは夏休みの8月2日から8月7日まで、小学生から中学生を対象としたのキャンプなのですが、リーダー研修や教育委員会との打ち合わせなど、こちらも忙しい日が続いており、スタッフルームは”ヤマノコ”で大忙しです。
 
☆6月の作業日のお昼は?
いつもはこの季節ハチクの料理が主役なのですが、今年はハチクが不作なので、どうなることやら。料理長が欠席予定で、たまねぎとじゃがいものおいしい季節ですので、カレーにする予定です。
 容器やコップは数に限りがあります。食器の持参をお願いします!
 
発行者:東近江市建部北町 河辺いきものの森ネイチャーセンター内 遊林会 世話役 武藤精蔵 Tel 0748-20-5211
URL:http://www.yurinkai.org/  or ”遊林会”あるいは、”里山保全活動”で検索 あなたの思いを伝言板へ